【最近は、こんな感じ】 自由に、誠実に。
上海で生活する女の子たちの日常って?
ファッション、メイク、食べもの、よく行くお店。あと、普段考えていること。悩んでいること。そして目標。
そんなあれこれを、同じ目線で聞いてみた。
@mie_shanghai
04 李璇
李さんのトレードマークは、
麦わら帽子とワンピース。
レトロでガーリー。
上海の街ではあまり見ないスタイル。
何が好きで、
普段は何をしているんだろう。
――『古董花園』(取材場所として李さんが選んだカフェ)、素敵ですね。
李璇 インテリアが昭和レトロな感じ。こういうお店、少ないですよね。よく来るんです。
――今日のコーディネートについて教えてください。
李璇 ワンピースは『yuni』、パンツは『Malle』、帽子は折原陽子さん(帽子作家)のもの。靴は『Ru』です。レジンのブローチは自分でつくりました。センスがいいなと思って参考にしているのはakaneさん(佐々木茜=モデル)です。私服もかわいいですよね。スタイリストの大森伃佑子さんも。『CLUEL』や『FUDGE』の世界観。普段、洋服は作家さんのインスタで直接予約購入することが多いです。
――ブローチ、かわいいですね。ハンドメイド関連の仕事をしているとのこと。アクセサリーですか?
李璇 はい。ほかにインテリアデザインも。イベント時の内装や店舗のインテリアを手掛けています。それと、ケーキのオーダーメイドもやっています。今後は洋服もつくりたい。作業着になるような、エプロンドレスやワンピース。あとは、もともとカフェをやっていたので、また開きたいという目標もあります。
――すごい。何でもできるんですね。共通のコンセプトみたいなものがあるのでしょうか。
李璇 共通すること……。うーん、うまく言えないです。どれも植物をテーマにはしているかな。
“自由な生き方もある、と知った”
――メイクについて教えてください。
李璇 アイシャドウとチークは『Laura Mercier』、マスカラは『ettusais』と『WHOMEE』、眉毛は『Kiss Me』、リップは『INTO YOU』、ファンデーションは『Paul&Joe』です。選ぶ決め手は、色やパッケージ。パッケージは特に『Paul&Joe』が好きですね。日本に留学していたときに店頭で試して買って、それ以来ほぼ変えていないかも。メイクを参考にしている人は森絵梨佳です。
――女子美術大学に留学していたそうですね。
李璇 野田凪さん(アートディレクター)の影響です。専攻していたのは立体アート。植物の繊維から自分でつくった和紙で、立体作品を製作していました。視覚芸術学院(上海市内の美大)を卒業してからだったのですが、もっと早く行けばよかったと思いましたね……。女子美はとにかく頑張っている人が多い。頑張らなくちゃと思わされたし、就職して、結婚して……ではない、自由な生き方があるということも学びました。
――東京ではどこに住んでいましたか?
李璇 吉祥寺です。都会から離れているのに賑やかで、カフェめぐりも楽しかった。いちばん好きだったのは、商店街のほうにあるアールグレイのシフォンケーキのお店。それと、井の頭公園のほうにある、クレープがおいしいお店。そこはオーナーが画家で、店内に飾ってあるのが全部ウサギの油絵なんです。店名は、どっちもちょっといま出てこない……。
――メンチカツのお店も有名ですよね。
李璇 はい。あと、メンチカツと同じくらい行列ができている羊羹のお店、知ってますか? すごい行列で、並んでいる人に「何の待ちですか?」って聞いてしまったことも。
――吉祥寺、また行きたいのでは?
李璇 将来の夢が吉祥寺でカフェをやることなんです。10年後くらい? ビザのこととかはもう調べ始めています。
“仕事に大事なのは誠実さ”
――上海でやっていたカフェはどんなお店だったんですか?
李璇 オープンして1年はお客さんが全然来なくて、家賃を払うことだけ考えて別の仕事をしていました。でも、インテリアやケーキ(甘さ控えめ、砂糖は半分の量)の評判が徐々に口コミで広まってくれて。
――スマホ、2台持ちなんですね。
李璇 ケーキのフォロワーだけでいま1万人いるんです。1台だと足らなくて……。
――好きなことを仕事にできてるって、憧れます。
李璇 両親は安定した生活を望んでいるようです。結婚して人並みの生活を、と。でも、やりたいことを自分で選んで、飽きたら別のことに取りかかれる自由な生活は、ずっと目指していたことなので。
――いろいろな才能がある李さんだからこそですね。
李璇 でも、いちばん大事なのは誠実に仕事をすること。カフェをやっていたとき、コロナ禍でお店を閉めていた時期がありました。そのときに「どうしてもケーキを」というお客さんがいて、断ってもよかったのですが、小区(住宅地の敷地)の門でテイクアウトで渡したんです。その方がたまたま大衆点評(口コミアプリ)のLV8の人(影響力の強いユーザー)だった。仕事って、こういうことの積み重ねなんですよね。
(取材日:2022年9月20日)
<彼女のお勧め>
『古董花園』(上海市黄浦区思南路44号)
☆庭があるレトロなカフェ。店内にはアンティーク家具や雑貨がいっぱい。
『WABI COFE』(上海市長寧区愚園路1327号)
☆雰囲気が好き。コーヒーもおいしい。メニューもシンプル。
『元古』(上海市徐匯区五原路137号)
☆中国らしいデザートと、雲南風のきのこ料理がお勧め。夜10時以降はバーになる。
text
萩原晶子
フリーライター。上海にて2007年頃よりガイドブック、ファッション誌、機内誌、ウェブなどの記事を手がけている。
カルチャー誌『Ketchup.』(上海と東京で販売)など。
ins:@hagiwara_akiko_
photo
阿部ちづる
2006年にフォトグラファーとして独立。ファッション誌、ビューティー誌、週刊誌、写真誌等のグラビア、ポートレート写真を撮影。アイドルグループやグラビアモデルからのアーティスト写真撮影で指名されることも多く、女の子の新鮮な表情を切り取る。
佐々木希『ささきき』(集英社)、武田玲奈『Rena』(集英社)ほか多数。
ins:@chizuru0821
https://lov-able.com/photographer/chizuru-abe
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