偶然も2度目には運命だよきっと
正しくは何度ということではなくいくつもの偶然が重なった私と愛猫 詩(うた)のお話。
名前は決めていた。気が早いと笑われるだろうから誰にも言っていなかったけど。猫と暮らしたい!暮らす!と覚悟を決めた時にはもう。
落ち着きがないのかもしれないが、私は今まで何度も引越しをしている。もちろんその都度理由らしい理由はある。その時住んでいた部屋の更新があと数ヶ月後という頃、大きな不満はないけれど細かい気になることは色々あるなぁとなんとなく考えていた。
そのずっと前からふつふつと湧き上がっていた気持ち。
猫と暮らしたい。
子供の頃、実家で猫を飼っていた。野良から自然とうちに住み着いたオッドアイの白猫。猫との暮らしは楽しかった。無条件にかわいい。半分野良のその子は自由に外と中を行き来し田舎の広い家で家族の誰かしらが相手をし誰かの布団で寝ていた。
実際私は子供だったから一緒に育っただけでお世話らしいことは何もしていない。ご飯は母があげていたしトイレは外でしかしなかった。
だから懸念があった。一人暮らしの狭い部屋で外にも出られない、相手をする人間はひとりしかいない、しかも朝から夜まで仕事で留守にしているような環境で大丈夫なのか?トイレのお世話とかできる?私ちゃんとできる?
そんな人はたくさんいると思う。今や猫はブームらしいから(ブームってなんだよ流行りとかでかわいがるなよとは思ってる)。だけど命を迎えるということにはやはり勇気がいる。覚悟がいる。
そんなことをうだうだ話していたら猫飼いのお客様からはそそのかされ、職場の同僚からはもう飼ったらいいやん大丈夫よと背中を押された。
だからといってペットショップで買うという選択肢はなかった。そしてペット可ではない今の部屋では保護猫を迎えることも出来ない。だからどこかで見つけたら、誰かから声がかかれば、出会ってしまったらしょうがない。そしたら引越しもしよう。
それなら今より広い部屋で、ペット可のところを今から探しとけばいつ出会っても良くない?
また同僚に背中を押された。
そうね先に環境を整えよう。覚悟を揺るがせないためにも退路を断つ(笑)タイミング的にもいいし、急ぎじゃないからいい部屋があればどちらにしろ自分も引越しがしたい。そして物件探しが始まった。
それがなかなか猫可の物件が少ない。私がだいぶエリアを絞っているせいもあるが本当に少ない。
その中でもここはいいな、ここしかないなという部屋があったのですぐに見に行った。日当たりも良さそう。それほど古くなく広さもほどほどで家賃もギリギリ範囲内。でもそうなると人気物件。先に内見をした方に持っていかれた。
まぁ急ぎじゃないし、戸数も多いマンションなのでまたそのうち空きが出るかもしれないから空き待ちしつつ他を探そう。そうして部屋探しは続いた。
* * * *
スピリチュアル的なことは何も感じないが私は社寺仏閣は好きだ。せっかくなら行った記念にと少し前から御朱印も集めている。数年前に行った出雲大社では御朱印をもらっていないのが心残りだった。
季節はちょうど神無月の頃。出雲大社に神様が集まる神在月。以前も一緒に行った友人とまた行きたいねという話になり日帰りツアーで行くことにした。
早朝集合して新幹線で2時間。そこから高速バスで3時間。快晴の清々しい出雲大社に到着。ガイドさんのお話を聞き、本殿にお参りをし、御朱印も貰い、さて参道で食事やお買い物を楽しもう。
歩き出してすぐそんなこんなで最近部屋を探してるという話を友人にした。すると何日か前に知り合いがFacebookで子猫の譲り先探してたよ聞いてみる?と言うではないか。
ちょっと戸惑ってしまった。覚悟はしたけど現実になろうとすると不安になる。とりあえず4匹いる子猫ちゃんたちの行き先は今どうなっているか聞いてみようとなり連絡をしてもらった。
これは出雲大社が縁を結んだかもね〜などと話しながら私は内心ドキドキしながら帰りの途につく。またバスに揺られていると……!!!
空き予定が出ました
えーーー!!
不動産屋から連絡。しかも内見した部屋の真下の部屋。それならもう日当たりも外の景色もわかるし間取りも当然一緒だから決めてしまって問題ない。速攻申し込みお願いしますと連絡した。
ねぇ猫と暮らす部屋も私のところにきたんだけど…やばくない?出雲大社すごくない?と友人と大興奮。
これ終わりではない。
最後新幹線に乗っている時、譲り主さんからの連絡がきた。どの子がいいですか?
女の子1匹男の子3匹。女の子はもう決まっていた。写真を見て、直感で茶白のこの子はどうですか?と聞いてみた。
OKです茶白を連れていきます。
話はやー!!そんな簡単に得体の知れない人間に託して大丈夫??私が何故か心配した(笑)
ところが問題はスケジュール調整。友人の地元の知り合いだったので、友人に付き合ってもらう必要がある。それも電車で1時間半はかかる場所。加えて私が月曜日のみ休みなのでそれに合わせてもらわないといけない。幸いフリーランスで仕事をしている友人とは3週間後の月曜日に予定があった。
しかしお相手は土日がお休みの職業。それなら友人が前日の日曜日に帰って受け渡してもらって、一晩実家で預かって、翌日私が迎えに行く、というようにしか出来ないかなーなどと相談しながらら一応この月曜日はご都合いかがですかと質問した。
するとちょうどその前日に仕事のイベントがあって月曜日は代休なので連れていけますとお返事が。
いやまじか。
3人の大人の都合がその日以外ありえない日程で合ってしまった。
結局その日一日で望んでいた猫、猫と暮らす部屋、お迎えの日程、全てが決まった。すごいとしか言いようがない。ひとつひとつはたまたま。でもここまで重なると運命だと思ってしまう。
名前どうする?聞かれて私はにやけてしまった。
実はもう考えてる(笑)
私はコブクロが好きだ。だからやはりそこになぞらえたかった。ずっと曲のタイトルで考えていた。漢字1文字の曲を思い浮かべるも桜、蕾、光、虹、心…うーんしっくりこない…。
散々悩んだ結果、そうだ私はコブクロの存在を推しているじゃないか。ということは2人といえば「うた」だ。「うた」を歌う人達じゃないか。言葉を歌う、というイメージで詩(うた)にしようと決めた。詩に出会うずっと前に。
これは後日談で、コブファミ(コブクロのファンをこう呼ぶ)の友人から猫の名前願いの詩(コブクロの楽曲名)から?と聞かれた。
はぁぁ!!タイトルにあったじゃないかー!
うーわ全く気付いてなかったそれ採用するね。願いの詩名曲めっちゃ好きそういことにする。となったので今後名前の由来を聞かれたらそう答えることにすることにした(笑)
* * * *
長い一日を終えて帰宅した私はまさかの出来事にふわふわした気持ちを抱えながら、お迎えの日までに何を準備すればいいのか思案していた。まさかこの一日でこんなことになるとは。
運命を信じる。しかしただぼーっとしていたら勝手にやってくるのが運命だとは思わない。こうしたいとかこうしようとか思うことに向けて自分が動くこと。そして巡ってきた縁を掴むこと。そこに神様のがほんの少し道をかたむけてくれたのかもしれない。
そんなふうに思った、私と詩が出会った日。
お迎えの日のお話はまた今度。