令和6年度第1回三重県地域おこし協力隊勉強会
地域おこし協力隊制度は、令和5年度で7,200名の隊員が全国で活動していますが、地方への新たな人の流れを創出するため、総務省ではこの隊員数を令和8年度までに10,000人とする目標を掲げており、目標の達成に向けて地域おこし協力隊の取組を更に推進することとしています。
多くの隊員が全国各地で活動し、地域が活性化して元気になっていくことはとても良いことだと思います。しかしその反面、せっかく移住したのに協力隊制度や地域や人間関係に合わず、ミスマッチする方も大勢出てくると考えられます。
そうならないためにも三重県では地域おこし協力隊サポート人材の育成が課題になっています。(一社)三重県地域おこし協力隊サポートデスクというサポートする法人はできましたが、サポート人材が少なく各市町をフォローできる体制にはまだ整っていません。地域おこし協力隊や行政に対する、十分なサポートができるようにサポート人材の育成のため、定期的に勉強会を開催することになりました。
今回の出席者は(尾鷲市、松阪市、志摩市、鳥羽市、紀北町、明和町、度会町)7市町の地域おこし協力隊経験者が集い、意見交換しました。
ここでは開催された勉強会の様子を紹介します。
県からの制度説明
はじめに(一社)三重県地域おこし協力隊サポートデスクが設立されたこと。三重県の地域おこし協力隊が卒業後に定住している確率が全国ワースト4位と低水準であること。「隊員の定住率の向上をあげたい」という目標があることを伝えられました。
ただ単に「三重県に残ってください」というようなサポートをするわけではありません。地域おこし協力隊という特性を「行政・地域・協力隊」が理解して、それに適した募集や受入、管理や運用方法をとることでミスマッチする件数を減らし、地域に残ってくれる人を増やしたいと考えております。
地域おこし協力隊制度を「地域おこし協力隊・行政・地域」で協力し合い、よりより活動を実施していためには、経験者でもあるOBOG・協力隊ネットワーク(三重県地域おこし協力隊サポートデスク)の役割が重要になってきています。
安心できるサポートを行うためには、私たちが協力隊を受け入れている各市町の自治体の運用形態を把握する必要があります。各市町によって地域おこし協力隊のルールが違うので、それぞれの地域の運用形態の情報を共有し、現役協力隊やOBOGの実際の経験談を話し合います。いろんな隊員が集まり意見交換することで私たちは数々の受入パターンを知ることができます。相談を求められた際には、いろんなパターンから最善案を提案することがサポート人材には求められるスキルになります。
今回は下記の点を勉強会として重点的に学びました。
1,行政の予算のしくみ (行政のお金や仕事の流れを知る)
2,特別交付税とは? (補助金・税・予算の特徴を知る)
3,雇用形態について (種別の違い・市町によって異なることを知る)
4,市町ごとの経費の特徴(消耗品の限度額や経費の用途の違いを知る)
「地域おこし協力隊の制度」の知識とは、自分がいた地域だけでなく、幅広い視点や知識と市町と連携する細やかな調整能力がサポート人材には必要です。また、何より重要なことは、サポート側のとして地域おこし協力隊員を支えたいという強い想いが大切です。
県、現役隊員、OBOGの意見交換会
意見交換会では、県、現役協力隊、OBOGがそれぞれの経験をもとに「地域おこし協力隊」について深堀しました。特に盛り上がった話の内容は以下の通りです。
1,定例会の効果・役割について
(月に一度程度、各地域で地域おこし協力隊が集まって、協力隊、行政担当者に向けて活動を報告する場、協力隊同士での連携やコミュニケーションをとる会)
2,活動報告会の効果・役割について
(年に1回程度、関係者や地域住民に向けて活動内容を報告する会)
3,活動経費の使い方について
(自治体ごとの経費の使い方、処理の仕方、管理方法、など違うことについて。どの方法が安全かつ有効的に活動に使えるのか)
4,自治体担当者について
(担当者とのコミュニケーション方法、目標管理、予算の流れ、人事異動や担当変更などの引き継ぎについてなど)
以上の内容なことを意見交換し、今後の三重県の地域おこし協力隊について考えました。
最後に
今現在、三重県内には現役地域おこし協力隊が約100人、卒業して地域に残っているOBOGが約100人、三重県から出て行かれた方が約100人と比率がほぼ均衡しています。今後、三重県地域おこし協力隊サポートデスクとして「どのような支援・サポートができるのか?」で、今後の状況がより良くなる可能性があると考えています。
まず私たちが取り組むべき役割は「ミスマッチ」を減らす地域おこし協力隊の募集・受入の方法」の改善が大事だと感じています。着任してから「違った」とならないように着任する前に「ミスマッチ」を減らす取り組みを進めています。
次回はその取り組み内容を少し紹介したいと思います。
(写真/文章 峠広之)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?