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柏崎刈羽原発からむつ市の中間貯蔵施設へ使用済核燃料69体を輸送=リサイクル燃料貯蔵(RFS)には売り上げがない?!


柏崎刈羽原発から使用済核燃料が運ばれた

9月26日、青森県むつ市の中間貯蔵施設に、東電柏崎刈羽原発から使用済核燃料が初めて搬入されました。六ヶ所再処理工場が動かない中、50年を超えて保管しないという約束で原発サイト、再処理工場以外での使用済核燃料の保管が始まりました。

中間貯蔵施設には多額の交付金

むつ市の中間貯蔵施設の貯蔵能力は3千トンですが、以下の朝日新聞(24年8月31日)の記事によると、中間貯蔵施設には調査段階で約25億円、着工後には約205億円の交付金が交付されるそうです。
回らない核燃料サイクルを回っているように見せるために、国は多額の交付金を支払っています。その元は電気代に含まれている電源開発促進税*1です。託送料金から回収されているので、原発が嫌で、再生可能エネルギー中心の電力会社に乗り換えた人も支払っています。

核燃料税は69体で1488万円 / 年

今回輸送されたのは金属キャスク1基 で、使用済核燃料(BWR) 69体で重量は約12tUになります。
燃料が運び込まれると核燃料税が発生し、むつ市と青森県にそれぞれ620円/kg の核燃料税を納めることになります。
この記事によれば、青森県への納税額は5年間で2億5600万円になるそうです。同額をむつ市にも収めるので、合計で5年で5億円以上ということになります。

1300円/kgから620円/kgへ

当初むつ市は、核燃料を受け入れ時に19,400円/kg 、貯蔵は1,300円/kg という税額を提示していました。しかしこの税額はあまりにも高くて「事業がたちゆかなくなる」と、リサイクル燃料貯蔵(RFS)から言われて、620円/kgまで下げました。当時のむつ市長は宮下宗一郎氏で、現在は青森県知事です。彼は青森県知事になり、同額の核燃料税が青森県にも入るように条例を変えました。
今回の搬入は1基12tUなので、620円/kgで、むつ市と青森県にそれぞれ744万円、合計で1488万円の核燃料税を納めることになります。
核燃料税額決定の詳しい経過は以下の「むつ市使用済燃料税に関する進捗について」(2022年2月10日)にあります。

https://www.city.mutsu.lg.jp/gikai/kiroku/files/R04.02.10-chukan-siryou.pdf

リサイクル燃料貯蔵(RFS)という会社

この中間貯蔵事業を運営するのは、リサイクル燃料貯蔵(RFS)という会社で、東電と日本原電が8対2で出資しています。

国が半分以上の株を保有している東電と、原発が再稼働できない原発専業の日本原電。どちらも危機的な経営状況の会社なので、RFSの財務状況はいったいどうなっているんだろうとHPを見ましたが、財務情報がありません。公告で簡単な決算報告をしているかもと思って検索したらみつけました。

売上がない

タイトル画像は、23年度のRFSの決算公告です。右側の損益計算書をご覧ください。営業費用が1億1500万円。営業損失も1億1500万円。同額!営業収入つまり売り上げがありません。そして負債合計は1016億円。
原発関連で、ひどい経営状況の会社の決算書をいろいろみてきましたけど、こんな決算書は見たことないです。株式会社として成立していないと思います。
22年度は、営業費用、営業損失ともに1億1600万円、負債合計は842億円。1年で負債が174億円も増えています。

経理的基礎は前受金

こんな経営状態の会社の中間貯蔵施設に経理的基礎があるわけないと思い、規制委員会の審査書(2020年11月11日)を調べてみたら、以下のような記載がありました。
==3.法第43条の5第1項第2号(経理的基礎に係る部分に限る。)
本件申請については、以下のことから、本件事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎があると認められる。
・申請者は、本件事業の実施に伴い発生する総費用の負担を受けることについて東京電力及び日本原電と役務契約を締結していること。
・申請者は、本件申請に係る工事に要する資金は、借入金及び役務契約に基づき申請者に対して支払われる前受金(以下「前受金」という。)により調達するとし、本件申請以外の工事資金に関しても、借入金及び前受金により調達するとしていること。また、借入金及び前受金については、過去14年の間の資金調達実績があり、調達は十分可能なものであ
ること。
・申請者は、貯蔵開始後における資金については、工事資金及び債務償還を借入金、前受金及び役務契約に基づく収入により調達する計画としていること。==

負債の増加は東電、日本原電からの前払金か?

東電は債務補償できない会社なので、前払金を支払っています。東電からの前払金で東海第二原発の経理的基礎を担保してもらっている日本原電も債務補償はできないと思うので、前払金を支払っているのでしょうか?売り上げもないような会社に銀行が簡単にお金を貸してくれるわけがないので、負債増加分は東電と日本原電からの前払金だと思います。
負債総額は21年度末は800億円で、22年度末には842億円となり、42億円増えています。22年度、東電は大幅な赤字決算で、電気料金を値上げ、福島事故の賠償金の特別負担金はゼロでした。その中で日本原電に541億円の前払金を支払ったことが問題になっています。東電はRFSにも42億円の前払金を支払った?!

回らない核燃料サイクルをごまかすために税金と電気代を注ぎ込むのはやめて脱原発へ!

*1 電源開発促進税の税率は、販売電気千キロワット時につき、375円。

*2 20年3月18日 規制委員会、経理的基礎についてのヒアリング  リサイクル燃料備蓄センター事業計画

*3 東電から日本原電への前払金について、詳細は以下のnoteを!


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