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小説を書いている時の心境
私はライトノベルを書くお仕事をしているのですが、どうも執筆時の心境が他の作家さんとちょっと違うらしく、これはネタになるかもしれないと思って記事にしてみることにしました。
あんまり詳しく書いてしまうと素性を特定されそうなので色々ぼかさなきゃいけないですね……。
ええとですね、私は男性向け作品で活動しています。一応。
なので主人公は男の子です。
が、主人公にはあまり感情移入してないです。色々と作者である私とは境遇が違いすぎますからね。
なんでも女性作家が男性主人公を書くと「かわいい息子」みたいな感覚になる人も多いようですが、私はそういう風に感じたことはありません。
私は自分の作品の主人公は「読者の分身」とみなして書いています。
ターゲットであるラノベ好きの男性読者が感受移入できるよう、オタクっぽい男性の平均値みたいな性格にするよう心掛けています。つまり大人しくて優しくて気が小さくて、でも胸の内には情熱を秘めててやる時はやるみたいな。そして表面上はぶっきらぼうに振る舞ってたりする。
なんでしょうね、無理して男らしく振る舞ってるINFP男子って感じのキャラです。これは私自身がINFPなせいでしょうね。
で、主人公は読者の分身なわけですから、私からすると「お客様」という感覚です。そしてお客様を満足させるのはヒロインと悪役の仕事です。
ヒロインは主人公に甘えたり誘惑したり協力したり、あれこれ頑張って恋愛面でストーリーを盛り上げるのが仕事です。なので私はヒロインに感情移入することが多いです。
悪役は憎たらしい行動で主人公を追い詰め、最後は気持ち良くやられて爽快感を与えるのが仕事です。あれこれ陰謀を張り巡らせて新設定を増やし、物語を延命させるのも彼らの仕事です。大変お世話になっております。私からすると同僚って感覚ですね。
うーん。実に倒錯した書き方だ。
……っていうか身もふたもないことを言うと架空の女の子になり切って読者の分身に色仕掛けをしてるんだから、私のやっていることは紙の上で頂き女子をしているようなもんじゃないかとか考えちゃったんですが、泣いていいですかね。……いや、違うし。一冊数百円しかお金取らないし……。
とにかく毎日毎日、どうやれば主人公をときめかせることが出来るのかと、そんなことばかり考えています。
毎日が勉強と言っても過言ではないです。
他の方の作品を読んだり、担当編集さんからアドバイスを貰ったり……。
担当編集は「とりあえずヒロインはヘソを出しとけばいいよ」というありがたい助言をくれたことがありますし、「ボンテージもいいな」と呟いたこともあります。薄々気付きつつあるのですが、この人は自分の性癖を語ってるだけな気がします。私の調査によれば普通の男性はそこまでヘソ出しボンテージに拘っていないように見えるのですが。
ただ、
「主人公以外の男の影があるヒロインは絶対受けない」
「複数のヒロインが主人公を取り合う展開は受ける」
というアドバイスは実用的だったと思います。まあヒット作を見る限りこの傾向は当てはまってますからね。
そういうわけで私の作品でも複数の女の子が「主人公くん大好き♡」となってあれこれ駆け引きをしているのですが、うーん……私はどうもこれが上手くない。ヒロインに感情移入しながら書いているせいか、どうしても自分と性格の近いヒロインを贔屓してしまう。
けれど読者に一番人気のあるヒロインは別の女の子なので、商業的な利益を考えるならそっちのキャラを優遇した方がいい。
当然私としても頑張ってその一番人気ちゃんの出番を増やしているのですが、これがまた動かし辛い。なんせ性格が気の強いツンデレなので感情移入し辛いんですね。
っていうかこの子、ESTJっぽい性格してるなと気付いて笑ってしまったんですが。
そりゃ動かし辛いわけですよ!
私と価値観真逆じゃないですか! ……いや、どうだろう。ESTPっぽい性格なのかな? それともENTJ? とりあえずEでTなのは確かな性格なんですよね。
なんであれ私とはかけ離れたキャラクターなのは変わりないので、苦戦する一方であります。
主人公を読者の分身とみなして、ヒロインの側に感情移入して書く。そんな変な執筆法で楽しいのかと聞かれたことがあるのですが、楽しいですよ。私は文章が書ければなんでも良いのです。それに色んな女の子になり切るのはワクワクしますからね。まあ、油断するとすぐどのヒロインもINFPみたいな性格になっちゃうのですが。もっと演じ分けができるようにならないと駄目ですね~。