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【黒歴史】高校時代の思い出

 私が自分の過去を書いた記事は、中学時代か成人以降に集中していることに気付いた。その中間である高校時代をあまり語らないのは……まあ、上手くいってなかったからである。

 実は私は高校受験に思いっきり失敗しており、志望校とは全く違うド田舎高校に入学したのだ。田舎者の私がド田舎と言うくらいだから相当である。簡単に言うと標準語を使える生徒がほとんどいませんでした。 
 いや、私も家族との会話ではバリバリ訛っているのだが、公の場では標準語を話せる程度には都市化されているのだ。
 しかし私が入った高校はもうイントネーションからして訛りまくっている子が大半であった。
 使う言語が違えば民族が違うということ。
 この学校は明らかに二つの派閥に分かれていた。

  • 方言で会話して制服を着崩していない地元から通学する子

  • 標準語で会話して制服を着崩している市街地から通学する子

 通常のスクールカーストの要素に、居住区差別の要素も加わった感じだ。まるでアパルトヘイトである。
 そして私は市街地グループに属していた。
 入学直後の数ヵ月は運動部に入って明るく振る舞う、という中学時代と同じ戦略を取っていたのだが、周囲を観察しているうちに市街地から通う生徒が恐れと憧れの両方の目で見られていることに気付いた。
 なんというか、地元の子に話しかけると妙にビクビクされるのである。それでいて会話が終わると「うわーあの人と話しちゃったよ!」と舞い上がっているような雰囲気もある。
 ……ふむ、どうやらこの学校では身なりと住所だけで「上の方」の扱いを受け、虐めを回避することができるらしい。
 こうなるともう、元々内向的だった私は自分を偽るのを完全に放棄してしまった。実に七年ぶりに学校で明るく振る舞うのをやめ、元の暗くて無口な性格に戻っていった。
 どんどん口数を減らし、しまいには誰とも喋らなくなったのである。
 休み時間になっても一言も喋らず、ぼんやりと頬杖をついて窓の外を眺めるようになった。「誰も私に話しかけるな」と全身からオーラを放ち、仏頂面で過ごす日々が続いた。
 同じ中学だったクラスメイトは私のことを「グレた」と思っていたようだが、単に仮面を被るのを辞めただけである。知り合いに話しかけられたら愛想良く接していたし、人間関係を省エネモードに切り替えたに過ぎない。
 おかげで地元グループの子達は最後まで私には懐かず、ずっと「都市部に住んでるおっかねえ不良」みたいな扱いをしてきた。
 いえいえ、私の内面は全然不良ではないんですが……。

 新しい友達はほとんど作らず、同じ中学だった子達と細々と交流する高校時代だった。いや、実は言うとその子達とも徐々に疎遠になり、私は校内でも一人で過ごす時間が増えていった。 
 別に虐めさえ受けなければ話し相手などいなくても構わなかったのである。……というのは強がりで、何でも話せる親友なら欲しかった気がする。だけど当時の私は理想の友人を作るなど不可能であった。受験に失敗したこともあって母親との関係が悪化していたし、クラスの中では浮いた存在だったし、先生にしょっちゅう態度が悪いと怒られてたし、とにかく面白くなかったのである。
 そういった事情からよく勝手に学校を抜け出し、そのへんをブラブラ歩いていた。
 本屋で立ち読みしたり、自然と戯れたり、ノートに落書きしたりして無気力に過ごしていた。当たり前だが制服を着たままサボっていると大変目立つ。
 一度ショッピングモールのイートインでお昼ご飯を食べているところを学校に告げ口されて面倒なことになったので、えへへ……あれですよ。便所飯をするようになったんですよ。商業施設のおトイレでこっそり弁当を食べるんです。
 あれは、ネットの作り話ではないのです。
 本当に、やってた人が、いるのです。
 実行してる側としては隠れんぼしながらご飯を食べてるみたいで割と楽しいんですけどね。ネックなのはやはり臭いですね。

 小学生の頃はクラスの人気者に上り詰め、中学時代も二軍の上の方くらいをキープしてた私がぼっちになって便所飯。
 すごい落ちぶれようですよ!
 だから語りたくないんですよ高校時代を!
 
 まだ虐めを受けてたなら言い訳が効くんでしょうけどね。ただただ志望校に落ちていじけてたのと、コミュニケーションがめんどくさくなったのでこうなったのです。怠惰の果ての堕落です。一番ダメなパターンかもしれない。
 なんか電車の中で一回告られたことがあったんですけど、あれをOKしてればもうちょっと楽しい高校生活になったんでしょうか? 「今の私と付き合っても楽しいことないと思うよ」って断っちゃったんですよね。ものすごい卑屈な理由で断ってますね。
 いやあ本当に……高校時代は楽しいことなかったなあ。思い出の大半が濁ってるので語りようがない。
 夏や冬は商業施設でサボり、過ごしやすい季節の時は山や公園でサボっていた。本当にそんな記憶ばかり浮かんでくる。
 じゃあ一人ぼっちが辛かったのかというとそうでもない。むしろかなり気楽でした。

 嫌われたり虐められたりするのは嫌だけど、休み時間や放課後にベタベタされるのは困る。皆に好かれたいけど一人になりたい。内向型でF型というのは難しいものです。完全に矛盾しております。
 物理的には一人だけど精神的には色んな人と繋がれるネットとの相性が一番いい気がしますね……。
 高校を卒業した後の私がSNS中毒になるのは自然な流れだったと思います。


 ……ああ、ダメですね。
 まだ見栄を張ろうとしてる。これではまだ黒歴史の60%くらいしか語れていない。
 そうでしたね、思い出しましたとも。私が高校時代に入ってから友達を作らないようにしたのは、もっとみっともない理由もあったんでした。
 これを言うのは凄く恥ずかしいんですけどね。

 実は中学時代の私は友達へのスキンシップが過剰なところがあって、最後の方は「あの子は同性愛者なんじゃないか?」と疑いをかけられてたんですよね。いやいや、私は両性愛者ですよ! ……まあでも友達のことをちょっと変な目で見ているのは確かでした。noteでは書かない方が良いというか、書いたら怒られるようなスキンシップを取ってしまったこともあります。友達が可愛すぎて我慢できなかったのです。
 まあそういうわけで、

 どうやら自分は普通じゃないらしい。うっかり友達を好きになってしまったら迷惑をかけることになる。それならもうずっと一人ぼっちでいよう。

 と、やさぐれてたんですね。それもあって高校時代は進んで孤立しておりました。自分は変態なんじゃないか? 更衣室やトイレに入っていいのか? 同性をそういう目で見るかもしれない人間が紛れ込んでいいのか?
 と罪の意識に苛まれ、苦しみ、無意味に涙を流すことも多かったと思います。
 まあこれだけ書いたら性的少数派の嘆きみたいな感じでピュアな印象があるかもしれませんが、辛くなるたびにサラリーマンに性的に求められる妄想をして現実逃避してたと書くと、一気に雰囲気が変わります。急に汚くなってきましたね、ここからが本番ですよ。

 高校時代の私はクラスメイトを避ける一方で、頭の中はいやらしい想像でいっぱいでした。本当にどうしようもない!
 私のお気に入りの妄想はこんな感じでしたね。

 学校をサボって公園でぼーっとしていると前に停まっていた車のドアが開き、「君いつもここにいるね」とスーツ姿の男性が声をかけてくる。すらりと背の高いサラリーマンである。爽やかな風貌で手も足も指も長く、女子高生の性欲を具現化したような風貌だ。
 そのサラリーマンは私を見るなり「暇なら車に乗りなよ」とちょいワルな笑顔を浮かべて誘いをかけてくる。人生破れかぶれになっている私はホイホイ乗り込んで初めてを奪われ、大人の男のテクニックに溺れていく。彼の方も私の若い体に病みつきとなり、それからも定期的に逢瀬を重ねるようになる。
 最初は体から始まった関係だったが、やがて私達は心の底から愛し合うようになる。
 そんなある日、サラリーマンは「二人で逃げようか」と提案してくる。
 私はもちろん「うん」と頷く。
 そうして社会的に許されないカップルを乗せた車は、見知らぬ街へ向けて走り始めるのだった……。

 学校にいる間もショッピングモールにいる間も公園にいる間も、このサラリーマンに激しく求められて理想の恋人になって駆け落ちする妄想を何度も何度も繰り返してました。
 ……高校生の頭の中なんて皆こんなもんですよね? み、皆さんもそうでしたよね?
 あとこの妄想に出てきたサラリーマンの見た目はそれまで私に優しくしてくれた成人男性のイメージの集合体みたいな感じでしたね!
 完全に開き直って何もかも白状してますが、すごく恥ずかしいことを言ってますね多分!!!!
 もうこれ以上の恥は書きようがない!!!!

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