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今注目の子育て支援、本当に必要なのは何?持続可能な支援の形を考える

助産師 Beniです。
助産師として働く中で、社会全体が女性の身体のことを理解できたら、
考え方や仕組みがアップデートされて、女性がもっと生きやすくなると考え、
日々考えていることや伝えたいことを綴っています。

今回は、今注目されている子育て支援について、実際に何が期待できるのか、どのような支援が望まれているのかを考えていきたいと思います。

現在、日本は少子化を爆走中であり、この少子化を止めるには子育て世代が子どもを産むことが必須です。
でも、子育てしづらいとされる現状は問題が山積しており、そこに向けた子育て支援が模索されています。

支援とは何か?

「支援」とは、デジタル大辞泉(小学館)によると「力を貸して助けること」と定義されています。
例えば、「復興支援」「難民支援」「自立支援」などが挙げられます。
つまり、「手助けを必要とする人に向けて手を貸し助ける」ことで、その人たちの境遇や状況の改善を図ることが支援です。
この力の貸し方には、環境整備や教育、物品・現金の提供など、さまざまな方法があります。

子育て支援の現状:ハンバーガー的要素

私が小学校の社会の授業で、発展途上国の子どもたちの貧困について学んだ時、支援団体の男性がこう話していました。
「もし、お腹を空かせた子どもたちにハンバーガーをあげたらとても喜ぶでしょう。
でも、ハンバーガーは食べたらなくなってしまいます。
それに、ずっとハンバーガーをあげ続けることはできません。
彼らに食べ物をあげる支援は、わかりやすくて簡単ですがそれは本当の支援とは言えません。
彼らが自分でお金を稼ぐことができる仕組みを作る、仕事を持てるようすること。
それによって彼らが自立できるようにすることが支援です。」

この視点から見ると、現在の子育て支援には「ハンバーガー的要素」が目立つように思えます。
例えば、出産一時金が42万円から50万円に増額され、出産応援一時金・子育て応援給付金が計10万円分支給されるなど、経済的支援が拡充されています。
所得制限の撤廃により、子ども手当の支給額も増額されます。
これらの支援はありがたいものの、「これで安心して子育てができる」という実感にはつながっていないのが現状です。

子育て世代に必要な本当の支援とは?

給付金のような支援だけでは、子育て世代の不安を根本的に解決するには不十分です。
特に、女性の雇用環境は厳しく、子育てをしながら働くことへの風当たりが強い現状があります。
子育て世代が自立して経済力を持つことが、少子化対策としても、日本の持続可能な子育て支援のカギだと考えます。
これができれば、いつまでもらえるのかわからない、或いは“一過性の給付金で一瞬喉の渇きを癒す”ような家計のやりくりから余裕が生まれてくるのではないか、と考えます。

求職の場面でも子育て世代は厳しい立場に置かれています。
知り合いの女性は、産後に就職を考えて面接を受けた際、
「子どもが熱を出した時どうしますか?」という質問を必ずと言っていいほどされた、と話していました。
「預けられない時には休むしかないことを話したらダメだった。いくつか(面接を)受けたけど、いつもそこがネックだった。」と。
小さい子どもはよく熱を出すものです。
そのような「よくあること」が“ネック”であること自体が子育て世代の雇用を厳しく、働きにくくさせている要因であると考えます。
子育て世代が自立して経済力を持つことができるためには、職場づくりが欠かせません。
例えば、
・妊娠・出産で職場を離れても戻ってこれる環境
・子どもが急病でも預け先が確保される、または、気兼ねなく休める職場
・父親も同様に子育て関連の休みを取りやすくする仕組み
といった、子育てによってこれまで通りの働き方で就労することが難しくなる場合に、それらにより不遇な立場とならないことが保障されることが必要なのではないかと考えます。

ハンバーガーを求めているわけではなく、自分でハンバーガーを買い続ける力を持てるような支援を求めているのです。

持続可能な子育て支援を目指して

1人の子どもが生まれて大人になるまでには長い年月がかかります。
だからこそ、一過性、単発、短期終わってしまう支援では支えきれない部分が出てきてしまうと思います。
当事者に「力」を与えることが持続可能な支援であり、現実的なアプローチです。
これからの子育て支援には、子育て世代に「経済力」を与える支援を強化してほしいと考えます。

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