忘れないでとは言わないけど思い出してね"
短くも長く、長くも短い私の恋に終止符が打たれた。
-会いたかった、だから逢いに行った-
7月の終わり、夏な男に出会った。
まるでドラマのようで、あまりにも眩しい始まりだった。
彼が発した言葉一つ一つ鮮明に覚えてる、その言葉で私を魅了した。
出会って間もないのに、私を見抜いたあなただった。
どうかこの夜が終わりませんようにいつまでも続きますようにと願った。
波のような人、真似できない気遣い上手の心優しい人。
でもどこか冷たくもそっけなく、心なしか寂しい人。
だから惹かれた、だから知りたかった。
知れば知るほど自由な人だった、想像を超えるほど。
会うたびに前に話したことをあなたが覚えてくれているせいで、私に可能性を感じさせた。
掴めないあなたが私の恋心をこれでもかと揺さぶった。
忘れられない曲が増えた、聴けば思い出す曲が増えた。
恋愛に臆病で逃げがちな私だけど、一生懸命また会いたいを伝えた。
会えなくなるだけ、
月に一回の楽しみがなくなるだけ、
天気予報の確認をすることがなくなるだけ、
忘れられないプレイリストが増えただけ、
だけ、と語尾に付けている時点で私の負けである。
きっと私に語彙力がもっと備わったらこのお話の内容も変わるのかな。
全ては嘘だったとは思いたくないけど、あなたの全ては嘘であったと思うことにしよう。
さもないと、あまりにも辛すぎるから。
全てのことに意味を重ねるのは大袈裟かもしれないけど、意味がなかったとは思いたくないから今だけはどうか重ねさせてね。
一緒に過ごす時間が何よりも一番楽しかった、本当の私だった気がした。
何も着飾らず、うんと大きく心から笑えた。
もう生涯こんなにも息の合う人に出会う気がしないと思うほど、私たちは阿吽の呼吸だった気がする。
楽しい人だった、多分人たらしとは彼のことを指すのであろう。
あなたと一緒なら強がりもせずにいられる気がした。
これから先、夏になると思い出して恋しくなってしまうのかな。
夏が来ると思い出して、切なくて、また思い出して、また切なくて。
そして今現在、このnoteを書いてる最中も君のプレイリストを聴いている。きっと、忘れられないのであろう。
いいや、忘れたくないのであろう。
でも私が1番忘れられないのは音楽でもなく風景でもなくあなたの声な気がする。
あの中毒性のある声、発する優しい言葉、好きでした。
夕暮れになると、逢いに向かった高速道路を思い出して心が躍ってまたあなたに会えるんじゃないかとどこかで期待して会いたくなります。
こんなにも逢いたかった夏、もう二度とこないのだと思う。
さぁ、もうすぐニ度目の夏が来る。
夏が来る前に忘れてしまおう。
この夏に名前を付けるなら、"逢いたいが先走った夏"と記すことにしよう。
好きな曲で、"忘れられないのが嘘で本当は忘れたくないだけ"という歌詞がある。
多分今の私はその歌詞の通りなのだと思う。
忘れてしまおうとかいう強がりは、私なりの最初で最後の強がり。
一生忘れることなんてないんだと思う。
ありがとう、あまりにも恋でした。
声にならない声で伝えます。
どうかあなたには、
"忘れないでとは言わないけど思い出してね"