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鼠径ヘルニアの原因①:精巣について

皆様こんちには、大阪うめだ鼠径ヘルニアMIDSクリニックです。

鼠径ヘルニアの原因についてお話したいと思います。内容が多いので、何回かに分けて書かせていただきます。

本日は「精巣」についてお話させて頂きます。
なぜ精巣?と思われるかもしれませんが、精巣と鼠径ヘルニアには強い関連があるんです。

体の壁を構成する筋肉に隙間が空いています。この隙間があるからこそ、腹膜が徐々に突出し、皮下に袋状に脱出してきます。

鼠径ヘルニアの原因となる体壁の隙間で代表的なものは「内鼠径輪」といいます。この内鼠径輪、精巣の通り道なんです。

ちょっと寄り道して精巣についてご紹介します。
精巣は直径5㎝ほどの卵型の臓器で、陰嚢の中にあります。陰嚢は袋状に垂れ下がった皮膚で、とても伸縮性に富んでいます。
精巣の機能は、生殖のための精子をつくる事と性ホルモンであるアンドロゲンを分泌しています。

卵巣はお腹の中にあるのに対し、精巣はお腹の外にあります。外傷にとても弱い臓器なのに、なぜわざわざお腹の外になるの?と疑問に思う方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
実は精巣もお腹の中で作られるんです。そして、成長とともに徐々に陰嚢へ下降していきます。出生直後に陰嚢内になくても、生後6ヶ月までに自然下降します。男児の5%前後は、陰嚢内に精巣がまだ降りていない状態で生まれてきます。

では、精巣はなぜわざわざ体外へ出ていくのでしょうか。
それは精子を作る環境を保つ為です。
精子を作り出すためには、体温よりも低い温度が必要であり、32℃前後が最適の環境です。体内に精巣を収納していては、温度が高くなりすぎてしまい、うまく精子を作れません。陰嚢にはたくさんの皺があるのも、作り出すのに最適な温度に精巣を保つためです。

精巣が陰嚢内に滑り落ちていく際に通るトンネルを鼠径管といいます。このトンネルの入り口が「内鼠径輪」なんです。

陰嚢内にある精巣を精巣動静脈で栄養されており、作られた精子は輸精管という管を通って体内に運ばれ、精嚢に貯められます。なので、「内鼠径輪」は決して閉じる事がない穴として残り続け、鼠径ヘルニアの原因となるんです。

なぜ鼠径ヘルニアが男性に多いのか、もこれで分かりましたね。

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