映画「LEON」

映画チャンネルでよく放送されていて、その度に流してしまいます。結局手を止めて画面に観入っちゃうので作業中BGMには向きません。どの場面を切り取っても光の入り方やアングルなど緻密だと感じます。

完全版R15(ディレクターズ・カット版)は公開から2年後に22分の未公開映像が追加されました。元の映画は不完全版と分類されてしまうのか…もともと本来の映像の刺激が強い部分などを削って公開に至ったそうです。

レオンが大事に世話する観葉植物について、マチルダが「大地に植えれば根を張るわ」の台詞は(本当に大切に思うなら手放すのもアリ)ってニュアンスなんですね。字幕は難しいです…もうちょっとだけ含みが欲しいような気がします。

ゲーリー・オールドマン演じるスタンスフィールドはアドリブも多いそうで。ベートーベンやモーツァルトを語りながら悠々と嵐を巻き起こす…登場シーン自体は短くても印象の強い緊張感。得体の知れなさが不気味。

寡黙なレオン。不器用で生き辛そう…自分で決めたルーティンを守り、規律正しい訓練を重ねている。観葉植物が唯一の友達。本当は植物を丁寧に慈しむように愛情が深いのだろう。

おしゃまなマチルダ。喋ることで感情を整理しようしている。愛か死か。ハッキリした2択。大変な目に遭って将来どうなっていくのか…でも賢い子だから勉強してたくさんのことを学んで、いつか幸せ取り戻してほしい。

孤独に生きてきた同士が引き合って、より幸せ生き方模索する。人生は1人で1人分だけど、他人と照らし合わせることでより深まるのかもしれない。ラストまで観終わって何を思うのか。正解は分かりません。ただ、美しくて悲しい。

ラストシーンの曲はスティング(Sting)の「シェイプ・オブ・マイ・ハート(Shape of my heart)」映画よりも先に発表された曲なので主題歌として作られたわけではないようですがピッタリハマります。

カードゲームのポーカーフェイスになぞらえた曲。変化しやすいものの形。トランプのマークを心に例えて。勝敗でなく、愛という形の移ろいやすい感情を表現することの戸惑いや葛藤でしょうか。

他にも昔のミュージカル映画「いつも上天気」「雨に唄えば」が挿入されています。

〈絵と文/深道 韻〉

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