風俗
離婚したきっかけは元夫の風俗通いだった。
結婚する前から、パソコンの履歴やお気に入りに情報サイトがあったのを見かけていたけれど、行ったことはない、という言葉を信じていた。
結婚後のある日、部屋の掃除をしていたら黒いポイントカードが目に入った。店名は無かったけれど、勘ですぐに分かった。いてもたってもいられなくて、夫に電話したら最初はシラをきっていたが『今、大事な仕事中なんだけど、分かってる?』と言われ、切られた。
帰ってきた夫はすぐに謝ってきたが、心の整理がつかない私は一人、別の部屋で家事をしていた。そこに夫が入ってきた。
『謝ってるのに何だよその態度は』
『土下座してもいい、とまで思いながら帰ってきたんだぞ』(土下座はしていない)
と言われた。
床に倒されて髪の毛を掴まれ、頭を床に何度も打ち付けられた。
『ごめんなさい』
と何度か泣いて謝って許してもらった。
その後、夫の寝顔を見ると辛くて苦しくて怖くて、夜眠れなくてこっそり起きていた。それは一週間続いた。
その後も何度かカードを見つけ、『やめて欲しい』と訴えたけれど、最後には怒鳴られ、諦めた。
市の女性相談に行った後、これはDVだ。虐待なんだ。と確信した後も、別れる決心がつかないでいた。
そんな中、また風俗のカードを3枚見つけた。鍵がおいてある棚の上、簡単に見つけられそうな所に。
ショックで目の前が真っ暗になった。仕事中もずっと涙を堪えていた。でも、ふと、目の前が開けた。
『ああ、私、本当に大事に思われてないんだ』
あんなに泣いて行かないで欲しいと言ったのに、眠れないほど嫉妬して悲しくてプライドなんてボロボロだったのに。また。
そこでもう、気持ちは固まった。
最低な母親は、夫に愛されたくて愛されたくて我慢して、全てを見ないふりをして夫をかばい、子どもにも我慢させてきたのだ。
そして、愛されないと分かった時にやっと目が覚めたのだった。