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人生初のビスチェを買って色々考えた話

先日、母が誕生日を迎えた。

何か欲しいものはないか、誕生日前の電話であれこれ聞いてみたものの、母は少し悩んで

「特にない」

という結論を出したので、
また欲しいものができたら私が買うからね、
という話でまとまった。

ちなみに誕生日当日の予定を聞いてみたところ、

「誕生日だし仕事は休みにしてる。
気ままに行きたいところに行こうかなぁ」

と言っていた。

じゃあ当日楽しんでね、と一言伝えて、
通話を終えた。

* * * * * * * * * * *

母の誕生日当日。

昼過ぎに仕事が終わったので、
誕生日だし母ちゃんに電話してみるか、と、
帰りのバスを待つ時間で母の電話にかけてみた。

すると、

「気ままに温泉でも行こうと思ってたら、天気悪くて萎えちゃった。
推しのグッズを買いにマークイズに行こうと思ってる」

という声が聞こえてきた。

残念だったねーと返し、

でもマークイズもなんだか楽しそうだし一緒に行きたい、誕生日ケーキも買ってあげたいんだけど

と言ったら、
一つ返事で「良いよー」と言ってくれた。

最後に、
「あ、でも洗濯するからそれが終わったらね」
と付け加えられた。

* * * * * * * * * * *

私は一旦家に帰って腹ごしらえ。

帰宅して1時間半くらい経った時に母がいつもの車で迎えにきてくれて、
二人でマークイズ福岡ももちへ向かった。

マークイズへ向かう道中では、
今世間で話題になっているあれやこれやについて話をしながら、ついでに兄弟たちの近況を聞かせてもらった。

みんな心も体も元気で健やかなのが一番。

それさえあれば、なんでもいいのだ。

マークイズ到着。

母はお目当てのお店へ真っ直ぐに向かい、
お目当ての商品を購入した。

その商品から出てくるのは、
通常版(1種類)かシークレット版(1種類)、合わせて2種類で、
どっちが出るかは分からないらしい。

通常版もシークレット版も欲しかったそうで、
とりあえず2つ買っていた。

この2つで通常版とシークレット版が出れば、
1発で揃うことになる。

その後いくつかお店を見て歩いたのだが、さっき買ったグッズの中身について私がすごく気になっていた事もあり、開けてみようとそそのかしてベンチに座った。

ぺりぺりとテープを剥がし、
箱をゆっくり丁寧に開けて出てきたものは、

1つ目はシークレット版。

そして2つ目は通常版だった。

なんと1発で揃ってしまった。


母は感動していて、

「仕事頑張って良かったぁ」

と大喜びだった。


欲しかった推しのグッズを買い、
しかも欲しいものが出て、
自分で自分の頑張りを認められた誕生日。

母にとって最高の一日になっているようだった。

神様は空から見てるよ。良かったね、母ちゃん。

* * * * * * * * * * *

このお出かけのミッションは、
きっちりクリアした。

まだ少し時間があったので館内をブラついていたら、60%とか70%引きのセールをしている洋服の店があった。

ちょうど洋服が欲しいと思っていたし、普段はなかなか入らない店だった(値段がお高めとまではいかないが、ちょいとハードルが高い)ので、
これはチャンスと母と共に入店した。

その店の洋服はどれもデザインが面白くて、
あまり被らなさそうなものが多かったのですごくワクワクした。

おまけにお値段も安くなっているので尚更だ。

その中で、あるビスチェが目に入った。

ちょっとフリフリしてて、でも主張が強すぎないおしゃれな感じ。

ビスチェってなんだっけって人は、丈が胸下あたりまでのキャミソールと思ってもらえたらいいんじゃないかと思う。

ニットとかシャツに重ねて着るやつ。

多分もっといい説明の仕方がありそうだけど、
私はそんな風に思ってる。

ビスチェって結構合わせ方が難しそうだし、
挑戦してみたいけど私のセンスでどう着たらいいか分からないから、今まで買ったことがなかった服の一つだった。

実はそのビスチェを見つける前に、
デザインに一目惚れして買うことを決めた個性的なニットがあったのだが。

そのニットとビスチェを重ねて見た時に

「このニットにこのビスチェ重ねたらめちゃくちゃ可愛くね」

と思えた。


一緒に見ていた母も

「その重ね方可愛いね」

と援護射撃。

さらに欲しさに火がついて、複数のカラーがあったビスチェから一番合うと思った色のものを、ニットと一緒に購入した。

2着でも3000円台だったので、
ほんとうに良い買い物をした。



先日、早速その2着を合わせて着てみた。

自分でも可愛いコーディネートだと思えたし、服を褒めてくれた人もおり、

「おぉ、洋服って楽しいんだなぁ。なんか気持ちがいいぞ」

と、いい気分になれた貴重な1日だった。

これは、おしゃれやコーディネートが苦手な私にとってなかなか得られる感情ではない。

ずっと欲しかったアイテムを身につけて、
満足いくおしゃれができたこと。

すごく気持ちのいい感情だった。

* * * * * * * * * * *

この服を買う後押しをしてくれた母とも昔は色々あったんだけど、
清々しく誕生日を祝ったり、
友達みたいに楽しく買い物ができる関係性は、
過去の私にとっては喉から手が出る程、ものすごく欲しかったものだった。

そうできなかった当時の自分の気持ちは、まぁ自分だから理解できるし、
同じようにその当時の母の気持ちも今となっては想像できるようになった。

今は正直に自分の気持ちを伝えられるし、
昔の事を深く話す中で「そうだったの」と思った事もあった。

その自分自身の変化は、私が結婚して今は住まいが違うという物理的距離がもたらしてくれたものであるとも思うし、大人になってから出会った沢山の人の価値観に触れてもたらされたものでもあると、強く思っている。

自分が欲しかったもの、
今回の場合は、『母との関係性』と『ビスチェ』だが、
欲しいと願ったらちゃんと手に入って、
心も満たされるのだとわかった。

欲しがっても仕方ないもの、
頑張ってもどうしても手に入らないものは、
もちろんこの世にはある。

でも『私だから欲しがっちゃいけないもの』は、
きっとない。


母と話をしていると
「可愛いけど、この金額は買えない…」と、
時々口にする。

正直私ですらそんなに高くないと思う金額でも、だ。

母は『値段が高いもの』について、
まだ拒否感があるようなのだ。

そう思う癖が付いてしまった原因は大体わかるし、仕方が無かったという事もよく分かる。

そう、仕方が無かったのだ。


でも、誰であっても高価なものを身につけていいし、
金額関係なく(ちゃんと手が届く範囲で)、
自分が「好きだ、気に入った」と思ったものを身につける気持ちよさを、母には感じてほしい。

「高いから」と言って、
欲しいものを諦めてほしくない。

これからは自分のためにお金を使う楽しさ、気持ちよさで母自身を満たしてほしいと思う。

あくまでもこれは私のエゴ。

でも、母には伝え続けたい。

* * * * * * * * * * *

母について最近思う事を書き殴ってみたけど、
きっと自分にも言えることなんだろう。


自分が欲しいものはここにあるのか?

そもそも、ほんとうに欲しいものって何だろう?

価値観や大切なこと、ものの捉え方は人によって違うし、関わる世界によっても大きく変わってくるものだろうから、

周りを行き交う人たちに流されてしまわないように、自分が自分と向き合って、問い続けないといけない。

すごく難しくて、できる気が全くしないけど。


書き損ねてましたが、
母にはちゃんと誕生日ケーキを買いました。


モンブラン、美味しかったかな。

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