勘違いのモテ期
人は人生でモテ期が2度?あるというが、私は今までそんなモテ期に遭遇した記憶がない。
だが、奇麗な女性から声をかけられた経験はある。それも、ほぼ毎日。
当時働いていた勤務先が田町だった。当時は田町駅から徒歩20分〜30分くらいかかる首都高速下の会社に通勤していた。駅から会社までの遠い道のりがとても嫌だった。しかも営業の仕事で重たい荷物(原稿)を持って、何往復もしたりすると、仕事なんだか歩いているんだか分からなくなっていた時もあった。嫌だったがそんなに苦にはならなかったのが不思議だった。
そんな勤務地の湾岸エリアが注目を浴びて、どんどんオシャレな街になっていく。その当時流行っていたのは、ジュリアナ東京というディスコだった。今でもテレビで昔のバブル時代の象徴としてお立ち台で女性がダンスするシーンが流れる。そんな誰もが謳歌したであろうバブル時代に恩恵らしい恩恵を受けたことは全く感じたことはなく、ただただ忙しく、ひたすら残業をする日々だった記憶しかない。毎月残業80~100時間というのが当たり前だった。
そんな残業に明け暮れる毎日。訪問先から夕方に田町駅に戻り、会社へと向かう途中で女性に声をかけられるのだ。
決まってかけらる言葉は
「ジュリアナ東京ってどこですか?」
ジュリアナ東京を通り過ぎるまで何人も聞いてくるのが普通だった。毎日毎日声をかけられるので、相当私は声をかけやすい人に見られていたのだろうと思う。今となっては、あんなに声をかけられていたにも関わらず何一つ面白いエピソードがないということが非常に残念だ。
ひたすら道案内だけをしていた私だった。あんなに近くまで何度も行ったジュリアナ東京に結局私は一度も行くことはなかった。多分、道案内ばかりしていたので、すっかり行った気になっていたのかもしれないけど。
ジュリアナ東京の思い出が、道案内っていうのは自分でもおかしいと思うけれど、あの頃の女性が持っていたパワーが凄かったことだけは忘れないだろう。
なんというか、ギラギラしていたというか、ワクワクしていたというか、めちゃめちゃ目が輝いていたと思う。
でも過去の記憶ほど美化され、年齢と共に改ざんされていくから、この思い出も美化された思い出の一部なのかもしれない。