自由人が発する言葉
相棒と話をした時のことだった。相棒は私とは全く違う観点を持っている。今回は孤独死についてだった。
「孤独死って言うと何か暗い感じするけどさ、本来はみんな孤独死なんじゃないのかな?」
「えっ!なんで?」
「ほら、俺は独身でしょ。俺が今家で死んだら世間的には孤独死って表現をされるけど、全く寂しくないし、当たり前なのになって思っているんだよね」
「だって、散々好きなことやっているし、好きな酒飲んでいるし、好きなことだらけの生活だからさ、全く暗くも、寂しくもない」
「あんた達だって、夫婦で揃って死ぬ事って、事故や事件に巻き込まれる以外は、どちらかが必ず先に死ぬんだよ。そしたらさ、その先は俺と同じ環境だよ。だからさ、孤独死ってこれからもっと当たり前になるんじゃないかな?」
「でも、病院とか施設とかあるじゃん。その場合は、孤独死にはならないでしょ」
「そうだね〜お金に余裕があって尚且つ、家族も多い場合によるね。お金に余裕がなくて、家族が少なければ、俺と同じだよ。だから、孤独死が寂しいとか、悲しいとか、俺は全く思わないね。これから、孤独死が当たり前だよ」
「あのさ〜久しぶりに会社に来て、いきなり孤独死の話ってなんなの?他にさ、もっと明るいなる話とかないの?」
「いや、人間のゴールは決まっているから、逆算的な考えで『今を大切に生きなきゃね』って思ったのさ」
「結局、生まれる時も一人、死ぬ時も一人なんだよ。だから、俺みたく好きな事を若いうちにした方がいいって話さ」
「それさぁ〜オジサン同士する話じゃないと思うけど。そんな話をもしかしてガールズバーとか言って話しているとしたら、ヤバいおじさんだよ」
「大丈夫!ガールズバーの時はもっとくだらない話をするから」
私は思った。相棒もガールズバーに行けなくてストレス溜まっているんだなぁ〜ここは黙って聞いておくかと思った瞬間、ボソッと相棒が言った。
「俺、九州の電車にどうして乗りたいから、金曜日から月曜日まで休むのでよろしく!」
孤独死という重い話でスタートしたのは、全て旅行の前振りだったのだ。
「何だよ!結局いつものパターンじゃん」
どうぞご自由に気をつけて楽しんできてくれと言うのが精一杯だった。相棒がやっぱり自由人なのだという事を再確認した話だった。