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日本とイギリスの教育の違い 選択科目編

Hello, みろろんです。

コロナ感染者は相変わらず増えていますが、ロックダウン1週間目も終わろうとしています。なんとか目に見える結果がクリスマス前までにほしい雰囲気のイギリス。

タイトルはいつものことですが、ある日常からの内容です。



イギリスでの進路選択

うちの子は現在日本では中学1年生。イギリスでは(日本からみると現地校といったりします)Year9(略してY9)になり、3月から学校に行っていなかったので約6か月ぶりの学校生活3か月目。

Secondary schoolも折り返し。イギリスではそろそろ選択科目を決定する時期になってきました。これは学校によって異なるのですが、子どもの学校ではY10からの2年間は選択科目になります。

もちろん基本は主要3科目(イギリスでは英語、数学、理科)は必須ですが、その中でもレベルが選べたりするところがイギリス流。

いつもならOpen Eveningがあり学校の体育館にいろいろな科目の展示がされ、担当の先生と直接話せる機会があります。親も一緒に参加し、それぞれのブースでこの先こんな勉強をします、という情報を得たりや相談ができます。

イギリスの子供たちにとってこの科目の選択が進路がわかれる始まりです。

ちまたでは「イギリスの子供たちは早く進路を決めすぎだ」という声もありますが、子供たちは「勉強したい科目に集中できる」といった感じで受け止めています。

進路、といわれているのは、この科目でGCSEを受けることになるからです。将来を左右されると言われているGCSE。なるべくよい成績をとることが求められます。

GCSEについては過去に記事があるのでご覧ください。(私も英語を受けました!)


選択はいろいろな分野があるのですが、実際とれるものは限られています。

うちの子の学校ではまず第二外国語をとらなければなりません。(すごく成績の悪い生徒は免除されるようですが)これは今勉強しているフランス語か、すでに選択でとっているドイツ語のいづれかになります。ちなみに他にスペイン語もとることができます。これはドイツ語にする、と即答。(フランス語も成績は悪くないのですが)

そして、Humanitiesというカテゴリーから1つ。これは2つからしか選べず、HistoryかGeographyより。Geographyは地理なのですが、日本の理科の地学の一部もここで学びます。これも迷わずうちの子はGeography。

ここからが問題です。そのほかのカテゴリーからあと3つ選ばないといけません。(本当に受講できるのは2つですが、予備も書くことに)

ここは分野が幅広く、体育や技術家庭、音楽という日本でも選択できるようなものからEconomics、Sociology、Business、Degital Art、Computingなど様々なものから選択可能です。日本にはないものばかり。

先生からのメッセージ(動画)では、自分が楽しめる科目をとること、担当の先生で決めないこと、友達がとるからと同じにしない、など説明があります。

さらに大事なのはGCSEのグレードはY11の夏にある試験が100%なのか、コースワーク(または実技)と試験がありその割合は教科によってさまざまです。

一発の試験が得意な子は100%、また試験のプレッシャーが苦手は生徒は学校の課題をこつこつやることが評価される科目が有利なのかな、ということで本人に最終的には決めさせます。

イギリスは以前はコースワークがとても多かったのですが、10年ほど前からアジアの教育を取り入れ、どんどん試験(それもセンター試験のように全国一斉)の比重を多くしています。

これから2週間放課後にテスターと呼ばれる公開授業があり、いろいろな科目の授業を体験することができます。

自分にとって有意義な、自信をもてる科目を選択してくれるといいな、と願っています。

日本ではどうか

ここからは日本での私の経験、過去を語っていきたいと思います。

私は高校に入って初めて教科選択をしたのは1年生のとき。芸術のみでした。音楽、書道、美術があり、私は迷いもなく音楽を選択しました。

音楽はドイツ語やイタリア語で歌ったりとレベルは高かったのですが、卒業のときに美術選択の友人から油絵具の道具をもらいました。

「こんなのいらない」

といっていたのを聞き逃さず、

「それ、もらっていい?」

ときいたのでした。私は水彩画はやったことがあったものの、油絵は描いたこともなく、絵具をみても結局どうやって使うのか分かりませんでした。(笑)それでも知らない世界がある、とわくわくしたのを覚えています。

今興味なくても後になって好奇心をそそられるかもしれないし、もしかしたらその後の人生で知らないままかもしれません。

私の高校は芸術以外は選択はほとんどなく、3年生になってやっと理系、文系に分かれました。私は理系を選択しましたが、それでも社会は2つ(日本史と地理)選択しなければなりませんでした。国語、英語の授業は文系と同じで数学、理科のレベルは高いという・・・。他の学校では2年生やその前から選択が始まると聞きましたがそれは私が大学に入ってから知りました・・・。

私は受験に必要でない科目の時間は内職をしていたり(!)、息抜きの時間だったりしたのですが受けていてやはり覚えていることも多いんですよね。

そう思うといろいろな科目を勉強するのも悪くないな、と思っていたのですが、イギリスに来てから全く違う価値観に出会います。それが14歳で選択するという教育。

私は17歳くらいまで選択していないのに(選択してもいろいろ勉強した!)子供たちは若干14歳で例えば歴史を全く勉強しなくなるのです!!しかも、歴史も自国のものだけではなく、アメリカなど他の国のこと中心。ということはイギリスの歴史も断片的なものしか知識がありません。

日本だったら日本の何々時代、とかは全員習うのである程度知識があると思うのですが、イギリス人は歴史にとっても詳しい人か、知らない人に分かれています。

こればかりはどちらがいいのか・・。私はもうどちらがよいのか、は考えないようにしています。これは単に考え方が違うのだと。

歴史の面で言えば、イギリスに来てからよく歴史の話をするようになりました。必ず話題になるのは第2次世界大戦です。日本はひどかったよね、とかこんなに悪いことをした、など。私は日本で知っていたつもりでしたが、山本五十六の戦術はすごかったよね、とか言われてもそのイギリス人の知識には及ばなかったです。とにかく好きな人は詳しい!!知らない、というと「日本人なの?」と責められました。(冗談でですが)

あと、はやり敵だったこともあり、「私の父にはあなたは会わせられない。日本人嫌いだから」と言われたこともあります。

日本ではイギリスと直接戦った、という意識はあまりないようですが、実はインドやマレーシアは当時イギリス領だったので、多くのイギリス人軍隊が派遣されていたのです。(もうご存じだったらすみません。私はマレーシアがイギリスだったことも知りませんでした・・。世界史取ってないから?)

そういったことが学校で学べるとは限らないので、選択科目くらいでごちゃごちゃ言うのもどうかな、と思えてきた私。

最後に

大人になったイギリス人と日本人をみて、学校教育でこうなったのだな、と感じることは正直少ないです。高校までの数学などで日本のほうが学力が上だと言われていますが、できる人はどこにでもいるのでそれが学校教育の結果か、と言われると判断しかねます。

私たち夫婦が子供をここ(イギリス)で育てよう、と思った理由の一つに「生きる力が身に着く」ということはあると思います。確かに中学から歴史も勉強せず、自分の選んだ科目のみ学習し(必須科目はありますが)、さらに高校レベルになると3つのみ・・という学校のシステムに戸惑いはあります。しかし、教科の枠を超えた「考える力」や「生きる力」はついていると思うのです。

その証拠に我が家ではいつも政治の話や流行について分析したり、意見を言い合ったりしています。中学生、高校生でもしっかり意見を持ち、冷静に世界の状況をみています。もちろん日本でも活発に議論されている方もいると思いますが、少なくとも私が中学生の時にはあまり考えいたなかったことをうちの子たちは考えているようです。



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