今更ながらのBrexitの裏話
Hello, みろろんです。
Brexitのためにreferendam(国民投票)が実施されたのは遡ること2016年6月23日。2020年12月現在、昨日の記事を書いていて、「あれ、Brexitについてそこらへんにいるイギリス人(政治家や有名人といった、ニュースにならない個人)からきいた話を書いていない?」と思い、書くことにしました。
私がイギリス人とかかわるのは主に職場です。日本人家族の私は家の中は全く日本語。見るテレビも日本のYouTubeを中心とした動画。近所の人と会えば話しますが立ち話程度です。
2016年といえば、私が職場でもめていたころです。現在も私の上司であるウェールズ人、他にイングランド人が2人、というメンバーが同じオフィスにいる状態です。現在は2人とも定年退職しています。月日を感じます。
イギリス人2人は仲が悪く(まあ、二人ともパート勤務なので顔を合わすことがないのですが)お互いのことを私に話してくる状態でした。(私は2人共と働く曜日があるので)
そのうち仲のよかった人がEUからLeaveに投票する!と意気込んでいました。
彼女(Aさん、としておきます)はとても視野の広い人で一般的に言われているような閉鎖的な考えではない人です。それでもLeave(脱離)一択!迷いなし!と。
私は理由を知っています。伏線があるのです。
実はAさんはあまり裕福な人が住んでいない、治安が悪いとされている地域に住んでいます。苦労人で元看護士です。2人子供さんがいらっしゃるので子育ての先輩としてよく話をしていました。
Brexitの前に息子さんが交通事故で亡くなりました。早朝シフトに出掛けるときにタンクローリーの運転ミスで正面衝突。当時ニュースでも大きくとりあげられました。
日本ではわかりませんが(知っている方教えてください)その運転手は逮捕されたものの事故として処理され、刑務所に入ることもなくその後も運転できたそうです。
そういうことにも憤りとやるせなさを感じ、3か月ほど休職していました。
口には出しませんがその運転手はイギリス人ではなかったのかも・・、と今になっては思います。
さらに、Aさんには悩みがありました。それは息子さんの話のずっと前にからお隣の家に外国人がひっきりなしに出入りしている、というものでした。
隣の家は賃貸に出されていたそうで契約したのは大手安売りスポーツ小売店。実は私も安くてブランド(ナイキなど)品物が買えるのでよく利用する店なのですが、どうして安く品物を提供できるかというと、店員や倉庫で働く人をZero contractというカテゴリーで雇い、最低賃金で働かせているためです。倉庫の仕分けは24時間、夜中も稼働します。
裏話1.その最低賃金で働く人はどこから来るか・・・
EU内の低賃金労働者です。主に東ヨーロッパの方々。
ビザがいらないのでいつまででも、どこにでも住める夢のビザなしがヨーロッパ(EU内)に存在します。不法滞在ではないので警察も介入しません。
しかし、その人達もいくらなんでも過酷な生活はしない?のか、3か月、などと期間を決めて働くそうなのです。
そのため、夜中に夜通し走ってきたマイクロバスが音を立ててAさんの家の横に泊まり、スーツケースを抱えた人5,6人が家に来る、と。入れ替わりの人を運んだバスはまた闇に消えていくそうです。
Aさんは音がするたびに起きてしまい、窓から
「今日も来たか・・・。」
と様子を見たそうです。
夜中にゴソゴソする音だけでも寝不足になりそうですが、Aさんは続けて・・・
「(ゴミのづ手方がわからず庭に積み上げられた)ごみが臭う」
「(本来なら家族4人が住むくらいの3LDKに10人くらい住んでいるので)ごみ箱の容量に耐えられず路上にごみが散乱」
「家の前で大声で電話で話しながらたばこを吸う。そして吸い殻は路上に放置」
「大音量で音楽を流す」
などなど。不満の声はとどまることをしりません。
私は自分も外国人だから
「英語がわからないからなだけなのでは?」
と言ってみたのですがさらに逆上して、
「翻訳機で○○語で張り紙をしたり、絵を描いたポスターでこうやってほしい、といっても長い人で3週間で入れ替わるのできりがない。国が違うのか一緒の家にいる人も意思疎通ができていないようだ・・」
と。
想像してください。リビングに布団を引きっぱなしにし、部屋を区切りぎゅうぎゅうずめで生活し、異国の地でシフトで働くことを。
Aさんはその人たちだけの責任ではないと思い行政にも相談しましたが、家の大家さん(イギリス人)も何もしてくれないそうです。まあ、しようとはしているんだろうけど、契約を破棄しない限りこういう人が出入りを続けるんですよね。
ずっと同じ人ならだんだんコミュニケーションがとれてくるかと思いますが、毎回人が違うとさすがにうんざりするんでしょう。しかも熱心に話そうとする人と、「英語ワカリマセーン」とひらきなおる人も多いとか。
Aさんは私やそんな外国人を嫌っているというよりも、こういう制度(ゼロコントラクトってバイトみたいに使い捨て、や、合法だからといってイギリスに出稼ぎに来て同調しようとしない人が働けてしまう)を嫌い、それは政府に責任でしょ!ということでBrexitを選んだのです。
他にも教養がある人がBrexitに賛成した理由もはやり貧しい地域で外国人に仕事を取られてる!と感じている人でした。
振り返ってみてもEUの人をビザなしで就労させない、というイギリス人が多く「脱離」に投票したように思います。
現実問題はAさんの指摘していたとおり、EUうんぬんではなく、イギリス政府のやりかたに不満があったのです。
David Cameron元首相はそういう人の政府批判から一般の人の目を背けさせるためにEUが悪い、というふうに仕向け、それらの声を押さえられずreferendumを実行したのです。
裏話2.もう一つの理由
AさんはイギリスがEUに加入してから国内がよくなった、とは思っていないのです。その理由は
EUが決めた法律などに縛られて昔ながらの商売ができなくなったり、窮屈な思いをしている
というもの。はやりヨーロッパは大陸(イギリス以外といってもよいかも)とは全く文化が違います。まず宗教もカトリックはあまり影響せず、自分の国で英国教会という宗派をつくったほどなので、似てはいるものの、そこまで共通認識がない、といった具合です。
また、商売もEU共通の規定などが細かく、輸出入は自由といいつつ、膨大な書類が必要で、口約束が好きなイギリス人(私のまわりの大工さんとかはそうです)にとっては仕事がしにくい、と感じるようです。
よい例が友人でフィンランド人だけど、スウェーデンで育った人がいるのですが、イギリスは融通がとてもきく国だ、とよく言っています。北欧でも紙の「契約」がとても重要なのだ、と。
最近でいうとGDPRという個人情報についての取り扱いの法律がEUででき、市民サークルに参加するときでさえ、そういう書類にサインをし、細かく指定されたことのみ情報共有できるなど「紙」が重要です。
Aさんはそういうことを指して、イギリスがEUにコントロールされている、と。また、ヨーロッパの国々も独自の文化があるのに、経済のみならず、そういった倫理観まで同じようにするのには反対!とのことでした。
3.私としては・・
Aさんの主張は私は一つ一つ理解できます。まるで日本と他のアジアの関係を見ているようではないですか?!
しかし、実際のBREXITはそういうことを解決するためではなかったようです。(ここがポイント!)
私はこの責任はキャメロンさんだけでなく、政策の失敗だと思うので本当は保守党 (ConservativeとかToryといいます)の責任だと思うのです。当時はBREXITは何を意味するのか?どうなるのか?が不透明なまま選挙したためです。
もちろん今までEUを脱退した国がなく想定もされていたなかったので誰もどうなるかわからなかったと思います。しかし、政治家もわからないことを一国民に決断させるのはあまりにも無責任だったように思います。
私の意見は選挙権もないので反映されませんが、今後もイギリスの動向を見守っていくしかありません。
長文でしたが、少しでもイギリスの生の声を届けられていれば幸いです。
P.S. Aさんは定年したので、それ以降会っていません。お隣さんがどうなったのかは知りたいところです。
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