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鴨居羊子
鴨居羊子さんというと、カラフルでおかしな人形や下着を作ったヒトとしてどこかで企画展が開催されていたのを覚えている。現代美術に興味があった私には、昭和の女性下着製作者としか認識していなかった。もちろん企画展にも行かなかったし行こうとも思わなかった。
それでなんで急に鴨居さんを読みたいと思ったのかというと、ここ最近のコロナにあわせて私は家でラジオを聴くことが増えたのだけど、そこで紹介されていたのだ。天下のNHKラジオなんかで紹介されたからには図書館で借りて読みたいと思う人がいるはずだ、と思った。しかしそれから1週間経っても2週間経っても誰も借りる人はいなかった。ちょっと淋しいような気がしつつも、今鴨居さんが私の手元にあるというわけ。
新聞記者を辞めて下着を作り始める前、特に小さな新聞社の記者時代の刺激的な記述に魅かれた。当時の小さな新聞社の記者たちには新しい世なのかを創っていくような気概があったらしい。台風被害を大手は倒壊した家屋の数、行方不明者数、死者数で取り上げるが、鴨居さんのいたところは違う。被害を取材に行って、それも身体を張って溺れかけたりしながら、はたまた、金属製のバケツではなくポリバケツの時代の到来を予見したり。
その後鴨居さんは大手の新聞社に移るのだけれども、そこで大手ならではのやるせなさにぶつかる。空腹であるのに自分ではそれが分からない記者たち。机に支配されている記事。嫌気がさすのである。
これを自分に重ね合わせて読んでいることに気付く。大手の新聞社でのつまらないサラリーマン生活、母への抵抗。母が反対するからこそやれた、というのがなるほどそうかもねとうなづけた。捌けた語り口にどんどん読んでしまった。気づけば4時。
今普通に職場に出勤して、合間にこれを書いたけど、ああ、早く続きを読みたい。