2個目 言わず出さず映さず。
前回書いた通り、今回は「私たちの忘れもの。」の(故意に)隠された設定をご紹介したいと思います。
ですが、これはあくまで私の考えというだけで、この作品の正解という訳ではありません。
まずは、物語全体の基盤となる設定について。
作品の主役として「青色」それに対称するものとして「紫色」を設定しています。
はじめの頃は青と赤を対比として考えていましたが、少し分かりやすすぎるという点、デザイン的に合わないという点そして実行犯は研究員に「紛れて」いた。という設定を上手く示唆できていないと感じ、青とその近似色である紫を対比として設定しようと決めました。
青が固定されているのは世間的なイメージとして正義、正しさが青色にあると感じたためです。研究所側を正規、紫を加害者として表現したいという意図に基づいています。
(紫色は好きな色なので悪として設定するのに苦心しましたが、好きな色で描けるという点で納得して描いてます。)
この青vs.紫をできるだけ守って着色しました。
例えば、青は主人公の腕時計バンド、鍵の持ち手やパソコンのウィンドウのカラーとか。紫は実行犯である研究員Aの腕時計バンド、パソコンの壁紙などなど...…
探すと結構ありますね。
色の話が出たのでここでお話ししますが、色の設定にはかなり苦労をしました。制作しているPCとiPhoneそれぞれで色味が異なってしまうからです。
PC自体長く使っているせいか、TN液晶だからなのか、特に肌の色については苦労しました。PC画面では思った色でもiPhoneではかなり赤みのある色になってしまうのです。
いちいち確認するのも手間なので、すでに確認済みのシーンから色をとってほぼ同じ色を使うようにしました。
次は世界の設計についてご紹介します。
クレジットにも「世界設計」という名称が出てきます。
この世界は少し未来の日本を描いたつもりです。
車のフロントガラスに速度や予測必要時間が表示されていたり、想像する「少し」先の世界です。
未来、とはいえすべてが最新鋭にはしませんでした。
例えば、タクシーの座席が映るカットではiPodがあったり、実験室Aのコンピュータがたくさんあるカットでは2013年版MacPro(いわゆるゴミ箱MacProです)やPower Mac G4 Cubeがあったりしているのです。
これはただ描きたいから描いたという訳ではなく(描きたいから描きました)研究対象は最新、研究設備は古いという対称として描くことでCitline(自然)に追いつけていない人類を表しています。
「Citlineてなんだ?」
「シトリンって読みます」
「それで?」
「以上です。」
嘘です、ちゃんと書きます。
Citlineはカット82、黄色い石が閃光を放つシーンに登場します。
このCitlineこそがこの研究所で研究している新エネルギーの正体なのです。
名前は黄色い宝石であるCitrineがもとになっています。リンの部分をrinからlineに変えたのはエネルギーとしてライフラインになるという意味を込めています。
実はこのCitlineの情報は作中に出ています。
このシーンです。
テキストの左下にはこう書かれています。
このメッセージの部分はJISキーボードでcoto2ldck-di0;oklc4b/.の位置にあるひらがなを書き出すと「そらからふりしそのほしにわれらのりそうこめる」となります。はい。
Citlineは空から降ってきたようです。発見者のメッセージが込められていますね。
今回はこれくらいにしましょう。
もう少し細かい部分があるのでまた次回書いていきます。
それではまた次回。
私たちの忘れもの。本編YouTubeリンクです。ぜひご覧ください!!!!!
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