おばあちゃんとブドウと孫
先日のこと。
上のツイート投稿には書かなかったが、この雷鳴の前に、子どもたちにはもう一つ別の雷が落ちていた。
姑・サーちゃん(以下、サーちゃん)がこの子たちがやってきて「ブドウちょうだーい」というや否や、ものすごい声で追っ払ったのだ。
たしかに子どもたちの中には見たことのない子もいたけれど、半分は同じ村の子どもたちだった。去年集団避難したときに同じ避難地にいた子たちだ。
私はサーちゃんの怒鳴り声に戸惑った。
ブドウ目当てかもしれないけど、せっかく遊びに来てくれたところをそんなふうにあしらわなくても…。
娘・プーちゃんもたくさん友達が来てくれて嬉しいのに、おばあちゃんがそんなんじゃ誰もこの家に遊びに来なくなるんじゃない…?
*
私は娘が2歳やそこらの頃を思い出した。
サーちゃんは本当に娘を可愛がってくれた。可愛さ余ってなのか、近所の子どもたちが家に来て娘をあやしたり、散歩の道中で娘に話しかけたりするのは拒んでいた。それが許されるのは長兄と次兄の子どもだけだ。
よその家の子がくると、「お母さんが呼んでる」「もうお昼だから」などと適当なことをいって帰らせる。
いくらなんでも自分の孫だけを可愛がりすぎだろう…と私はイヤな気分を抱えていた。
私は近所の子どもたちみんなで遊べるように、ビニールプールを買った。
今日プール遊びするよ~うちにおいでよ~、と近所の子たちを誘うとみなモジモジしている。
その子たちのお母さんが教えてくれた。
「おばあちゃんが怖いから行きたくないって…」
それならと近所の空き地にビニールプールを持って行って、そこでみんなで遊んだ。
私も子どもたちも喜んだけど、逆にサーちゃんはいい気持ちはしなかったかもしれない。
*
別の日に、こんなに他人の子と交流させないなんてありえないわ…と友人に愚痴をこぼした。友人は意外な反応をした。
「そうかなぁ、私、おばあちゃんの気持ちわかるかも」
え、なんで?どこが?と私は身を乗り出して聞いた。
「だって、よその子は何をするかわからないじゃない。子ども苦手だしさ」
はぁ、そうなんだ! そんなふうに思うんだ!
ほかの家の子たちが自分の子に危害を与えるかもしれないってことね?
うーん、たしかにその可能性はゼロではないなぁ。
友人の意見とサーちゃんの意見が同じとは限らない。
けれど、私はこのとき気が付いたんだ。そういえば私はサーちゃんがなぜ子どもたちを拒絶するのかを聞いたことがなかった、と。
*
この友人との会話を思い出しながら、サーちゃんはどうして子どもたちに帰れと怒鳴ったのかなぁと考えた。
私がいくら考えたところでわからない。
たまたま雷鳴で子どもたちが帰ったので、サーちゃんに単刀直入に聞いた。
サーちゃんは、「だってプーちゃんのブドウがなくなるじゃないの」と事もなげに答えた。
え、こんなにいっぱいブドウあるのに?
私はそう思ったが、大勢の子どもにあげるとプーちゃんの分が減るのは事実である。なるほど…。
サーちゃんはサーちゃんのやり方で孫を守っているんだ。
そうかそうなのか…。
何といえばいいのかわからなくなって、私は雨に濡れながらブドウを数粒もいで娘に与えた。
サポートはとってもありがたいです(ㅅ⁎ᵕᴗᵕ⁎) 2023年年末に家族で一時帰国をしようと考えています。2018年のロンボク地震以来、実に5年ぶり。日本の家族と再会するための旅の費用に充てさせていただきます。