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悲しみ

また雪が降って来た。さらさらと乾いたたくさんの雪。白い花びらの乱舞。

友だちのMはこの頃体調不良がひどくて、今日もリハビリを休んだそうだ。「映画を観る」と言い、冗談まで言って私には元気そうに思えたけれど、ほんとうのところはわからない。おそらく、死を意識するほど良くないのだろうと思う。高齢だし、体は不自由だし、いつそうなってもおかしくないのだ。ずっと、毎日のようにメールやLINEをして来たから、Mが死ぬと考えただけで、血の気がサッと引いていくのがわかる。Mも愛犬が死ぬとき、こんな気分だったのだろうか。

Mの愛犬が死んで2ヶ月。一人、マンションの部屋で降り積もる雪のような悲しみに耐えているM。どうか、これらの悲しみが解けて、穏やかな春の光のような日々がまた訪れますように。犬との十数年の思い出が、Mの悲しみを少しずつ癒してくれますように。真っ白な空に祈る。

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