コンサドーレサポが集うNHK札幌のライブビューイングにおじゃました話
5/31(金)~6/2(日)、北海道に行ってきた。
今回の遠征のお目当ては、サッカーではなく野球である。
北海道日本ハムファイターズの新本拠地エスコンフィールドにて、僕が(ヴェルディと同じくらい)こよなく愛する横浜DeNAベイスターズの試合があったのだ。
2023年にオープンしたこの”ボールパーク”、DeNAがここで公式戦を行うのは初めてだ。日ハムはパ・リーグ、DeNAはセ・リーグと、異なるリーグに所属する球団なので、対戦するのは年に1カード(3試合)だけだし、さらにはエスコンフィールドでDeNAが観戦できるのは、2年に1回だけなのだ。今回の機を絶対に逃してはならぬ、と前々から鼻息を荒くしていた僕は、月末最終日にもかかわらず遠慮なく有休を取得し、同僚に仕事を押しつけ(すまぬ)、「11 AZUMA」ユニをカバンに詰め込んで、ウッキウキで北の大地に降り立った。
結論から言うと、エスコン、最高でした。
行ったのはカード初戦の金曜日だけだったけど、極上の観戦体験を味わうことができた。球場でおいしいお酒を飲みすぎてテンションが上がった結果、柄にもなく妻との2ショットをツイッターにアップしていたほどだ。いやお前そういうキャラちゃうやろ、Football Managerについてぼそぼそと語り、たまにひとりで延々と徒歩遠征をする姿を垂れ流すアカウントちゃうんかい、とたしなめる心の声も聞こえたけど、まあ楽しかったのでいいのである。
とにかく、素晴らしい思い出ができた3日間だったので、そんなお土産話も追ってnoteに書こうかと思っている。
(2024/6/14追記:こぼれ話、書いてみました。)
さて、本題。
旅行最終日の6/2(日)、NHK札幌放送局で開催された「北海道コンサドーレ札幌ライブビューイングvs東京ヴェルディ」に、アウェイサポーターとして図々しくも参加してきた。
話は出発前の5月中旬にさかのぼる。
今回の旅行は、
1日目:トリトンでお寿司を食べて、夜はエスコンで野球観戦
2日目:天気が良ければ支笏湖ドライブ(本当は樽前山に登りたかったけど、現在登山道が閉鎖中ということで、泣く泣く断念・・・)、雨が降ったら旭山動物園
ってのは決めてたんだけど、最終日だけはノープランだった。
もちろん、この日は愛する東京ヴェルディと北海道コンサドーレ札幌、残留争いのライバル同士の一戦がある。これがアウェイ札幌開催だったら、ヴェルディサポ兼Deファンの僕にとってあまりにも完璧すぎる日程だったわけだけど、残念ながらホーム味スタ開催だったので、現地参戦は叶わない。
とはいえ大事なこの試合、札幌の地にいながらして、臨場感たっぷりに観る術はないだろうか、と札幌市内のスポーツバーあたりをネットで調べていた僕の目に、こんな文字が飛び込んできた。
なんと、NHK札幌放送局にて、この試合のライブビューイングが開催されるらしい。
しかも、ゲスト解説として、我らがヴェルディOBでもある福西崇史さん(さわやか893)、そして河合竜二さん(僕、昔マリノスのエスコートキッズをやらせてもらったことがあって、河合さんと手つないだんですよね)という、とても思い入れのある両名がゲスト解説として参加されるというのだ。こんなん絶対行きたいじゃん、僕はいてもたってもいられず、慌てて申し込みページをクリックした。
幸いなことに、ライブビューイングはまだ応募受付中となっていた。会場に入れるかどうかは抽選制とのこと。
とはいえ、このイベントは、どう考えてもコンサドーレサポーター向けのイベントである。僕のようなアウェイサポーターがノコノコと乗り込んでいい場所では、おそらくない。でも、やっぱり行きたい。
応募にあたっての注意事項にもくまなく目を通したが、「コンサドーレサポーター以外は入場をお断りします」とか「他チームのグッズを身に着けての入場はダメよ」とか、そんな項目はなさそうであった。
念のため、応募フォームにあった”番組に寄せたいコメント”という欄に「僕にとってコンサドーレは思い入れの深いチームであり、2011年の最終節での”We are Sapporo”チャントとか、ルヴァン決勝の”スティング”とか、今でもたびたび見返すくらい好きなんですけど、でも僕の最愛のクラブは東京ヴェルディです。この日は白熱した試合を見届けたいと思っています!!」的なことを書いて、応募した。もしヴェルディサポが紛れ込むのがまずかったら、遠慮なく抽選で落としてくれればいいのだ。
このチャント動画、いろんなチームの中でも屈指のカッコ良さだと思ってる
数日後、ライブビューイングへの「当選」メールが来た。おそらく参加不可だろうなあと思っていただけに、とっても嬉しかった。
ヴェルディサポであることは明記したうえでの当選なので、会場に入るのは問題ないのだろう。さて、当日はどんな服装で行くべきか。たとえそこがアウェイサポが集う場であろうが、一応僕にとっては戦いの舞台である。ならば勝負服を着ていくのが礼儀ではないか、と考えた僕は、「11 AZUMA」の青と白のユニフォームと一緒に、「22 ONAGA」と書かれた緑のユニもカバンに詰め込み、新千歳行きの飛行機に乗ったのだ・・・!!
さて、当日。
ライブビューイングの開演は、お昼12時45分から。
少し早めにホテルで朝食を済ませ、午前中はサッポロファクトリー~永山記念公園~サッポロビール博物館までの道のりを、妻とのんびりお散歩した。快晴にレンガ造りの建物がよく映えていた。サッポロビールの隣にあるアリオ札幌ですれ違った親子連れが、緑色のアスレタを着込んだ僕を見て「あれ…え…今日ホーム…??」って困惑している声が聞こえてきた。紛らわしくてごめんなさい。
到着前には、スウィート・レディー・ジェーンの美味しいスコーンをお土産に買ったり、マルセイコーヒーのとんでもなくうまいパニーニでお腹を満たしたりして、
札幌近郊でやりたかったことはひととおり済ませたので、いよいよ会場であるNHK札幌放送局に到着した。
1F入口のすぐそばで「光る君へ」の展示が行われており、その奥のスタジオがライブビューイングの会場だった。
受付のスタッフの方が、緑色を身に纏った我々夫婦を見て「おっ」という顔をしていた。
会場内の写真撮影はNGだったので(そうとも知らず、勝手に写真を撮ってツイッターにアップしていた不届き者は僕です、大変申し訳ありません・・・!!該当ポストは削除しました)NHKとコンサドーレの公式写真を借用させていただく。
当選者だけでも100名近く、当日参加の立ち見勢も合わせると、150名を超えるコンサドーレサポが集う中、空気も読まず緑色のユニを着込んで、最後列に座った我々夫婦。他の来場者からすれば、うっとうしいことこの上ない存在だっただろう。
ちなみに、会場の外では、コンサドーレの歴代ユニフォームが展示されていたり、
Jリーグタイムのスタジオを合成した記念写真が撮れるコーナーがあったりした。
とりわけこの撮影コーナー、一応「肩さん」こと山岸舞彩さんがキャスターだった時代から15年以上同番組を見続けている僕にとってはテンション上がりまくる企画であり、「撮影お願いします!!小島さんと今井さんと一緒で!!」とウキウキでスタッフにお願いし、撮影場所に立った。
ところが、である。
上の写真を見ていただければわかるように、スタジオ写真を合成するためのクロマキー(背景色)が緑色だったので、同じく緑色のヴェルディユニを着た我々夫婦の体が、カメラを通すとバッチリ透過してしまう事態に。
スタッフの皆さんも「設定変えればいけるかなあ」「ちょっと難しそうだなあ」「これはアウェイの洗礼だ」などワイワイ話しながら試行錯誤してくれたがどうやらダメそうで、最終的に僕と妻はユニを脱いで記念撮影をさせてもらった。ただし、ユニの下は普通の服だった妻はともかく、ユニを脱いでも黒×緑ベースのアスレタジャージだった僕は、けっきょく体の一部分が透ける妖怪人間として小島さんと今井美桜さんの間に立ち、にこやかにフレームに収まった。スタッフの方もなんだか申し訳なさそうにしていたが、こんなのアウェイユニを堂々と来てくる人間が悪いのだし、とても貴重な体験をさせてもらえて感謝している。この写真、大切にします。
とにかく、その場で現像してもらった記念写真を手に再び会場に戻ると、いよいよライブビューイングがスタート。
会場の拍手とともに、NHK札幌の中原アナウンサー、そして今日の解説をつとめる福西崇史さんと河合竜二さんが入場してきた。
中原アナが「会場は札幌サポーターの方で埋め尽くされています」と切り出した後、「最後列にはどうやらヴェルディサポーターの方も・・・」と僕らに言及し、我々は会場の注目を一身に浴びることになった。皆さんの視線が刺さる、刺さる。
福西さんもこっちを見て「僕にもちょっと緑の血が流れてますからね」ってニヤッとしながら声をかけてくれた。僕も「知ってます知ってますよく知ってます」って叫びたかったけど、それは心の中にとどめてうんうんと頷いた。続けて福西さんが「いやー、でもいい光景じゃないですか。ユニフォームの色は違えど、同じくサッカーを愛する方々が、こうして集う場所ってのは」とフォローをしてくれて「ま、試合が終わった後の空気がどうなってるかは分かりませんけどね(笑)」と、彼らしいマイルドな毒舌で締めてくれた。
そして、試合が始まった。
チャントこそないとはいえ、会場のコンサドーレサポは気合十分、いいプレーには大きな歓声が上がり、チャンスシーンでは「そこはシュートだろ武蔵!!」と少年サポが声を張り上げる。覚悟はもちろんしていたけど、やっぱり肩身は、狭い。
そんな中、先制したのはヴェルディだった。木村勇大のPKが決まった瞬間、ため息がこぼれる会場の隅っこで、僕ら夫婦は小さくハイタッチした。
おそらくだけど、立見席にいた札幌サポからすると、真っ先に目に入るのが会場最後列に座っていた我々だったはずで、どんなささやかな喜び方であろうと、それは見る人をイライラさせるものだったろうな・・・と申し訳なさを感じている。あと、どうやらNHKの撮影班にもご迷惑をおかけしていたようである(笑)
コンサドーレもすぐさま反撃、キャプテン荒野のミドルがネットを揺らした瞬間、会場は総立ちで盛り上がっていた。そして、その後ろで「うへえ・・・」と天を仰ぐ僕の姿もばっちり抜かれていた。
とはいえ、その後ヴェルディは染野と見木が立て続けにゴールを奪い、3-1で前半を終える。とりわけ、明らかに守備が緩慢だった3失点目には、会場のサポーターたちも落胆を露わにし、福西さんと河合さんも「対応が遅れすぎですね」と苦言を呈する。その陰でこっそり喜ぶ、僕。いやなやつ。
ハーフタイムには「緊急企画 どうするコンサドーレ」と題し、降格圏に低迷するチームの現状について、福西さんと河合さんが語り合うコーナーがあった。福西さんが「やっぱり怪我人が多いですよね・・・これだけ多いとミシャも頭が痛いでしょ。あと、ミシャサッカーを深く理解している選手も減ってしまったよね」と話し、河合さんもそれに同意する。「残留するためには、とにかく細かいミスを減らさなければ」と河合さんが今日のチームに喝を入れ、後半が始まった。
その河合さんの気持ちが伝わったのだろうか、あるいは昨年ヴェルディの昇格に尽力してくれた長谷川竜也が投入された効果だろうか、後半は札幌が主導権を握り、コーナーキックから1点を返して3-2とする。
同点、そして逆転を信じて熱気が高まる会場内、その中で「やばいやばい」と手に汗握る僕。
しかし、ヴェルディも徐々に相手の勢いをいなしていくと、木村勇大がまたも札幌の最終ラインをブレイクし、この日2点目を挙げて札幌を突き放す。
その後、本職のDFを次々と交代させていくミシャ采配に、札幌サポーターもざわつきはじめ、染野が決定的な5点目を決めると、そのざわめきもなくなり会場は静まり返ってしまう。河合さんが「このままで終わってはいけない、なんとか次につなげるプレーをするのが大事」と声を振り絞る。
後半アディショナルタイム、高卒ルーキーの原康介がゴールネットを揺らすも、万事休す。残留争いの6ポイントマッチともいえる一戦は、5-3で東京ヴェルディが勝利した。あの日、ヴェルディサポーターの中で唯一、原くんのゴールをちょっと嬉しく思っていたのが僕だったかもしれない。わずかに盛り上がりを取り戻した会場を見て、正直ほっとしていたのだ。
重苦しい雰囲気の中、NHKの放送は終了。そして、音声はスタジオ内だけになる。しばしの沈黙のあと、オフモードに入った福西さんが「・・・厳しいねえ」と素直な感想を漏らし、スタジオ内にちょっとだけ笑いが起きる。河合さんも「僕だってクラブの人間だからさ、ぶっちゃけ内心イライラしてたよ」と苦笑いしながら呼応する。「ミシャサッカーはボールを持ってない人の動きがとにかく大事なんだけど、今日はそこがなかなか見えてこなかったよね」という福西の指摘に、会場の人間も頷く。
中原アナウンサーが「せっかくですので、解説のお二人への質問を受け付けたいと思います、皆さんどうですか」と切り出す。サポーターの手が上がる。
「監督交代という選択肢はなかったのか」
「新しくコーチを招聘するという選択もあったのでは」
ごめんなさい、門外漢の僕には、この質問に対するお二人の回答を、うまく要約することはできなかった。変に切り取ることは失礼にあたるだろうし・・・。でも、ミシャでいくとクラブは腹をくくったのだから、とにかくなにが課題で、それをどうすれば解決できるか突き詰めなくてはいけない、という福西さんの言葉は、僕の胸にも刺さった。
「この環境を変えられるような選手、キャプテンの荒野選手はもちろんだが、他にそんな存在として期待しているのは誰か」
福西さんが「ケガをしてしまった宮澤選手の存在は大きい」と認めた。ただし、ベテランはいつか引退してしまうし、やっぱりその後継者として、アカデミー育ちの選手に札幌というクラブの看板を背負って、苦境を跳ね返す雰囲気を作ってほしい・・・たとえば菅選手には期待している、とその名前を挙げた。そして「ヴェルディのキャプテンだって、ジュニアからの生え抜きである森田選手ですしね」と付け加えていた。
「ルヴァンカップがあるけど、リーグ戦に注力すべきではないのか」
河合さんは「もちろん、タイトルの可能性が残されている限り、全て狙っていきます」と重苦しい表情で答える。そのあとを受けた福西さんが「クラブの人間としては、もちろんそう言わなきゃいけないよね。でも最優先事項は・・・やっぱりJ1残留。これが欧州のビッグクラブ、たとえばマンチェスターシティのような選手層だったら、贅沢なターンオーバーもできるかもしれないけど、今の札幌は怪我人だらけの苦しい状況。だったら・・・ねえ。もちろん、ミシャの判断を尊重しますが」と話していた。
もしかしたら彼の脳裏には、天皇杯出場を優先して退場処分をくらい、リーグ戦に出場できなくなった(そしてヴェルディはJ2に降格した)元チームメート、ディエゴソウザの顔が浮かんでいたのかもしれないな、なんて古のヴェルディサポである僕はちょっと思った。
ふがいない敗戦を目の当たりにして、怒りや悔しさややるせなさを吐き出したいだろうに、クラブの現状を深く理解しているからこそ、なるべく冷静に言葉を選んで、切実な内容の質問を発するコンサドーレ札幌サポーターと、
クラブ内部の人間ゆえに本音をぶちまけられないけれど、そんな状況でも正面から質問に向き合って言葉を振り絞る河合さんと、
サポーターの心情を慮って、なるべく彼らに寄り添うような言葉を選んだ福西さん。
そこは痛いほどの真摯さで満ち溢れた会場だった。
僕だってJ2で15年間苦しみ続け、消滅危機まで経験したクラブのサポーター、彼らの残留にかける気持ち、不甲斐ないチームをなんとかして支えたい気持ちはよくわかるつもりだし、でも立ち位置的に我々はどう考えてもライバルで、お互いの幸せを祈っている余裕はないのよ、っていろいろな想いが駆け巡って、勝利したあとなのになんだか胸が苦しくなってしまって、なんとか一緒にJ1に残留したいよな、って思った。
会場の出口で、NHKのスタッフに「今日はどうでしたか」と笑顔で聞かれた。僕は心から「とても楽しかったです、思い出深い日になりました」って返事をしたくて、それはもちろん勝ったから増幅された気持ちはあるにせよ、もし負けたとしてもそう言い切れた自信はある。でも、やっぱりたくさんの札幌サポがいる中でそんな軽い言葉は吐けなくて「すいません、すいません、ありがとうございました」とだけ言って、頭を下げて、ついでにどーもくんのステッカーをいただいて、会場を後にした。配られたアンケートにも「アウェイサポーターを抽選で弾くこともできただろうに、受け入れてくれてありがとうございました」と書いた。本心だ。
妻は、ハーフタイムのお手洗いで「ようこそ札幌へ、よく来たわね」ってサポの方に声をかけてもらえたらしくて、その温かさに喜んでいた。向こう見ずな旦那に連れられて、普通なら尻込みするような空間に放り込まれるというとても気の毒な彼女だが、会場の皆さんに優しく接していただけて、本当にありがたく思う。
最後に。この手のパブリックビューイングはまたどこかで開催されるだろうし、その時もし「アウェイサポーターはお断り」的な文言が追加されていたら、それは僕のせいである。とても申し訳ない。
でも、少なくとも僕にとってはとびきり素晴らしい体験になったから、次の開催でも、なるべくアウェイサポーターも拒まず開催してほしいなあって勝手な思いを抱く。NHK札幌放送局さん、よろしく頼みます。
そして、北海道コンサドーレ札幌サポーターの皆さん。
味スタでの応援もめちゃくちゃかっこよかったって聞きました。ライブビューイングでの応募フォームでも書いた通り、僕は札幌の応援がとても好きです。
まずは9月14日or15日、札幌での再戦。負けませんよ。おそらく僕はお仕事と被ってしまいそうですが、もし都合がついたなら、絶対札幌に足を運ぼうと思っています(ついでにエスコンも寄りたいんだけど、調べたらその週末はビジターでの楽天戦だった)。
そして、来年もまたJ1で戦いましょうね。その時またこんな企画があったなら、ぜひまたおじゃまさせてほしいです。って、これまた勝手なお願い。
よろしくお願いします。
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