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_野辺山_



人に期待しない事は。
実は優しさの1つでもあったりする。
もっと人に優しくしたいと思ったこの旅は、
私を生き返らせてくれた旅であったのです。


_野辺山_


ここは野辺山で、
山梨と長野の県境。
空気が澄んでいて、
小海線の列車は古びていて、
2号車しか無かった。
この列車はカーテンが付いていたので、
私は閉めていた。

木が遅々として時間を操っていた。
そんな景色は中々見れない。

日本一標高の高い野辺山駅は、
太陽の近さを感じさせてくれると共に、
山の風がひんやりしていて、
もうすぐ秋が来そうな予感をくれた。

野辺山高原の平沢峠に向かうために、
観光案内所で自転車を借りた。
ママチャリ電動自転車だ。
LOOPは流石に置いてはいないようだ。

電動自転車は、パワーが弱かった。
車で坂を登る人達と、
ママチャリ電動自転車は、
ママチャリ電動自転車の方が圧倒的に
かっこいい気がした。

じんわり汗をかいた頃は、
山頂に着いていた。

そうだ、この景色を観たかったんだ。
山の上には雲が寝そべっていたのが分かった。
遠くの方には野生の鹿が歩いているのも見えた。

最近、「君の名は」という映画を見たので、
その映画に出てくる景色に似ている気がして、
益々非現実的な体験をしているような気にさせてくれた。

帰りのくだり坂はやっぱり、
車よりママチャリ電動自転車の方が
風がよく当たって気持ちよかった。

野辺山観測所


千ヶ滝


夜は八ヶ岳グレイスホテルで素泊まりの
一泊するのであった為、
他で夜ご飯を食べに、
「神の」という食事処へと足を運んだ。

そこの店主と手伝いをしている男2人が私たちを笑顔で迎えてくれた。

立派な木のカウンターは深い切れ目が入っている。

メインの串カツのレンコン、大葉ササミ、うずら、
を一括で頼めばいいものの、何度も何度も注文してしまった。
美味しすぎて、注文が止まらなかった。

「好きな音楽流していいよ。」
歌謡曲が流れているお店で、私好みの音楽を
流した。
店の男は、
「いい音楽だね、好きな音楽だ。」
としみじみ聴いてくれた。
そんなゆっくりした時間ではあったが、
店の男の話しを聞くとはなんと昭和の男感満載であった。
1日のタバコは三箱に新宿2丁目では
オネェと言われている人と呑み歩いたり、
普段は大工をしているらしく、
パチンコの確変ソングを流しながら、
仕事に打ち込んでいると話してくれた。

「人生はあっという間で、死ぬ時は3秒よ。」と
語ってくれたのであった。
何故だか分からないが、この人は熱い思いを
持っている人なんだなと思った。

店の男がYouTubeでラーメンの作り方を見ながら作ってくれた醤油ラーメンは本当に美味しくて、
感慨に浸るのであった。

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ホテルで毎日開催している星空観察会はどうやら曇り空であった為中止になってしまった。

実は山頂で足を挫いていて、
時間差で痛さが倍増。
びっこ引いて歩く羽目に。
だがそこのホテルマンが、
熱さまシートをくれたのだ。

人間の行動はときどき星より綺麗な時があるなと思った。
星空観察会はまた来年の冬に行こうと決心したのであった。


自然の中で写真を撮るの好きです


東京に戻った時、
人のわんさかした感じが嫌で、心は叫んでいたが、
またあの場所があると思うと、
我に帰れたのだった。