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ウーパールーパーと私の不思議な縁 4
コジロウの神秘
月日はあっという間に流れ、ウーパールーパーを迎え入れてから1年。
4匹ともすっかり成長し、それぞれに個性が出てきました。
そんなある晩、ちょっと気になることがありました。
4匹のうちのコジロウの様子がなんだかおかしいんです。
エサを食べないし、いつもより身体が赤っぽくなっていて、じっと動かない。
普段は元気に泳いでいるのに、どうしたんだろう?
少し様子を見て、必要なら隔離しようと思いながら、その日は寝ることにしました。
そして翌朝。
水槽を覗くと、なんだか黒い点のようなものがたくさん浮いています。
「何これ?」と目を凝らしてみると……カエルの卵っぽい。
さらによく見てみると、水槽の中を真っ赤になったコジロウが駆け回っています。
そして、あちこちに卵を産みつけているではありませんか。
「え?コジロウってメス?」
最初に思ったのがこれでした(笑)
オスだと思って名付けたのに、まさかの展開です。
ウーパールーパーの性別は見分けにくいとは聞いていましたが、こうして目の前で証明されるとは思いませんでした。
それにしても、すごい光景です。
コジロウは真っ赤になったまま、水槽内を全力で泳ぎ回りながら産卵を続けています。
ディスプレイ替わりに入れた神龍を卵まみれにしています。
いったいどれくらい産んだのか……目測で200〜300個ほどの卵が水槽に漂っていました。
そして、ここでさらなる問題発生。
他の3匹が、その卵をつまみ食いしているんです(笑)
「おいおい、ちょっと待て!」と言いたくなりましたが、コジロウがまだ産卵中だったので、下手に手を出してストレスを与えるのも良くないと思い、しばらく静観することにしました。
どれくらいの時間が経ったかわかりませんが、ついに産み終わったようです。
コジロウは力を使い果たしたのか、真っ白になってぐったりしています。
さすがにこのままではまずいと思い、コジロウと卵を別の水槽へ移しました。
こうしてウーパールーパー飼育史上、最大の事件が起こったのでした——。
ソーニャ、動き出す
コジロウの産卵というまさかの出来事に驚きながらも、とりあえず卵を別の水槽へ移し、ひと息つきました。
……が、ここで新たな問題が浮上します。
「これ、全部孵化したらどうする?」
ウーパールーパーの卵を育てるのは初めてですし、何よりこの数。
200〜300匹も生まれたら、さすがに飼いきれません。
正直、頭を抱えました。
でも、せっかく大事に育てた子が産んでくれた命です。
「うちの優秀なスタッフの子だ。なんとか育ててみよう」と決意しました。
正直「ああ、またあの稚魚の頃の苦労を繰り返すのか…しかもこの数…」と思っていた側面もあり、大変なのは目に見えている。
でも、不思議とワクワクする気持ちもありました。
稚魚の育成は大変ですが、育っていく段階の楽しさが身に染みてたんです。
一方、コジロウはというと、産卵を終えた直後はもう真っ白でぐったり。
最初は「このまま死んでしまうんじゃないか」と心配しましたが、「よく頑張ったな」と声をかけながらエサを与えていると、徐々にピンク色が戻ってきました。
いやあ、ほんとによく頑張った。
しかし、そんな感動もつかの間。
卵の中の黒い点が、だんだん生き物らしい形になってきた1週間後、またしても事件が起こります。
ある朝、水槽を覗くと——
「えっ…また黒い点がいっぱい…?」
一瞬、目を疑いましたが、すぐに理解しました。
ソーニャ(この子は女の子と思って名付けた)が、真っ赤になってる。
……ということは。
……まさか。
「おいおいおいおい……。」
朝から思考が追いつきませんでした。
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セル、爆誕。
ソーニャの産卵で完全に数えるのを諦めました。
最初のコジロウの卵に加え、ソーニャの卵も加わって、ざっと500個はあるはず。
……いや、もう正確な数なんてわかりません。
でも、全部孵化するわけじゃないし、何とかなるだろう。
そう思うことにしました(というか、思わないとやってられない)。
そんな開き直りモードの中、最初に産まれたコジロウの卵が動き始めます。
10日後——ついに孵化ラッシュ突入!
次々と小さな命が誕生し、その数およそ150匹。
さすがに圧巻の光景です。
とはいえ、生まれたばかりの稚魚たちにも、すでに個体差がありました。
大きいやつはどんどん成長し、小さいやつとの差が広がっていきます。
そして、ここで本能むき出しの自然の掟が発動。
身体の大きい稚魚が、なんと兄弟を吸収(食べて)し始めたのです。
それはもう、遠慮なしに。
中でも、ひときわ大きく成長した一匹がいました。
こいつはブラインシュリンプをしっかり与えているにも関わらず、兄弟を次々と吸収し、さらに巨大化。
あまりにも危険な個体だったので、慌てて隔離しました。
「こいつ……何匹吸収しやがったんだ……。」
そう思った瞬間、名前が決まりました。
「セル」
そう、あの「セル」です(わかる人にはわかる)。
対して、ソーニャの卵から生まれた稚魚たちは比較的穏やかで、そこまで激しいサバイバルは繰り広げられませんでした。
とはいえ、稚魚の数はとんでもないことになっており、洗面器3つに100匹ずつ、合計300匹を抱えることに。
どうしようか考える間もなく、世話に追われる日々が始まりました——。
今回はここまで。
想像以上に長くなってます(笑)