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科学館レビュー8:港区立みなと科学館

◆ポイント◆

  • コンパクトながら、要点をしぼってツボを押さえた展示内容

  • 目を引く展示物や夜のプラネタリウムなど、都会の立地に合わせた数々の工夫

  • 予算の力を感じる。。。


2024年5月訪問@東京都港区


内容

 虎ノ門ヒルズ駅から歩いて5分。港区のおしゃれなビルが立ち並ぶ中にある、2020年に開館した比較的新しい科学館です。ちなみに2階には「気象科学館」があります。

独自性★★★★☆

 入り口を入ると受付とロビーがあり、ロビーでは定期的に企画展やイベントが行われているようです。訪問した際は、2024年春の企画展として「すごいぞ!昆虫総選挙」が開催されていました。

大迫力のオオカマキリ模型。アリになった気分で、カマの複雑な構造など、すみずみまで観察したくなります。

 巨大なオオカマキリの模型や、同じく巨大なカブトムシの模型(しかも動く!)など、科学館の外からでも思わず目を引くような(=興味がなくても科学館に入ってみようかなと思わせるような)展示たちでした。

昆虫の重さくらべ。オスとメス、 変態前後(幼虫→サナギ→成虫)などで、どちらが重いか天秤を使って直感的に比べられる展示。

 展示内容も、あまり興味がなくても足を止めたくなる工夫があちこちにされていて、よく練られていることがうかがえました。

例えば解説映像も、各回数十秒で、しかも字幕やナレーションも一切なし。なのに、大人から子供までつい見入ってしまうのは、映像のクオリティーの高さゆえなのでしょうか。

 企画展は年4回入れ替えられているようで、季節ごとにこのクオリティを更新できるスキルと予算は、お見事としか言いようがありません。さすが港区・・・。

地域性★★★★☆

 ロビーの奥に球形の空間があり、その1階(下半球)が常設展示、2階(上半球)がプラネタリウムになっています。1階の常設展示では、身近な科学をテーマに、港区にちなんで「うみ」「まち」「自然」などを題材として、科学とのつながりを学んだり体験したりすることができます。

地域との関連性をきっかけとして、科学につなげていく流れ。見た目もおしゃれ!

現物展示★★☆☆☆

 展示スペースもそんなに広くないので、実物よりはむしろバーチャル技術やテクノロジーを最大限に活用している印象です。モノの見せ方にはデザイン性などのこだわりを感じました。

最先端★★★☆☆

 比較的新しい科学館ということもあり、展示内容には最新技術も含まれています。展示内容だけでなく「展示の見せ方」についても先端技術が活用されており、バーチャル世界でゲームをしながら科学を学べるようなしかけがたくさんありました。

自分の体の動きを検出して、ゲームを進めながら自然に科学を学べるシステム
(写真撮り忘れたので公式HPから引用

対象・客層

あくまで個人の主観です。

文系でも楽しめるか★★★☆☆

 科学にそこまで興味がなくても「ちょっと見てみようかな」と思わせる工夫が随所にされているので、普通に楽しめそうな気がします。

常設展示エリアの中央には、港区のデジタルマップがあり、仮想ドローンを操作して地域の科学情報を探索できます。学校や坂、妖怪スポット(!?)なんかもあり、つい時間を忘れて遊んでしまいます。

理系でも楽しめるか★★★☆☆

 スペースが限られている分、テーマをしぼって要点を押さえた展示内容となっています。これまで深くは知らなかった、という内容も案外たくさんあるかもしれません。

いきもの拡大スコープでは虫や植物などを顕微鏡観察できます。「観察したいものを入れてね」というスペースもあり、私はお札の印刷などを拡大して楽しんでました。

大人も楽しめるか★★★☆☆

 展示の解説文はしっかり書かれており、大人でも読み応えがあります。また英語併記がされている箇所も多く、多様な来場者に対応しています。

からだのしくみに関する展示。人体の機能だけでなく、補聴器や義足など、科学技術との関わりについても解説されている。

子供も楽しめるか★★★☆☆

 ゲームやパズル感覚で科学に触れられるような工夫が数多く見られ、身の回りのことと結びつけながら、様々なトピックスを楽しく学ぶことができそうです。

ペットボトルで渦を作る装置や浮沈子など、メジャーな展示物も。

イベント・設備

サイエンスショー・実験教室★★★☆☆

 毎週末に、イベントや実験教室などが行われているみたいです。

訪問した際は実験室が閉まっていて、残念ながら中は見られませんでした。
これまでの活動一覧のパネルが展示してありましたが、開館からわずか4年で(しかもコロナウイルスの影響もある中で)こんなに充実した内容を実施しているとは…。

プラネタリウム★★★★☆

 プラネタリウムは2階にあり、全編生解説番組や映像作品など、さまざまなプログラムが上映されています。
 みなと科学館のオリジナル番組も制作されているほか、「リクエストプラネタリウム」や「アロマプラネタリウム」など、趣向を凝らしたプログラムも数多く企画されています。

オフィス街に立地していることもあり、平日お昼休み時間の「おひるのプラネタリウム」や、夜19時からの「お仕事がえりのプラネタリウム」などといった回も上映されています。

お土産コーナー★☆☆☆☆

 お土産コーナーはありませんでした。

その他カフェなど★★☆☆☆

 建物の地下には気象庁の食堂がありますが、土日は定休日で平日の8:30~19:00のみの営業です。


基本情報

広さ★☆☆☆☆

 展示面積は316㎡でテニスコートより一回り大きいぐらい。ロビーも含めるともう少し広さはありますが、それでも小さめの科学館です。

交通の便★★★★☆

 最寄りの虎ノ門ヒルズ駅からは徒歩4分。駐車場はありません。

所要時間★★☆☆☆

 コンパクトな科学館なのでそんなに時間はかからないと思いますが、じっくり見て回ると1時間以上滞在することもできるかも。


 面積の小さい小規模科学館だと、内容が物足りなく感じそうなものですが、そんなことを全く感じさせないような工夫が数多くされているように思いました。展示物のデザインやテクノロジーにかける予算の大きさも影響しているのかもしれませんが、内容自体も非常によく考えられていると感じます。展示を見ているとスタッフの方が声をかけてくれたので、来場者に目が行き届きやすいことも、コンパクトな科学館の利点の一つなのだと気づかされました。
 あえて改善点を挙げるとすれば、全体的にバーチャル技術に頼りすぎな面も感じたので、実際に「実物」に触れたりそこから何か感じたりできるような「ハンズオン展示」がもっとあると個人的には嬉しい気がしました。

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