見出し画像

【宮崎県日之影町】「自分を好きになれた時間」

3月16日(土)の活動報告会をもって1年間の任期を終えた30期10名の隊員たち。
任期を終えたばかりの彼らが、緑のふるさと協力隊としての1年間を振り返って、今思うことを紹介していきます。
今回は、宮崎県日之影町で活動をした森琴子さんです。



1年間日之影町で過ごして、日之影町はたくさんの魅力がある町だと感じました。日之影町の魅力は活動や日々の暮らしから、たくさん感じる機会がありました。

緑のふるさと協力隊としての活動は、町の基幹産業が農林業ということで、活動の6割ほどは農家さんのお手伝いをさせていただきました。
今まで農作業をしたことは家庭菜園程度しかなく、全く知識がない状態でのお手伝いでした。お手伝いしている中で、「しいたけは手で収穫するんだな」とか「トマトって節を押して収穫するんだ」など、毎日が新しい発見の連続でした。自分が普段食べているものがどのように作られているのか、またどれだけ手間がかけられているのかを知ることができました。
また、思っていた以上に農作業は自分にとって楽しいものであり、土をいじっている時には何も考えずそれだけに集中できるというのも良い所だと思いました。大学の授業で農作業や自然に触れることでストレス緩和や精神病の症状を緩和させるような効果も期待できるのではという話を聞いたことはありましたが、正直あまり信じていませんでした。ただ土を触り、自然の中で過ごすだけで、どう変わるのかと思っていました。しかし、実際に体験してみるとそのような効果が期待できるというのも分かるほど、すっきりとする感覚がありました。この世のものを全て体験することはできないので座学ももちろん必要ですが、体験することで納得して学ぶことができると感じました。

歌舞伎や神楽などの伝統芸能も体験させていただきました。
集落単位で神楽を舞ったり、舞台の準備を行ったり、人の手で作られ続けているものを見て、ずっと続いてきていることに凄さを感じました。緑のふるさと協力隊に参加する前の私にとっては、伝統芸能は非日常のものであり、どんな感覚で行っているのかよく分からない部分がありました。しかし、例大祭や公演の時期が近づいてくると、必ずといっていいほど「桜のつぼみが膨らんできたね。もうすぐ歌舞伎の桜公演の稽古が始まるね。」など、季節を表す言葉と一緒に話されています。その様子を見ていると、歌舞伎や神楽というのが季節を表す一つのものであり、それだけ生活の一部として馴染んでいるのだと感じました。

また、今年度は日之影町での緑のふるさと協力隊の受け入れが30周年ということで、30周年記念事業を行いました。
準備は大変でしたが、これを機に初めてお会いした町民の方もいて歴代隊員の皆さんに良いご縁を作っていただいたと感じています。当日には町外から4名、町内から5名の歴代隊員の方が来てくださいました。地域の方とお話されている様子は家族のような温かい雰囲気で、ここまで地域の方が緑のふるさと協力隊をずっと温かく見守り支えてくださっていたのだと実感することができました。私自身が地域の方と関わるだけでは感じられなかった、地域の方の緑のふるさと協力隊への思いを知ることができました。

日之影町の魅力は豊かな自然が残っていることはもちろんですが、それ以上に“ヒト”だと思います。家族や友人が来た時に「また○○さんに会いに来たい」と言ってくれました。一般的には、“何かを見に行きたい”とか“何かをしたい”という理由がもう一度訪れたくなる理由であることが多いと思います。しかし、日之影町には会いたい人がいるから遊びに来たいと思う人がいます。これは、他の観光地ではあまり考えられないことであり、それだけ素敵な人がたくさんいるということだと思います。そして、緑のふるさと協力隊に対しては、地域の方が温かい目で見てくださっています。実際に任期中にもたくさんの方に支えていただきましたし、30周年記念事業をするといった時にも歴代隊員のことを子どもの心配をするように「元気かな」と気にされている地域の方がいらっしゃいました。いつも自分のことを気に掛けてくれる人がいるという環境は特別なものであり、自分を大切にしてくださっていると実感できるからこそ、日之影への熱い思いを持った歴代隊員も多いのではないかと思いました。

活動をしていく中で、徐々に自分自身が変化していると感じることもあっても、上手く言葉にできないような感じがありましたが、1年経って変化を表す一番近い言葉は「自分を好きになれた」だと思います。
高校生の頃くらいから、年齢相応にしっかりしなければと背伸びをしようとしていた部分がありました。自分がどう感じているかよりも何が正しいかが優先に考えてしまっていて、自分がどういう人間かも分からなくなっていたし、それを続けることでどんどん自分のことが好きでなくなっていきました。しかし、少し背伸びしている私よりもそのままの私のことを褒めてくださる地域の方がいて、その方たちと過ごすうちにそのままの自分で良いのだと思えるようになっていきました。これからは自分の気持ちを聞きながら過ごしていきたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!