『季節を感じる仕事と暮らし』 第7期 滋賀県朽木村(現高島市)派遣
28年間、東京住まいだった僕が、第7期みどりのふるさと協力隊員として朽木に派遣されたのは平成12年春。
東京で職を転々としながらも山村移住の夢があった僕は、初めからもう東京へは帰らないと決めていた。
任期後「残りたい」という意思を地域の方に伝えると、レジャー施設での嘱託職員の仕事を紹介してくれた。
その後、知人に頼んで就いた仕事が高島市森林組合での山仕事。
間伐や除伐、伐採、木材搬出、テープ巻き、枝打ちなど内容は様々。
山仕事は、夏はクソ暑くてしんどい。ヤマビルやダニ、蜂に襲われ、マムシに遭遇。汗と木の粉とオイルのまじった妙な臭いにもまみれる。
雨の日は仕事が休みになり梅雨時は3~4日の連休に(=減収)。
予想通りだったが、大変だ。でも、丸9年続いているということは、意外と僕には合っているのかも。
朽木は積雪地域なので冬期は山仕事ができない。
そこで、以前勤めていたレジャー施設の管理する朽木スキー場で、
季節雇用してもらえ、職には困らない。
それも人とのつながりのお蔭だ。
東京では、他人が仕事を探してくれたり紹介してくれたり、といったことは考えにくい。人とのつながりはありがたい。
僕は現在、人口16人(内5人が家族)の木地山という小さな集落に住んでいる。
廃村目前の木地山に住み続けて13年目の昨年12月。
ようやく家を建てた。借家だと「どうせ出ていく」と信頼がなかったが、
やっと「アンタも木地山の人になってくれた」と認められた。
我が家は、殆どが朽木産材の家である。中には僕の伐採した木もあるかもしれない。しかも大工さんは朽木の方なので、まさに地産池消の家だ。おまけに薪ストーブの薪もそこらで手に入れる。薪の消費量の多さには驚いたが。
雪深い地域だからこそ春の訪れが待ち遠しく、雪解けと共に山仕事が始まり、夏にはヤマビルと闘いながら木を伐り、秋も深まると冬支度。雪が降るとひたすら雪かき。
東京とは全く違ったこの環境で四季を感じながらその季節に沿った仕事をこなしながら暮らしていく。
そんなきっかけを作ってくれた「緑のふるさと協力隊」と、朽木の方々に感謝したい。
地球緑化センター機関紙『タマリスク』第123号p.5「ふるさとOBOG連載」より (2015年3月20日発行)