「言葉」の結びつきの強さを実感した 🇧🇪ベルギーの話
今回はベルギーのことを書こうと思います。
2005年〜約10年間、日本にあるベルギー観光局でベルギーの観光PRの仕事をしていました🇧🇪
1年間のフランス留学中にはベルギーへ行ったこともなく
ベルギーについて知っていることといえば
・フランス語を話す国
・首都がブリュッセル
ってことくらいでした。
※フランス人はベルギー人を下に見るというか、ちょっとバカにするようなところがあって(ベルギー人を皮肉ったジョークが結構あります)、なんとなく行きづらかったんですよね・・。
ベルギーは言語圏で政府が別
ベルギー観光局で働き始めてすぐにわかったことが、
フランス語圏の他に「オランダ語圏」があるということ、
ベルギー本国の観光局の本部が2つあるということ、でした。
つまり、オランダ語圏とフランス語圏、2つの本部があるんです。
ベルギーには政府が3つあります。
・ブリュッセル首都圏政府
・フランダース政府(オランダ語):北部
・ワロン政府(フランス語):南部
※ベルギー全体としての中央政府もあります。
もともとは、フランダース地方はゲルマン系、ワロン地方はラテン系と民族も違います。今ではかなり混ざっているとは思いますが、それでも体格(ゲルマン系は背が高い)や気質(ラテン系の方が陽気でアバウト)は違うように感じます。
観光局は、各地方政府の下にぶら下がった組織だったので、本部が2つあったんです。ちなみにブリュッセル地域の観光局も本来は別なんですが、フランス語を話す人(francophone)が多いので、フランス語圏と結びつきが強く、ワロン&ブリュッセル観光局という形になっていました。
ここまでだけでも頭が混乱する方がいるかもしれませんね😅
チョコレートとワッフルが美味しいおとぎの国✨と思っている方が多いのですが、実情はかなり複雑。
オランダ語圏とフランス語圏は仲が悪い
そして、ベルギーの人たちと仕事をしていく中でさらにわかったことが、
オランダ語圏とフランス語圏の人たちは“仲がわるい“ということでした。
私が働き始めた時は、日本の観光局オフィスは両方の地域とも網羅していたので、ベルギーで本部の人に会うときは、フランダース観光局とワロン・ブリュッセル観光局の両方の本部に顔を出さないといけなかったんですね。
そういう時、お互いの地域の皮肉や悪口を聞かされるという目に遭ってました。。
私は日本人なので、正直どっちがどうとか関係ないし、日本人がたくさんベルギーに行って、ベルギーを好きになってくれればいいだけなんですが😅
これだけでも言語の違いがどれほど人間関係に影響するかわかると思います。
ベルギー観光局の分断
2008年以降、日本のオフィスもオランダ語圏とフランス語圏と地域別に観光局を置くことになりました。
私はfrancophoneなので当然フランス語圏の方になりました(今考えると、勝手に決められてましたが💦)
繰り返しますが、これはベルギーの政治的な問題であって、日本人の観光客にはデメリットの方が多いんです。
普通の日本人の人は「ベルギー」と思っているのに、観光局が2つあって、それぞれから情報をもらわないといけなかったり、とにかくわかりにくいです。
その上、ただでさえ小さなベルギーという国(四国と同じくらいの面積)を2つに分けてプロモーションするのはなかなか難しいものがありました。
言語のつながりは強い
フランダース地方(オランダ語圏)とは協力できないとわかっていたので、私たちが選んだのは、国を超えて、同じフランス語圏の国とのコラボレーションでした。お隣のフランス🇫🇷やルクセンブルク🇱🇺と3カ国周遊のプランを作り、プレス関係の人たちに取材してもらったり、旅行会社にツアーを組んでもらったり。
一方のフランダース地方は、同じ言語を話すオランダ🇳🇱(旗がみんな似てる💦)とコラボレーションしていました。
「言葉が同じ」というのは本当に結びつきが強いし、
逆に言葉が違うことでこれほどの壁になってしまうのかとも感じて、
当時は「同じ国なのに仲が悪くてバラバラにPRして効率わるっ!」と内心憤慨することも多々ありました。
実際ベルギーの政治に巻き込まれて嫌な思いをすることもあったり・・。
(今思うと、ベルギーの政治に巻き込まれる経験なんてなかなかできるもんじゃない!とある意味貴重な体験)
日本人に有名なブルージュやアントワープといった観光都市はみんなフラダース地方にあるので、私たちフランス語圏は観光地の認知に結構四苦八苦しましたが、日本で知られていない地域をPRするのはとてもやりがいがありました✨
北と南、違うからこそ面白い国
ブリュッセルはベルギーのほぼ中心にあって、
それより北はオランダと同じように平らな土地。少し高台に上がると、遠くまで見通せる景色が広がります。(各町にある鐘楼の上からの景色がオススメ♪)
一方、ブリュッセルより南は小高い丘や山によって起伏がある地形。アルデンヌの森に象徴される緑豊かなのどかな景色が広がって、これまた絶景です。
家の屋根の色も、フランダースは薄茶色、ワロンは黒と、何をとっても対照的な2つの地域。
この2つの地域が1つの国になっていることが奇跡?!っていうくらいまったく違うことが少しおわかりいただけたかと思いますが、
こういう不思議な国だからこそ、マグリットのような画家や、エルキュール・ポワロみたいな奇想天外な人(架空だけど)が生まれるんだと思ってます。
そう考えると、すごく面白い国ですよね❗️
「言葉が違うから分離する」んじゃなくて、違いを尊重しあって相乗効果を目指して欲しい!!
L’Union fait la force🇧🇪 団結は力なり(ベルギー王国のスローガン)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?