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ちょっと特別なモーニング
どしゃぶりの雨の日、友達と待ち合わせてモーニングに行きました。
選んだお店は、昔ながらの喫茶店。なかなか学生の友達同士では入らないような古びた外観。だけど、この街を開拓するのにはまっている私たちはあえてそのお店を選びました。
カランコロンと鈴が鳴って、お店に入ると、外観からは想像できないような空間が。
広いU字形のカウンターの奥にマスターがひとり、小さなテーブルがぽつぽつと。照明は程よく黄金色で、優しいピアノのBGM。
そして、珈琲のなんともいい香り。
中でも私はそのお店のどんな素敵なインテリアよりも、マスターに釘付けで。
70歳くらいのお年の方で、白いワイシャツをピシッと決めて、淡い水色のネクタイをきゅっと締めて、きれいな白髪を後ろに流した、もうイケメンおじいちゃん。すてき!!
うわぁ〜朝からなんかリッチな気分!マスター素敵。
こそこそ言いながら、席に座って、ホットケーキとサラダとコーヒーのモーニングセットを注文。
素敵なお店の雰囲気にそわそわ、友達と特別な朝ごはんにわくわく。
そんな私たちのところへマスターがお待たせしました と、ホッカホカのホットケーキを持ってきてくれました。立ち上るふんわり甘い香りに、今にもとろけそうなバターとりんごジャム。
パクッと食べた瞬間、ほっぺたがポトっと落っこちそうでした笑 そしてこのお店の珈琲は、すっきりと澄み切った香りでとても飲みやすいのです。おいしい珈琲に、ふんわり優しいホットケーキ。幸せの朝ごはん。
そんな1週間ぶりにご馳走にありついた飢えた小動物のような私たちを見てか、嬉しそうにマスターが話しかけてくれました。笑
喜んでいただいて、何よりです。
珈琲のお味はいかがですか?
私は珈琲の味はよくわからないのですが、
この珈琲はすっきりと澄んだ香りでとても美味しいです。
と言うと、マスターはとても喜んでくれました。マスターの淹れる珈琲へのこだわりは、"澄み切った味と香り"なのだそうです。(偶然。)
そしてマスターはとても熱く、珈琲の深い魅力について語ってくれました。
珈琲は、僕の人生なんです。
生き方や人生に悩み考える時、傍らにあったそれはコーラでもオレンジジュースでも缶コーヒーでもなく。お気に入りの喫茶店で飲む、できたての珈琲でした。
珈琲はこの世界になくても誰も困らない。なくても誰も死にはしない。
だけど、それがないと、僕はとても寂しいのです。
だから、僕は珈琲のおいしさを伝えたいし、僕が淹れた珈琲を傍らに、ぼうっと人生を考える時間をこの店で作ってあげたい。
そうして40年以上このお店で珈琲を淹れ続けているマスター。やっぱりかっこいい。
珈琲の魅力と、マスターの底知れない珈琲への愛を感じられたちょっと特別なモーニング。