月ノさんのノートを読んだはなし
私は昔、書店で勤めていたことがある。
書店では本を大きなジャンル、中くらいのジャンル、小さなジャンル、という順番に仕分けて陳列していくのだけれど、月ノさんのノートはそれでいう所の文芸書のエッセイのその他著者……という感じだと思う。
私自身、文芸書のエッセイのコーナーにはあまり明るくなかった。
エッセイ本はその人を応援している!好きだ!もっと知りたい!と言う感情がないとなかなか手が出ないジャンルの本だと思っている。
文芸書の担当ではなかった事もそうだけれど、そもそもそこまで一人の人間の事を好きになることなど今まで無かったからだ。
なので、今回読んだ「月ノさんのノート」が私が人生で初めて買ったエッセイ本、という事になる。
先ほども言ったけれど、これだけのデカデカ感情を公の人(私生活と分けるためにこう書かせて貰う)に抱くのは初めての事で。
それこそ、Vtuberというジャンルにどっぷり肩までいい湯だな、するまでは所謂二次元のオタクだった。
二次元のオタクに一番近い「人間」としては声優さんがいると思う。
このキャラのこの声が好き!声優さんはどんな人だろう!と調べたことは勿論あるし、今だってする。
でも、声優さんは声優さんで一人の人間。
やはり好きだった「キャラ」とは別の人間で、その人自身の「個」があるのだ。
だから、この声優さんの声が好き!は勿論あったけど、どっぷり肩までババンババン、するまではいかなかった。
Vtuberはそんな私にはぴったりだったのだと思う。
この声好きだ!こんな人となりのVtuberが好きだ!
という気持ちをもって見れば、その人はその人でしかなくて、「別の誰か」ではないのだから。
……前置きが長くなってしまったけれど、そんな気持ちを抱きながら月ノさんのノートを手に取った。
ここから先はネタバレ等の配慮はせずに書いていくこととするので、未読の方でネタバレが嫌な人は下記のリンクから購入して読んでから進んで欲しい。
ネタバレなしの感想だけ置いておくと、長文や本を読むのが苦手な人でも大変読みやすい内容になっていると思う。
Twitterや各種短文SNSの発展で、長文を読むのが苦手な人や、苦手になってしまった人(例に漏れず私もそうです)も多いと思う。
そんな人でも一息で読める長さだし、気付いたら読み終わってしまっていた、そんな引き込まれる読んでいて飽きない文体だと思った。
買おう!
装丁のこだわりが光る
KADOKAWAさんの限定版を買ったので特典モリモリ。
学生証に付箋、ねづみどし(@nezumidosi_)先生の描き下ろし委員長がでかでかと載った帯。
本をよく読む人にはおなじみだと思うけれど、まずは帯を取ってみる。
帯の裏に隠れた何かだったり、帯がない状態の本の外観(以下装丁とする)が気になるからだ。
本自体の外観はCa〇pasノート(伏せる意味ある?)の外観で久しくノートなぞ使っていないインターネット人(インターネットんちゅ)からするとノスタルジックな気持ちにすらなる。
帯はなにもないかな……と捲ると、
えっちなやつだ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
怒らないでほしい。
委員長がプレイした「アマガミ」のオマージュなのだろうけれど……。
目線隠すのは、もう、そういうやつでしょうが……限定版特典の学生証についても狙ってやってるだろ!と委員長に言いたくなるくらいのデザインなのである。怒るな。
何のことだか分からない人はそのままでいいと思う。
本のコンセプトがいい
書き出しと終わりにいきなり触れることになってしまうのだけれど、委員長月ノ美兎が落としたノートを我々が拾った……。
というようなコンセプトにこの本はなっている。
配信でも話しづらいパーソナルな部分であったり過去の話であったり。
月ノ美兎のいつもよりは深い部分に触れる内容。
それを我々は拾って、届けるでもなく、全てを読んでしまっている。
読後にはそこはかとない罪悪感と共に、自分はちょっと委員長の事を他のリスナーより知れたんだという優越感。
エッセイという本の形にとてもあっているな、と感じた。
ただただつらつらと書かれている事を想定していたので、このコンセプトのしっかりとしている感じに驚いたしやっぱり委員長の作るものが好きだという感情が湧いてきてしまった。
なんでもノート
そんな概念はじめて聞いた!!!!!
本の装丁にも書かれている「なんでもノート」
物忘れが激しくて忘れ物が多いなら、持ち物を減らせばいい!!
……という極論から産まれたもの。
でも、正直この概念を学生時代の自分も知りたかった。
自分も物忘れが激しく、少し前に話していたことやっていたことを頻繁に忘れる。
今でこそ、iPhoneという文明の利器に頼り、すべてのやることをリマインダーに括り付けて通知させるという荒業でなんとか人の生活を維持しているけれど、iPhoneなんてものがなかった学生時代はひどいモノだった。
1つを見れば勉強だけじゃなく、落書きまで載っているなら、その時何を考えていたのかも思い出せそうだし、ある意味日記みたいなものかもしれない。
なんでもノートってある意味Twitterみたいだよね。
つきのみとのふぉんと
これ!!!かわいい!!!!!
自分のPCに入れて使いたい、いつ使うのかはわからないけど。
引用してしまうのは様々な意味で控えるのですが、2019年に行われた「にじさんじMusic Festival」の際に送られたフラワースタンドについた作品が委員長の文字をトレースしたものノートに纏める……というものだったのを思い出しました。
本人の本当の字が本当にフォントになっちゃったよ……(^ω^)
差し込まれるみとあーと(本人)
要所要所に折り込まれている委員長のイラスト。
エッセイ本企画が立ち上がる前に書いていたnoteでも見れたものが、また見られて大変うれしい。
委員長のイラスト、神絵師!とかでは決してないのだけれど、彼女にしか描けない味が濃いくらいにあって、彼女を知っていれば知っている程よりその味が濃くなっていいものになるのかもしれない、とエッセイ本を読みながら思うなどした。
最後のページのイラストの掠れ具合とか、頑張ったな……みと……と後方保護者面をしたくなる感じもあった。
一番のお気に入りはヤドカリのみとです。
プロフィール帳や通信簿
差し込まれる絵と共にあるこれら。
くすりと笑ってしまいながらも、中々にパーソナルな事も書いてある。
私が注目したい事書いていい!!?!??!?!?
委員長が最近注目しているYoutuberの「瀬戸康史」さん。
Perfumeの、のっちさんも瀬戸康史さんを好きでよく見ているんですよね。
忙しかったり暫く活動を休んでいたりで、結構前な印象はあるんですが、のっちと委員長がLINEを交換している事実を定期的に身もだえしています。
どうも、Perfumeのオタクです。
あと、英語のテストや通信簿の教師部分を書いたのは誰なのだろうか……マネさんっぽい、字が綺麗。
一期生への思い
中身には委員長の過去が沢山綴られている。
中学・高校・映画研究会。
色々な過去があって今でも中の良いご学友との関係であったり。
なんだかんだ、委員長は色々な人と関わっていて人との交流をするのがうまい、というか好かれているんではないかと思っている。
今ままでは少なかったにじさんじ内の交流も最近増えて来ていて、元来友達は多いひとなのだろう。
そんな中で、一期生を「一番仲のいい人」と綴って一つのテーマとして取り扱うっていうのがオタクとしてもとってもとっても嬉しい事だった。
古参面すな!と怒られそうではあるが、一期生デビュー直後の時代から延々と見てきた身からすると、個人的な感情として一期生は特別でスペシャルな存在なのだ。
一期生配信を見ていても思っていたことだけれど、年々ラフな感じになって今までは気を使って言えなかったことも言えるようになる。
エルフのえるさんと話が弾まなかった話もそういうことだったのだろうなと、思うと愛しい気分にまでなってしまう。オタクくん……。
さいごに
先ほども書いたのだけれど、Twitterを使うようになってから本当に長文を読むのが苦手になったと思う。
この文だって、文字にすれば3000文字程度で大した分量ではないのだけれお、自分が読者だったら最後まで読めるかなぁ……と二の足を踏んでしまうくらいだ。
そんな私でも最後まで止まることなく読み終えることのできたこのエッセイは、委員長自身の文が語り掛けるような口調で読みやすい事もあったけれど、委員長自身が常にインターネットに浸かっていて、同じようなノリでいるからかもしれないな、と勝手に思っている。
あとがき部分の気持ちよさも相まって、読後感もものすごくよい。
より一層、委員長の事が好きになるそんな本でした。
また委員長の書く本が読みたいし、noteでもいいから読みたいなぁとそういう気持ちが高まってしまったので、この文に祈りを捧げながら終わろうと思う。