midnightblue その2
コータローさんが横浜遊び行きたいって言ってくれたんだけどスケジュールが中々合わなくて。
その後世の中にコロナが流行ってそれどころじゃなくなった。
そもそも飲み屋がやってねえ。あの時期は愛する福富町すらシャッター街だった。太源でさえ休み。
ようやく少しずつ皆が活動出来るようになって、横浜で飲むか!ってなったのは去年の四月。
まだ桜が咲いてたね。
コータローさんはブクロのショーちゃんと一緒にハマにやってきた。
店も全部お前に任せるよって言われたものの、どーしていいかわかりゃしねえ。カジノ連れてくわけにもいかねーしよ。
飲み屋のネーちゃんもてなす方がよっぽど気楽だろ。
ショーちゃんにアドバイスを求めたら
「コータローさんが好きそうなとこで」
なんて言いやがるし。
まあいいやって腹括ってノープラン。
とりあえずぴおシティ(先輩たちが昼から飲んだくれてるビル)におそるおそる連れてってみたら意外にも気に入ってくれて、生ホッピーを何杯もグビグビしてた。
んじゃこっから北上してって太源でグッバイラーメンをキメるプランにしたんだよ。
ぴおシティを出てモナコビルの前に来た時、知ってるジャズ喫茶のことをふと思い出して
「コータローさん、ちと一軒付き合って」
って入ったのがdown beatって店なんだ。
店主のヨッシーはオレがコータローさんのめっちゃファンなの知ってるから扉開けたらマジで固まってた。
薄暗い雰囲気もよくて音も爆音で最高(オレもコータローさんもショーちゃんもJAZZは何も知らない)、
ご機嫌になったコータローさんが
「めっちゃいいじゃん、もうここに腰据えて飲もうよ」
って言い出したんだけど、ありゃたぶんソファが腰に良かったんだと思うんだよな 笑。
ハイボール何杯も飲んで色々話して。いま横浜のメガネ屋とコータローモデルのサングラス作ってるとかさ。
そん時にオレが、
「ここたまにジャズのイベントとかしてんすよ。コータローさん弾き語りとかいいんじゃないすか?」
って言ったら、
「おーいいじゃん、やろやろ!」
なんて言ってくれて。
そんなこんなでdownbeatでがっつり飲んだあと、皆で千鳥足でぷらぷらザキの方に歩いてった。
しかしなあ、古市コータローが夜の伊勢佐木町歩いてる後ろ姿は完全に映画のワンシーンだった。
エイトセンターとかGMビル(取り壊しが決まってて入れなかった)のあたりの古いビルのあたり、横浜イチガラ悪いとこにしびれるくらいハマるんだよ。
川沿いの夜桜の下にいるコータローさんとかよ。
ガキの頃からウロウロしてたとこにガキの頃から憧れの人がいる、
オレはうっとりしちゃって夢うつつ。現実味なさすぎて。
さらにどっかで飲み足して、コータローさん念願の太源でラーメン食って。
ご機嫌なコータローさんを宿に無事送り届けたら緊張がほぐれて一気に酔いがまわってきた。
そのあとオレはショーちゃんと二人で飲み行ったみたいなんだけどよく覚えてない。
次の日の朝ホテル迎え行って。
散歩してふたりは春の横浜から帰っていった。
とにかく夢の中みてーな二日間だったよ。
秋ぐらいにコータローモデルのサングラスの話が具体的になってきたから、どんな出来上がりか気になって
メガネ屋に行ってみた。
海沿いにある素敵眼鏡michioって店なんだけど店主のみっちーがめちゃめちゃいい人で。品揃えも渋くてさ。いっぺんに仲良くなったよ。
オレも丁度老眼鏡が欲しかったから一緒にキャッキャって選んでたら、店にぶらっと庄司信也が入ってきた。
続く