deadline and whine
美大に入学したての一年生の4月頃は、たぶんとても優雅に生活していた。
わたしは一人で過ごすのが好きだったから。
それに、入学前も田舎から上京して一人で予備校に通う生活をしていて、
たくましかった。たくましいな。
6月22日だったのかな。周りが一変しちゃった日がありました。
交通事故でした。通学中に自転車に乗っていたわたしは車に轢かれてしまったらしい。
嘘でしょ。
意識不明の重体?でヘリコプターで病院に搬送されたそうです。
わたしは何にも知らないんだけど。全部聞いた話です。
わたしは事故の数時間前から3日後までの記憶がなくて、
その知らぬ間に体がボロボロになってて知らない病院に運ばれて、
周りがとても悲しんでいました。
何事なのか、わたしはそんな中でも自分が事故にあったなんて信じられなかった。
自分の現状を何ひとつ信じることが出来なかった。
パラレルワールドで別次元の自分になってしまっているとしか思えない。
ボロボロの体は、腰の骨が折れて、左手首の骨が折れて、頭を打って血だらけで、
全身擦り傷で大きな絆創膏みたいなので覆われたミイラみたいな感じ?でした。確か。
寝たきりを3週間しました。
はじめは折れた骨がずれないように身動き出来ないマットで固定されたまま寝ていました。
手術は七夕にしました。
何もかも終わったって感じがしてましたが、右手だけ何も無かったので、
集中治療室から救急病棟に移ってからは絵をずっと描いていました。
手術をしたら30°とかベッドを起こせるようになったので、見える外の景色をずっと描いていました。
暇だろうと本やDVDやCDをたくさん借りたけど、描くのに夢中でした。
そんな時期があって、いまはある程度健康な人間になれて
でもなんだか自分の存在がフワッとしか感じられず、生きているのやらなんなのやら
掴みきれない感じで過ごしている。
ささやかな糸口でも掴むことができたら、そう思ってわたしは今、美術をやっているんじゃないか。
身体はだいぶ治ったけれど、元に戻ったわけじゃないし
心は随分と削げて弱くなった。
生きていきたいのか、つくり続けていきたいのか、
ほんとうははっきりしていないんじゃないか。
いつかつくらなくても足をついて生きていけるんじゃないか。
胸がざわざわして怖くなる。
毎日怖くなる。
〆
死にかけたことがある。
その時の事は何も記憶が無いけれど、
日常から急に飛んで目が覚めたら集中治療室だったのはびっくりした。
身に覚えもなく体がボロボロになっていて、そんなの、もう自分なのかどうかも怪しいじゃんね。
ひとの命のギリギリのラインってなんなんだろう。
よく、考えている。