いつから
いつからだろうね。インコースから人を抜いても怒られなくなったのは。
小学生の頃、運動会のリレーの練習でインコースから前の子を追い抜いて先生にひどく叱られたことがある。
「危ない!」そう叫ぶ先生。
叱っているようだけれど、私を含めた子供達の安全を思う暖かい気持ちがその言葉には乗せられていた。
19になって、当たり前のように大学に通って、当たり前のように人混みを歩く。予行練習なんてしてないのにみんな揃って同じ方に行進できるなんて大したもんね。
あぁ、今日は何人インコースで追い抜いたんだろう。てかどっちがインなんだろう。
ただただ同じ方向に向かって、自分が行く先があたかも正しいかのように堂々と胸を張って歩く(下を向いていても可)わたしに、私たちに誰か叫んでよ。
「危ない!」
って。