第9回三題噺「生卵」「田舎民」「クライミング」
お題:「生卵」「田舎民」「クライミング」
「クライミング」と言えば、崖のようなところを登るロッククライミングだったり、極寒の地で行われるアイスクライミングだったりがある。
田舎民である僕は、「クライミング」と聞いた時、おおよそそれしか思い浮かばなかった。
都会に来て会社勤めをするようになると、その会社で活発に行われている部活動にボルダリング部と言うのがあった。ボルダリングというものを知らなかった僕は、同僚に話を聞いて、「ロッククライミングみたいなものだよ」と言われ、心の中で「都会のクライミング」と表現した。
ボルダリングのジムに初めて訪れると、そこにはカラフルな石が壁に彩られ、地面にはしっかと敷かれているマットが、僕の身体を不安定にさせる。
「都会のクライミング」は、やはり人工的であった。
その「都会のクライミング」は、「自然のクライミング」とは違い、安全である、ということ。
敷かれているマットは、わずか2センチの厚さでありながら、地上18メートルの高さから生卵を落としても、割れないという。台所で料理の最中に、生卵をうっかり落として、割ってしまうことがあるが、それは高さ1メートルくらいなものだろう。その18倍の高さでもってしても、割れないとは。「都会のクライミング」は、安全性があってこその娯楽なのだろう。
「自然のクライミング」が手の込んだ料理だとすれば、ボルダリングという「都会のクライミング」はインスタント料理みたいなものかもしれない。
インスタント料理にはインスタントの良さがある。
田舎民である僕が、だんだんと都会色に染まっていく。ボルダリングの足場の石のように、カラフルに彩られていく気がした。
所感
今回はスムーズにお題回収できましたが、ストーリー性が足りないかな〜という感触でした。これからも、日々、話作りの勉強頑張ります。
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ではでは。