相容れない人

 私が、どんなお金持ちになろうと、どんな権力を手に入れようと、どんなモテ期が来て池田エライザに迫られようと、私の顔面とスタイルがどんな竹内涼真になろうと、絶対にしないと自分自身と約束している事が三つある。
それは、
①自分が顧客として訪れた店舗の従業員に対して高圧的な態度を取らない事
②カフェや喫茶店で人目を気にせずにAVを見ない事
③AVサイトのレビューで自分の見たAVにコメントをしない事
の以上3点である。あ、②の「カフェや喫茶店で人目を気にせずにAVを見ない事」だけだと語弊がある。人目を気にしてもカフェや喫茶店ではAVを見ない。AVは一人でこっそり楽しむモノだ。一人でこっそり楽しみながら、一人でモッコリするもので___失敬。自らの頭脳とタイピング運動で文章を書きながらも、冒頭で6つもAV(7個目)という単語を出してしまった事は悔いている。大いに反省し改善すべきである。が、今回の話はAV(8個目)という日本一多用されてる頭文字の略語が付きまとう。もし、ここで出ているAV(9個目)の解釈を誤って捉えている方が居たら、この先の話に支障が出てしまうので、改めてここで注釈を入れると、AV(10個目)とはアダルトビデオ(実質11個目)の略称である。そこはしっかりと抑えておきたい。そして、本題に入る前にまず、これだけAV(12個目)と記すと分かっていながらも、前半に池田エライザと竹内涼真という固有名詞を出した事を反省し、ここに謝罪の意を示す。涼真、エライザごめん。

 一個目の「自分が顧客の立場として訪れた店舗の従業員に対して高圧的な態度を取らない事」は、当たり前の事すぎて自分と約束する必要すらないだろ思った方もいるだろう。おっしゃる通りだ。
この世にある職種で大きな割合を占めているのは、接客業である事は間違いない。
想像しやすいのは、ファミレスのホールスタッフやホテルのサービスマン、営業マンや駅員さん、旅行代理店のカウンターや美容師なども、接客業であろう。接客という言葉が適切でなくても、対客人で行われる仕事がこの世の大半であり、それはまぎれもない事実である。
冒頭のAVという言葉の頻出度の謝罪から、この世の職種を大まかに分類した時の大半は接客業であるという四季報の様な出だし。我ながらあっぱれ。続けます。

誰もが誰かにとってのお客様として迎え入れられ、サービスを受ける事がある。「お客様は神様だ」という文句は、間違いなく接客する側が使う言葉であり、接客される側が使う「お客様は神様だ」は言い換えると「俺は神だ!」や「I'm God!!」になる。重症の厨二病患者ですら、こんな捻りの無いカッコつけ方はしないであろうし、何かある毎に十字架を切って祈られたり、手を合わせて唱えられる側の彼らも、そんな直接的で傲慢極まりない自己紹介の仕方はしないであろう。
 もちろん、接客する側の態度が悪い時に指摘する権利は金銭を支払う側にあるのは間違いないし、忘れてはいない。
 私も、深夜にコンビニに行った際、その時間帯を一人で回していて(バックヤードには同僚がいたのかもしれない)明らかに不貞腐れている店員さんが品出しをしている際に、レジでお会計をお願いしようとし、声を掛け、会計が終わる際に「すいません、忙しいのにぃ〜」と優しさの含有量2000%の声色で謝ったのに、鬱陶しさの含有量3000%で「(睨みきかせキレ気味で)レシートは?」と即返信が来た時は、声を荒げてしまいそうになったが、その声をグッと飲み込み、心の中で、彼の末代まで呪い殺そうと試みるという大人な対応で済ませた事はある。

 誰もが誰かにとっての客として迎え入れられ、サービスを受けられる社会だからこそ、裏を返せば、誰もが誰かに接客をする立場になり得る。これほど、簡単に逆転する主従関係は他にないと私は思う。だからこそ、接客してもらう側に対して、高圧的、威圧的な態度や失礼な振る舞いをしている人を見ていると、特大のクラクションを鳴らしたくなる。いつ、そのシーソーはガタンと音を立て、どちらが見上げる側で、どちらかが見下す側になるのか分からない。だからこそ、そのガタンという音は、極力小さい方が良いだろうし、そもそも、どんな立場であろうと人として、上下や立場で、自分の言動を変えるのは下品極まりない。

 私は、よく埼玉県南部および東京都、もう少し詳しく絞ると京浜東北線の停車駅付近のDOUTORに出没する。ある日、私はDOUTORでアイスコーヒーと共に、本を読もうと思い、近くの本屋で本を買い、DOUTORに入店し、会計し、着席した。ここまでは順調だった。僕の座ったテーブル席の右斜め前には、横並び一列の席があり、そこは誰も座っていなかった。コロナ対策という事もあり、その横並びの席は、ひと席空けて座らなくてはいけなくなっていた。私が着席し、アイスコーヒーを啜っていると、その横並びの席に、スーツを着たオールバック、身長は180cm以上、カバンはシルバーのアタッシュケースという見た目の、いかにも仕事が出来そうな男が着席した。その時点で、この男からは少し浮いた雰囲気が出ていた。なぜなら、この人変わってるぅぅ〜!って思わせる人の共通項である【発する音がいちいち大きい】に彼が当てはまっていたからである。

アタッシュケースを置く音。溜め息。
会計の時のレジのお兄さんにだけでなく、
店内にいる全員に届けようとしてるのかと思わせるほどの声量。溜め息。
グラスを置く音。溜め息。
アタッシュケースからパソコンを出し、パソコンをテーブルに置く音。溜め息。
溜め息。
溜め息。
吸い込む音。
溜め息。

お察しの通り、この時点で、私の目は、楽しみにしていた本に連なる文字ではなく、彼の事を追っていた。
「目立ったり、動くものに目が行ってしまうのはオスとしての本能なんだよ」
と大学時代のバイト先の変わり者扱いされてた女子に、何の前触れも文脈もなく急に言われた事を、今思い出した。あれ何だったんだ。
話を戻す。
その男の名を仮に、溜め息おじさんとして(呼び名はこの後変動します)、その溜め息おじさんがパソコンをテーブルに置こうとした時、そのテーブルが前の人のドリンクの結露で濡れてしまっていたのに気づいた。
そこで溜め息おじさんは、隣のテーブルにあったナプキン置き(フルで補充してある)から、ナプキン(フルで補充してあったフル)を取り、拭いたのだ。3枚さえあれば、拭き取れるであろうレベルの水滴を、50枚以上の束で拭いたのである。ただナプキンとしてこの世に降り立ち、ただナプキン置きに補充され、ただ溜め息おじさんにグシャグシャにされる為だけに生まれてきたNPKN 50たちには同情してもしきれない。この時点で私は大分イラっとしてる。自分本位の思考、後先を考えない思想、自分がこの世の回転軸かの様な振る舞い。イライラ。
しかも、その溜め息クソジジは、そのナプキンの束を自分で捨てるのではなく、グシャグシャに丸めて、自分の隣の席に投げ捨てたのである。まぁなんということでしょう!!!!
それを目にした瞬間に、私の怒りは沸点を超え気体になり、その溜め息クソ野郎にの耳元に大きな声で「温暖化!!温暖化!!温暖化!!」と叫んで嫌がらせしてやりたかった。そんな事する勇気ないくせに!って思った貴方。おっしゃる通りです。
しかし、まだ溜め息クソ野郎は暴挙は続く。
DOUTORは空いてるテーブルを拭く為に店員さんが、店を定期的に巡回してくれる。そして、その業務を担当した女子大生くらいの可愛らしい女性が、先ほどのNPKN50を見つけたのである。そして、店員さんは笑顔と友達と話す時よりワントーン高めだろうなと思わせる声色で溜め息クソ野郎にこう尋ねた。

「こちら、お捨てして宜しいですか?」

その問いに溜め息クソ野郎は、こう応えた。

「はぁ? あん、良いに決まってるじゃん。」

僕は生まれて初めての経験をした。
それは、獲物を狙う際の捕食者の様な血気でありながら、穏やかな海の様な落ち着きで、「強烈な殺意」を抱いた事だ。
あの時、その場に鋭利なものを持っていなくて良かった。
僕は本を読みに来たわけで、態度の悪い客を殺めにDOUTORに来たわけではない。

会計時の態度から、薄々勘付いてはいたが彼は典型的な店員さんに高圧的人間だった。私が絶対にしないと決めている事の①を彼はしていた。なおさら、高圧的な態度は取らないと心に決めた。文字通りの反面教師である。

そして何分か経ち、溜め息クソ薄ハゲジジイもパソコンを広げて仕事をし始めたので、特に大きな動きもなく、読書にやっと専念できると思い、本を開いて読んでいた。
読書もなかなか集中力がいるもので、活字を目で追い、脳みそで映像化し、解釈しようとすると僕の様な体力と想像力のない人間には休憩が必要である。
読書してから時間が経ち、休憩を取ろうと思い、アイスコーヒを啜り、何の気なしに、視線を右斜め前に向ける。何の気なしにとは綴ったが、少し求めている自分も否定しきれないから悔しい。
私の視界に溜め息薄ハゲジジイがまた入った。
彼は、パソコンと睨めっこしてるのかと思わせるほど、向き合っており、右手をマウスに乗せて、固まっていた。
一生懸命パソコンと向き合って、仕事してるのか。と思ったのも束の間、私の目は彼が眼光鋭く見ているパソコンの画面を捉えた。いや、捉えてしまった。
そのパソコンに映し出されていたのは、裸の女性だった。
そのパソコンに映し出されていたのは、裸の女性だった。
そのパソコンに映し出されていたのは、裸の女性だった。

私は本気でこう思った。純度100パーセントでこう思った。

帰れ。

家帰って、右手をマウスではなく、自分の陰部に置け。
で、二度と京浜東北線の停車駅付近のDOUTORに入店するな。

溜め息薄クソジジイは、ただ見ているだけではなく、レーザーポインターを追いかける猫の如く、目を真ん丸くして、今に飛びつかんと言わんばかりに目で追っていた。彼の比喩として猫という具体例を出してしまったのを、全世界の猫好き並びにネコ科の全動物に謝りたい。ごめんネコ科。

その溜息薄ハゲクソジジイは、その裸の女性が映った画面を吟味し、気に入ったものは保存をしていた。生まれ変わってもあいつの欲求の為に使われたメガバイトだけにはなりたくない。
しかも、その裸の女性として映ってるのは有名若手女優や有名女性アイドルの裸の姿なのだ。もちろん、これは本人ではなく、合成されたもので、ディープフェイクと呼ばれる類の立派な犯罪である。それをわざわざ検索キーに打ち込み、マウスを動かし保存して己の欲求を満たそうとしている薄ハゲは本当に許せない。
薄ハゲは、そこから長時間、立派なパソコンで己の欲求を満たす為の下準備をしていた。推測にしかならないが、私以外のお客さんも薄ハゲがアダルトな動画を見ているなと認知していたと思う。それくらい隠す気0で、むしろ公正明大が如く堂々としていた。するな。帰れ。
薄ハゲは、私が自分自身と約束している三つの内二つを、いとも簡単に成し遂げた。
お世辞にも冗談にも尊敬できないし、鬱陶しいし、きもいし、泥、ヘドロ、etc。
それに加え、その薄ハゲは自分の欲求を満たす以外何も生産していない動画を見て、レビュー欄に立派なパソコンの立派なキーボードで、ヘドロの指でタイピングをし、その動画に対して、レビューを書いていた。あっという間に、私が自分自身と約束している三つの内三つを、いともいともいとも簡単に成し遂げた。
己の欲求、しかも性欲という人間における淫らで醜く見えてしまうものを、DOUTORという公の場で、ギリギリ犯罪の境目などではなく、ガチガチ犯罪のド真ん中の映像に手助けしてもらい、性欲を満たそうとしてる奴が、その映像に対して評価をしたり、「ここはこうの方が良い」(黙れ)やら、「この揺れ方は作り物の揺れ方」(全部創りものだよ馬鹿、黙れ)とか「男優の存在が目につく」(帰れ)という審査員的な助言をして、5個ある星を輝かせたり、輝かせなかったりしている。
特に腸が煮えくり返るのは、その動画に対して立川志らくばりの指摘するくせに、それで自分が気持ち良くなってお世話になっている事だ。むしろ感謝しろ。カス。

個人的この世になくても困らないランキング第一位は、各ネットニュースや動画サイト媒体のコメント欄だと思っているが、その中でもダントツに不必要極まりないのがAVのレビュー欄であろう。あの世界一無駄な文章を見て、購入を渋る日本男児がいるとしたらパイプカットからの切腹だ。

入店してから着席までの店員さんへの上から目線の態度。

ど犯罪のAVを吟味からのダウンロード。 

ど犯罪のAVを鑑賞しレビュー。

こんな大人とは一生相容れない。
あ〜、本ちゃんと読みたかったなぁ

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