12.ジョンがメロトロンを入手するキッカケになった曲は? & RUBBER SOUL で使われたインド楽器は(シタール以外)?
『HELP!』を機に「ビートルズのキーボーディストはジョン」という印象が強くなります(実情とは必ずしも一致しません)。2月にはThe Night BeforeでVOX社コンチネンタル・ポータブルを(映画でも披露)、6月にはI'm Downでホナー社ピアネット(こちらはライブで披露)を使った事が主因となっています。
この動機は解明されていませんが、ジョンがキーボードに目覚めた時期であるのは確かなようで、8月には遂にメロトロンを入手します。
こちらのキッカケはYou’ve Got To Hide Your Love Awayです。The Silkieがカバーするに当たってビートルズも協力(ポールがギター、ジョージがタンバリンで参加)しています。そのレコーディングに使ったスタジオ(IBCスタジオ)に設置されていたメロトロンを気に入り、即決で入手しています(USツアー中にもかかわらず数日後に自宅に搬入)。
ちなみにThe Silkieのカバー・バージョンにメロトロンを使った訳ではなく、フルート・パートはありません。
さらに直後の『RUBBER SOUL』では、映画『HELP!』でインド音楽にはまったジョージがシタールを導入しますが、同じくインドの楽器であるハーモニウム(We Can Work It Out)が大活躍しています。
ここで(キーボードを多用するようになって)レコーディング作業に問題が生じます。
これは現在でもコピーバンドを悩ませる問題ですが、ビートルズはテープレコーダーに半音程度の速度調整を施す事がありました。当時のアナログ機材ではテンポとKeyが同時に変化してしまいますので、テンポを上げれば音程が高くなり、テンポを下げれば音程が低くなります。これにより演奏するKeyと完成版のKeyが違ってしまうので、完コピしたいコピーバンドはどちらを優先するかジレンマに陥ってしまうのです。
簡単にチューニングを合わせられるギターとは違い、キーボードの登場で問題は明確になりました。正確に音階に合わせる速度変更ができなかったため、キーボード全般は速度を変えたら使えないと言う制約です
この問題は次回作『REVOLVER』時に解決される事になります。
参考までに速度調整をした曲を演奏時の速度で再生してみます。声質に違和感を感じるものは、別の速度でボーカル録音をした事を意味しています。
(再生にはLinerNotesかFoomonを使用して下さい)
Hold Me Tight(Key E)
→Hold Me Tight(Key F)
ミキシング時にテンポを上げています。
Little Child(Key D)
→Little Child(Key E)
リンゴのための演奏でしたが、ジョンとポールにはKeyが低いので1音高くなる速度でボーカルを入れ直しています。
Ticket To Ride(Key A)
→Ticket To Ride(Key Ab)
演奏は若干遅く再生してヘビーな感じにしています。
I'm Looking Through You(Key G)
I'm Looking Through You(Key A)
→I'm Looking Through You(Key Ab)
Key Gで演奏したもののポールはテンポの決定に苦しみ、Key Aで録音した音も含まれています。
Rain(Key A)
→Rain(Key G)
ヘビーなサウンドとするため演奏は1音下がりました。
For No One(Key C)
→For No One(Key B)
ピアノはキーCで演奏しています。
Penny Lane(Key C)
→Penny Lane(Key B)
ピアノはキーCで演奏しています。
Ob-La-Di, Ob-La-Da(Key A)
→Ob-La-Di, Ob-La-Da(Key Bb)
Key Bbの曲として知られていますが、実際にはポールがライブ演奏した通りKey Aの曲です。ジョンのピアノもKey Aで演奏したものです。
レコーディングでは散々リメイクを繰り返し、最後の最後にテープ速度を上げてテンポをアップさせた時にボーカルも入れ直したという経緯です。
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