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No.45《就活指導④》           Q&A 25年卒 内々定就活生からの質問 其の2「内定承諾書の取り扱い」に ‟始期付解約権留保付労働契約” と大学キャリアアドバイザー経験談の内容を交えながら回答してみました

いつも私の記事をお読みいただきまして、ありがとうございます。

本日12月30日 晦日で、今年も残すところあと2日となりました。
働いている方の多くは28日が仕事納めで、昨日から1月3日ぐらいまで年末年始のお休みを取られているのではないかと思います(私もその一人です(^^ゞ)
そんな中、前回の記事でも書きましたが、25年卒の就活生の方々の中には、年末年始&イベントに関係なく、今年の夏に参加したインターンシップを皮切りに水面下で実施されていた早期採用選考を経て、年内に見事内々定を得られた方も出てきました。
第一志望の企業から内々定を得られた就活生の方、本当におめでとうございます&お疲れさまでした☆彡
また、内々定をもらいつつ、まだまだ就活を続ける方(きっと大勢いらっしゃると思いますが)も、年明け以降も体調に気を付けて良い結果を出せることを願っております。

さて、本日も前回に引き続き、タイトルに掲げた内々定者が直面する「内定承諾書の取り扱い」の質問に対し、キャリアアドバイザーとして大学キャリアセンターで勤務した経験をもとに、該当する就活生の方々へできる限りわかりやすい解説をしていきたいと思います。

【質問】なぜ企業側は内々定の学生に内定承諾書の提出を求めるのか?
これは新卒採用における労働契約「始期付解約権留保付労働契約」が根底にあると解されています(私が大学キャリアセンターに勤務していた際に受けた実務研修の中でそう習いました)
まずは、その説明からさせていただきます。
※すでにご存知の方は、下記の【回答】をご参照下さい。

「始期付解約権留保付労働契約」とは
就労の「始期」と「解約権留保」の2つの条件が付いた労働契約。
採用が内定した際に雇用者(企業)と被雇用予定者(学生)の間で締結される契約の1つです。

始期付解約権留保付労働契約が成立しているか否かは、専ら就活生(以下学生)の権利の保全という見地から判断されます。
その学生の権利とは、採用内定を受けたことによって当該企業に就労できるという「期待権」のことです。
採用を取り消すことは、学生の「期待権」の侵害に当たると見なされますので、採用内定を受けた学生に対し、(就労始期付という条件のもとで)その企業の社員としての地位を認めています。
つまり、この契約(特に内定同意書や承諾書を取り交わしている場合)では、学生は就業開始日(翌年4月1日)より前であっても従業員とみなされます

ただし、始期付解約権留保付労働契約が成立しているとは言っても、文字通り、解約権も留保されているのですから、客観的に合理的で、社会通念上、相当と是認される事由があれば、採用内定を取り消すことは可能です。
具体的には、
◎ 学力不振(単位不足)により卒業できない
◎ 健康状態の悪化により当初契約した内容の労務提供が困難になった
◎ 学生から提出された書類に重大な過誤または虚偽の記載があった

◎ 企業の業績不振による整理解雇
の事情が生じた場合です。

近年の採用事情を見ればわかると思いますが、就活生の平均内定(内々定)社数は2~3社と複数得ていることが一般的となってきました。
その中で就職先を決めれば、残りの1~2社は辞退することになり、場合によっては、その申し出を受ける時期が、多くの企業で内定式を実施する10月1日直前になる恐れが往々にして起こり得ます。
リクルート就職みらい研究所の「就職白書2023」では、内定後の辞退率は46.5%にも上るという結果を発表しています。
おそらく、この数字の中には一部ではありますが、辞退の申し出をせず、放置する学生も残念ながら存在します(けっして珍しい話ではありません)
つまり、上記にある通り、企業が学生の「期待権」を尊重しているにも関わらず、学生の方から採用内定を取り消されてしまうことで、企業側には採用人数不足になるというリスクを負わざるを得ない状況が毎年起こっているのです。

【回答】
前置きが長くなってしまいましたが、そのような事情から採用通知(内定)を出した企業は、
◎学生からの返信(承諾)をもって入社を確定させる
さらに、少し乱暴な言い方になってしまいますが、
◎他の内定先企業に就労する機会を学生自ら放棄することを約束してもらう
それが始期付解約権留保付労働契約を踏まえた上で「内定承諾書の提出を求める」大きな理由であると考えていただいて差し支えないと思います。

しかしながら、上記した以外にもいくつかの理由が挙げられます。
普段、私も情報収集等でお世話になっている、月間50万人以上の就活生が見ている日本最大級のキャリア情報サイト 就活の未来 さまが、それについてわかりやすく、詳細に解説している記事がありますので、是非とも参考にしてみて下さい。

【解説内容の要点】
・内定における承諾書と同意書に大きな違いはない
・内定承諾書および同意書に法的拘束力はない
・内定承諾書を提出させる理由① 学生の入社意思を再確認するため
・内定承諾書を提出させる理由② 学生の内定辞退を防ぐため
・内定承諾書を提出させる理由③ 学生に入社意欲を高めてもらうため

ここからは、私が大学キャリアセンターでキャリアアドバイザーとして勤務していた際の経験談になるのですが、学生さんが最終面接を経て内々定をもらった企業や官公庁の中には、あまり志望度が高くない、ストレートに表現してしまうと、その内々定が ‟ 滑り止め就職先 ” と位置付けられる場合が普通にあります。
学生さんによっては、採用側に入社・入庁の期待を持たせるのは申し訳ないという理由から、自らの判断で早めに内々定の辞退を申し出たりしていますが、大学側としては、第一志望の採否結果および就職先の企業・官公庁が決定するまでは、余程のことが無い限り、内定承諾書は極力提出するように指導しています。

上記の事例として、第一志望が地方公務員(自治体職員)、第二志望が民間企業(地元優良会社)の組み合わせが一番多く見受けられます。
公務員試験の勉強を続けながら、夏季に当該企業のインターンシップに参加し、水面下で早期採用選考を受け、4月中に内々定をもらい、内定承諾書を期限までにとりあえず提出。
その後、6月下旬から公務員試験を受け始め、1次・2次で不合格となった場合はそのまま、8月下旬以降(遅いところでは10月半ば)に発表される最終結果で合格し、入庁を決めた場合は内定承諾書の提出からおよそ4ヵ月後(場合によってはそれ以降)に辞退を申し入れるという流れになります。

内定承諾書を提出して4ヵ月以上経ってからの辞退の申し入れは、辞退先の企業に多大な迷惑をかけることになるのは言うまでもありません。
さらに視点を変えて見れば、来年度以降、今度は企業側から大学に採用を拒否されるという事態に発展する可能性も十分考えられるわけですよね。
そうしたリスクも重々承知の上で、多くの大学では、就職先が決定した当該学生は、早急に謝罪を含めた辞退の申し出(基本的には大学の方針に従って)をキャリアアドバイザーが指導する、というかせざるを得ない状況です

以前に別の記事の中でも書きましたが、どの大学でも一般的に行われている上記の指導について、私自身は(過去も現在も未来も)反対の立場です。
大学キャリアセンター勤務時、また現在を含む他の就職支援機関でキャリアドバイザー職に就いている時も、担当する学生さんには「公務員試験を受ける予定があること」をできる限りエントリーシートや面接選考で伝えるように指導してきました。
しかしながら、これを言うと、学生さん10人中のほぼ全員から「それが原因でどこからも内定がもらえなくて、就職先が決まらなかったらどーすんですか!!(‛=’)/」と返されるのがお決まりのパターン。。。

自身が所属する団体のキャリアコンサルタント仲間とも、この件で何度となく議論を重ねているのですが、大学キャリアアドバイザーとして学生さんの就職支援を行う限りは、当該学生の理解と協力を得ながら、内定承諾書を提出する際あるいは提出後に公務員試験を受けることを企業側へ伝えて容認していただけるように地道に働きかけるぐらいしかないのかなぁ・・・、と思う次第であります(-_-)
記事の後半は、ついつい愚痴っぽい内容になってしまい申し訳ごさいませんでしたが、まずは前半で解説しました「内定承諾書の取り扱い」について、少しでもご理解&ご納得いただけたら幸いです。

24年卒・既卒(社会人経験者含む)の個人的な就職・転職支援は、随時対応しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
次回セミナーの開催につきましては、来年3月中旬を予定していますので、決定次第、私および主催者側の双方から周知させていただきます。
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引き続き、これからもよろしくお願い致します。
本年も、私の記事をお読みいただきまして本当にありがとうございました。<<(_ _)>>

かもしん。