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micsのグラフィックデザイナー真鍋 城士が語る、アグレッシブなクリエイター論
ライター・デザイナー・ビデオグラファーの複数のプロダクションから成るフリーランスクリエイター経済圏『mics(ミックス)』。Webメディア、ブランディング、デザイン、映像など、さまざまなジャンルのクリエイティブ領域を横断して、名古屋スタートアップ株式会社、チームどみにおん、株式会社カチノデが合同で事業を行っています。
今回は、チームどみにおんでグラフィックデザイナー・ディレクターとして働く真鍋城士に、micsのコミュニティマネージャーである高下がインタビューをしました。
真鍋 城士|プロフィール
1998年に和歌山県で生まれ、小学校で愛知県へ。愛知工業大学名電高校3年のときに高校の先輩である長谷川 滉が結成したプロダクションチーム、「チームどみにおん」に加入し、以来グラフィックデザイナーとして活躍中。
今回はmicsの中のクリエイティブチームであるチームどみにおんで、クリエイターとして活躍中の真鍋にインタビュー。これまでmicsに勤める3人にも同様のインタビューをしています。
“今の自分”を作った経験
高下:今回は、micsの代表社員である森さん、ハセアキさんなどにした「クリエイターであるべき3つの条件」をお聞きしますので、よろしくお願いします。
真鍋:森さんとかハセアキさんみたいにカッコいいこと思いつかなかったんですけど、がんばります!(笑)
高下:よろしくお願いします(笑)では3か条の前に、今のジョージさんを作った印象的な経験について教えてもらえますか?
真鍋:高校(愛工大名電高)時代制作を行う情報デザイン部という部活動に入っていたんですが、そこでの経験が今の自分を作っているかなと思います。
高下:具体的にどんなところがでしょうか?
真鍋:中学校までは絵やデザインに興味がなかったんですが、ものを見るときの審美眼や、デザインやものづくりがどういうものかを知ることができました。コレは大きい経験かなと思ってます。
高下:なるほど!どうして高校時代にそんなに深く学べたんですか?
真鍋:その部活の顧問の先生がいろんな人にチャンスをくれて、しっかり褒めて伸ばすタイプの人だったからですね。
僕はあまり褒められたことがなかったので、たまたま作ったロゴを褒めていただいて、自分の作ったものが褒められたり、認められたりするという感覚を初めて得たんです。「意味があるものを作れることはすごく楽しいな」、と思えてからデザインにのめり込んでいきました。
高下:そういう風にしっかり見てくれるとうれしいですよね。
“仕事との出会い”は高校生時代
高下:では次に、ジョージさんは高校3年生からチームどみにおんに参加されたということですが、随分早い社会人生活のスタートですよね!それは何がきっかけだったんでしょうか?
真鍋:僕の学科の1つ上の代に制作チームの「チームどみにおん」があって、それに僕も参加させてもらっていたことがきっかけです。
卒業してしまうことによって、みんなで制作を行える環境がなくなるのが残念で…。当時はデザイナーというより開発中心だったんですが、それでもいいやと思って加入させてもらえるようお願いしたんです。
高下:チームどみにおんに正式加入してからは、どんなことを学びましたか?
真鍋:2つあって、1つはクライアントのための“効果”を求める姿勢、もう1つは人に動いてもらうためのコミュニケーションですね。
1つ目の“効果”を求める姿勢は趣味のデザインに比べ、考える量を2倍以上にして取り組んでいます。仕事はクライアントの要望に応えることなので、デザインの先のことを意識していますね。詳しくは3か条で話します(笑)
2つ目はディレクションをやったことで人と自分の認識にどのくらいズレがあるのか、それをどうやって埋めるかを考えるようになりました。今、トライデントデザイン専門学校に通っているので学生ではあるのですが、学生という意識は全くないですね。(笑)
高下:2つとも、忙しくなると意識が弱くなってしまう部分なのに、実行できているのが本当にすごいです!若いのに(笑)
真鍋:ありがとうございます!(笑)
“楽しさ”を灯し続けるバイタリティ
高下:次に、ジョージさんは自分を一言で表すとどんな人だと思いますか?
真鍋:アグレッシブな人ですかね。いい意味で好奇心旺盛ってことです。クリエイターだからというのもあるんですが、新しいものを吸収したくて自分の知らないことがあると飛びつくタイプ。元々やってたグラフィックデザイン以外に映像・ディレクションなども自分から「やってもいいですか?」ってどんどん範囲を広げていっています。
高下:その姿勢は素晴らしいですね!取り組む前に嫌な先入観があったりしないんですか?
真鍋:そうですね。先入観は持たず、「その職業が存在してるってことは辛いこともあるだろうけど、魅力的なことも必ずあるはずだからやってみよう!」という希望的観測で飛び込んでます。(笑)
高校の部活のときもいろんなことをやっている人がいて、みんなが楽しそうにものづくりしていて、クリエイティブを心から楽しんでいる感じだったんですよね。その環境にいたからこそ、制作してる自分たちも楽しめるのが大事だと思うし、モチベーション高い方がいいものができるって思ってるので。
高下:そのバイタリティ、素敵です。高校の部活もチームどみにおんも皆が楽しんで働ける環境っていうのが共通してるから活躍されているんでしょうね。
クリエイターであるための3か条
高下:ではいよいよ、クリエイターであるための3か条を聞かせてください。
真鍋:はい。(笑)「観察すること」、「想像すること」、「好奇心を持つこと」の3つです。
高下:いい感じのが出ましたね。(笑)じゃあ1つ目から教えてください。
真鍋:「観察すること」はクリエイティブをするにあたって重要だといろんなところでいわれていることだと思うんですが、ヒントって本当にいろんなところに落ちているんですよ。
僕趣味が散歩なんですけど、同じ道でもいつもと違う視点で見ると「こんなところにこんなものがあったんだ!」とか、「この木の感じいいな」とか気づくんですよ。ぼーっとしているとその情報が得られなくなるからこそ、大事にしたほうがいいなと思っていて。
高下:具体的にそれが活きたことってありますか?
真鍋:特にロゴを作るとき顕著なんですけど、ロゴって抽象的なものなので会社の特徴やサービスをよく観察して抽出すべき部分を見抜かないといいものができないんです。情報の抽出方法は、ポイントになりそうなことをHPから書き出したり、クライアントの競合と比較して分析したりしていますね。
あとはHP制作でUI(ユーザーインタフェース:ユーザーから見た操作性)なども“観察”が生きますね。これはユーザーの気持ちになって見ようとしないと、見えてこないものなので、特に時間をかけています。なぜここまで大切にしているかというと、「インプットしないと引き出しがなくなるから」。インプットが偏らないよう美術館や展覧会、散歩など幅広くするよう心がけています。
高下:なるほど、勉強になります!2つ目の「想像すること」というのは?
真鍋:「誰に届いて、その人がどんな気持ちになるか、その先のアクションまで想像する」ことが大事だと思いますね。クライアントはもちろん、デザインしたものを使うユーザーがどう見ているかまで想像します。
これらはクライアントやユーザーありきのデザインをするようになって、意識するようになりました。絶対に忘れないために、仕事に取り掛かる前に考えるようにしています。
まずは自分だったらこういう感じでデザインするというものを考えて、そのデザインとクライアント視点・ユーザー視点を頭の中で戦わせるイメージですね。削ぎ落とせる部分や不足部分をここで洗い出してから制作するという順番で行っています。
高下:なるほど。では3つ目の「好奇心を持つこと」についてお願いします。
真鍋:言葉の通り、新しいものに飛びつくのがクリエイターだと思っています。考えがその場に留まってしまって好奇心を持たなくなったら終わりだと思うので、楽しいことに飛びついていけるバイタリティがないとダメ。
随分前から同じ仕事の仕方をしているところの場合、「効率はいいかもしれないけどそれで楽しいの?それってクリエイティブなの?」って思うんですよね。そういう風な状態を見たときに危機感が磨かれたのかもしれません。どんどん消費されて、引き出しが減っていく感覚があるので、仕事の仕方自体もクリエイティブに行っていきたいと考えています。
高下:素敵な3か条を教えていただき、ありがとうございました!最後に、ジョージさんが一緒に働きたい人ってどんな人ですか?
真鍋:マインドとしては楽しく仕事できて、新しいことに保守的じゃない人。止めておこうよというより、自分たちより若い人は「これいいじゃん!」と勢いをつけてくれるような感覚でいてほしいですね。自分が興味を持っていることに手を挙げてチャレンジできる人と、一緒に働きたいです!
高下:そうですね!いい意味アグレッシブに仕事を楽しめるのって素敵だなと思います。今日はありがとうございました。