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「マイクロブタさんの置き去り容疑で書類送検」の報道について

 先日、2024/10/25(金)に報道されたマイクロブタさんの置き去り事件について、TV報道やニュース記事を見られた方が多いのではないでしょうか。

 この事件について、mipigで情報提供を行ったり、ブタさん2匹を保護したことから、警察の方から詳細のお話を伺いました。報道では触れられなかったことも含め、お話できればと思い、ここに記します。

■報道されたニュースの概要
  2024/8/28(水)夜に、横浜市鶴見区JR矢向駅付近にブタさん2匹が徘徊している姿が目撃され、通報を受けた警察官に保護されました。警察が取り調べを行った結果、53歳女性が里親として引き取ったブタさんを当日、電車に乗せることが出来ず、ブタさんを置き去りにしたことで、動物愛護法違反の疑いで書類送検されることになりました。

参考記事:
テレビ神奈川「「電車に乗せることできず置き去りに」豚2頭遺棄か 53歳女性を書類送検」
神奈川新聞「横浜、電車に乗せて帰れない…道にマイクロ豚2頭遺棄 容疑で女を書類送検」


 TV報道やニュースでは取り上げられなかった詳細について、改めて経緯をご説明いたします。

 ブタさんが保護された翌日2024/8/29(木)に、鶴見警察署からマイクロチップの登録先であるmipigへ入電がありました。マイクロチップデータを調べてみると、2匹のブタさんは、mipig cafe目黒店を2022年1月に卒業した子たちでした。鶴見警察署から、所有者の情報提供に加え、2匹のブタさんの保護の依頼を受けました。警察の方で、愛護センターや動物園に引取りをお願いしたところ、NGだったそうで、今日中になんとかしなければ…ということで、急遽mipigで保護をすることになりました。

 ただ、mipig cafeでは、mipig cafe以外のブタさんとの接触を防疫対策からNGとしているため、mipig cafeで受け入れることが出来ず、役員の皆川個人の自宅で、2匹のブタさんを保護することにしました。しかし、皆川の家には、マイクロブタのピアがいるため、ピアをmipig hotel東京(マイクロブタホテル)に預けるなどの調整を行い、8/29(木)の夜に皆川が鶴見警察署に2匹のブタさんを迎えにいきました。

 今回、mipigでマイクロチップの登録情報をもとに、犯人特定に繋がっているわけですが、犯人特定までの流れも少し複雑で、ブタさんの所有者が4名存在しています。

 mipigでは、ブタさんのお引渡し時には審査を行い、お引渡し後は、マイクロブタさんの飼育総合アプリ「mipig owners」というサポートに2年間の加入が必須となります。mipig ownersは、ブタさんの健康管理はもちろん、飼育放棄を未然に防ぐ役割も担っています。

 mipigで2匹をお迎えされた元オーナーAは、フードの注文も定期的に行っており、適切に飼育されていました。加入必須の2年が過ぎたのち、mipig ownersを退会されました。退会後に、里親に出されたため、mipigでは詳細の理由は分かりません。

 警察の話では、元オーナーAから里親Bに引渡しをされる際、譲渡契約書を用意した上で、里親Bにお引渡しをされたようです。どのような理由で、ブタさんを手放されたのかは分かりませんが、2年以上飼育されていたこと、また譲渡契約書を交わされていることから推測するに、次のご家族が見つかるまで、里親元として最低限の責任を全うされたのかと思います。
 
 しかし、里親Bは2匹のブタさんをお迎えするも、すぐに飼えないということで、自分の部下である里親Cに押しつけました。どこまで、事実が分かりませんが、里親Cの家の前に2匹のブタさんを置いていったそうで、里親Cはペット不可の物件に住んでいたため、急いで里親探しを行っていたようです。

 里親Cは里親サイトにて2匹のブタさんを掲載し、今回の事件で書類送検をされた里親Dに引渡しをすることになります。

 里親Cと里親Dのやり取りの中で、里親Dは1匹だけ引取る意思表示をし、双方合意のもと、横浜市内のJR矢向駅周辺で合流します。しかし、里親Cはブタさんを2匹連れてきており、里親Dに無理やり押し付ける形で、その場を去ってしまったようです。

 里親Dは聞いていた話とは違うし、そもそも電車にブタさんを乗せることが出来ず、ケージを少し開けて脱走できるようにした状態で、その場に置き去りにし、今回の事件が発生しました。

 端的にまとめると、2匹のブタさんは、mipigからブタさんをお迎えしたオーナーAから、里親Bに譲渡され、里親Bから無理やり押し付けられた里親Cは、里親Dに押し付け、警察に保護された後、皆川の元にきました。

マイクロブタのちょもらん(カフェ在籍時の名前)
マイクロブタのジングル(カフェ在籍時の名前)

 これらは、1週間以内に起こっていて、この1週間で6か所を転々としたことになります。調査で、この状況を知った警察の方が、余りにも無責任で、ブタさんが可哀想すぎるということで、事件化に動いてくださいました。

 我々は昨年の9月、宮崎県で、2匹の迷子ブタさんが殺処分をされるという悲しい事件を経験しているため、今回、鶴見警察署の方々が、マイクロチップを調べ、2匹のブタさんの命をなんとか繋ごうとしてくださったことに感謝しています。

 この事件で書類送検をされたのは里親Dの1名で、里親B、里親Cも同罪ではないかと思いますが、現状の動物愛護法では、動物の遺棄に該当するのは里親Dのみとのことで、里親Dのみが書類送検されることになりました。

 現在、mipigには1,650匹以上のブタさんをお引渡しさせていただいていますが、中には、様々なご事情で、里親に出される方もいらっしゃいます。しかし、誰かに無理やり押し付けたりするなどはなく、次のご家族を見つける、というところまで里親元として最低限の責任を持って行われ、今回の件でもmipigオーナーが飼育放棄をしているわけではありません。

 mipigでは、審査を行った上、お引渡しを行っています。審査落ちは全体の8.4%となり、店舗でのお迎え相談は対面で1時間以上、当日のお引渡しは2時間程度、また、mipig ownersの2年間必須加入があるため、無責任な方は極めて少ない状況です。

 お引渡し時には終生飼育を前提にしていますが、お迎え時と状況が変わり、ご自身の生活が危ぶまれてしまうなど、やむを得ない事情が出てくる可能性もあるでしょう。里親に出された人をただただ「無責任だ」と非難しても何も解決されません。一番必要となるのは、「今」直面している問題に対しての解決ではないでしょうか。

 飼育困難であれば、どこに問題があるのか。家庭内でトラブルがあるのか。ブタさんへの躾の問題なのか。手放さず、解決できる方法はないか。

 里親に出される方の多くは、やむを得ない事情のケースが多いですが、原因がブタさんへの躾などの場合は、販売時におけるスタッフの説明の仕方に問題がなかったのか、引渡し後に飼育環境の改善などのアドバイスでブタさんとオーナーさんをより良い関係に導くことが出来なかったのか、など振返りを行っています。

 mipigとしても、スタッフ教育の中で、「with pig」という理念の再確認、スタッフのスキルアップに努めながら、オーナー様の日常生活でのヒアリングをもとに、より良いサービスをご提供し、少しでもブタさんとの生活において、QOLを高められる、そんな未来を迎えられるよう、更なる改善を行ってまいります。

 ブタさんが里親に出されることは、どのような理由であれ、カフェでお世話してきたスタッフ、サポートスタッフも非常に悲しく、また腹立たしく思う気持ちを押さえながら、事業会社の責任として、次なるご家族が見つかるよう、里親のマッチングができるよう、サポートを行っています。

 ただ、登録者の多い里親サイトと比較すると、mipigにご登録いただいている里親希望者の方々は少ないため、マッチング数は多くはありません。
ぜひ、里親の受入れを検討いただける方は、mipig fosterより申込をお願いいたします。なお、里親に際しても審査を行っておりますので、ご了承ください。

 保護されたブタさん2匹は、現在、関東圏内の施設様にて、お世話になっています。現在は先住ブタさんとの慣らし期間中で、春先には3匹が仲良く暮らしていることを願いつつ、今回の事件が風化しないよう、1匹でも多くのブタさんが幸せでいられるよう、尽力してまいります。

 また、SNSに様々なご意見をいただいておりますので、近日中にmipigとしての方針を発表いたします。

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