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配信演劇でのカメラくんについて

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本記事は、3/26-3/28に上演する配信演劇『反復かつ連続』(柴幸男作)公演のマガジン記事でもあります。
公演詳細などについては、こちらからご覧ください。
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雨の滴る3月夜のホームでこのnoteを書いています。
3月といえば卒業シーズンですね。私事ですが、先日学部の卒業認定をいただき(かなり不安だった)、慶應義塾大学政策メディア研究科への進学が確定しました。更に4個下の妹の高校卒業&大学進学も決定したようです。
私は持ち上がり進学なのでいまいち実感がありませんが、気を引き締めて大学院生活を迎えようと思います。

さて、今年度は演劇やらサウンドパフォーマンスやら学内イベントやらで、私にとっては配信の一年でした。そして、企画した演目4作品を「分散型演劇:役者と観客が遠隔地に点在した状態で上演する演劇の表現可能性の追求」と題して、卒業論文にまとめました。

私はメディアアートみたいな研究室(雑)にいるので、演劇史・演劇論や技術論・ポストインターネットみたいな観点から包括的にまとめようと奮闘してました。いわゆるリモート演劇は明らかに技術的に超新規というより、文化的な転回みたいなイメージで、演劇オタク兼技術オタクとして語りたい要素がたくさんありました。でも恥ずかしながら、卒論で初めて研究らしいスタンスを学んだので、全部がふわっとしてしまった。アート系大学生は論文が全てではないと思うけど、自分がした表現が何なのか、自分が何をしたいのか、なぜ自分がやるのかを理解するための思考訓練として論文はいい機会な気がする。だから美大とかでも論文書かされがちなんだと思うが。

ということで、自分の思考訓練として折につけ文章を書いていきたいという”お気持ち”は前々からあるのですが、3月末に1現場から複数のカメラで配信演劇をする機会があるので、リモート演劇とカメラについて、今考えていることを書こうと思います。
これで本当に大学院行くんか?くらいのガバガバ論理力なので、話題提供くらいの優しい目でお願いします。前説が長すぎた。

注釈 : リモート演劇・オンライン演劇とか呼び方が定まってませんが、みんなバラバラな場所にいるっていう意味で「リモート演劇」の呼称を使うことにします。最終的には「分散型演劇」っていう言葉を流行らせたいが、その話はまた別のときに。

演劇と観客

去年4月-6月の緊急事態宣言下、劇団ノーミーツとか劇団テレワークとかを筆頭に、国内外のたくさんの劇団やグループが役者・スタッフ・観客全員がリモートで参加するような演劇のビックウェーブがありました。演劇関係者と愛好者の間では「リモート演劇は演劇といえるのか?」「演劇ってなんだっけ?」という議論が勃発しましたね。自分も大学のミュージカルサークルでリモート演劇を試演した訳ですが、アンケートを見返してみても、肯定的な意見も否定的な意見もあり、興味深かったのを覚えています。

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ミュージカルサークルEM試作公演「(ある・非・日常)の出来事」
アンケートより抜粋

私の今の見解は、「リモート演劇は演劇の最低条件をギリ満たしているギリ演劇」。ギリギリだからこそ、古くから続いてきた演劇を進化させる鍵になるんじゃないかな、と思っています。長距離走で限界をちょっと超えるくらいの速度に挑戦することが持久力アップに繋がるのと同じイメージです。私の体は長距離走より短距離走派だけど。

で、その「演劇の最低条件」って何だろう?世の中には演劇学というのが学問として存在してるので、リモート演劇がどうのこうのいう何十年も前から議論されています。
日本の演劇学者・河竹登志夫さんは1978年に出版した『演劇概論』でこのように定義しています(原文ママ)。

1. 俳優(player, performer, actor&actress)
2. 観客(script, libretto, scenario)
3. 戯曲(spectator, audience)

素舞台演劇とか屋外演劇とかを想定すると、残るものとして何となく理解できる。個人的には、ここに観客が入ってるのはすごい面白いなぁと思っています。表現を理解をする主体として、表現そのものの出来に関わってくる。役者が観客の存在を敏感に察知して、出てくる演技が変わる。

話はちょっとずれますが、「大衆」っていう存在がすごい好きなんですよね。マジ一人一人が尊い。メイカーによるモノづくりに興味を持って関わってきたからだと思う。人生に無駄はなかった。


カメラさんの視野を間借りする

配信で上演するリモート演劇の場合、構成要素として一つにカメラ(とマイク)が加わります。さっきの三項目に入らないから無視していい?わけではないと思うんですよね。具体的には、観客と役者のあり方に大きく作用すると考えています。

ところで、カメラを使ったストーリーテリングって超大御所がいますね。ドラマや映画です。何が違うか議論したいと思いつつ、ドラマと映画がわからなすぎて、卒論でスキップした項目になります。

演劇では観客は自分の意思で好きな視野を見ることができます。登場人物Aと登場人物Bがいたとして、AとB両方に集中して物語を追うのは難しい。自分に引っかかる方の演技を目線で追っていけば、客それぞれで別の物語が立ち上がってくる。

対して、カメラを通した一画面表示だと、視野が固定されます。限られた視野の中では自由ですが、カメラさんの視野を間借りしている感じになります。それになんとなく拒否感があって、マルチビューのリモート演劇が蔓延ったんだろうなあと思っています。少なくとも私はそうでした。

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ミュージカルサークルEM試作公演「マリオネット」


配信演劇「反復かつ連続」を作っています

やっと本題です。
3月末に、卒業するサークルの仲間たちと先輩たちで、配信演劇をします。またかよと言われそうです(新しく始めたバイトで、スタッフの方に「配信ばっかやってない?」って言われた)が、個人的には今回の公演が私が主宰・演出じゃない脚本がプロのやつっていうところで、いつもと違う感じでかなり楽しみです。脚本がマジで好き。ままごとという日本の劇団のものですが、音楽的な構造を一人芝居に持ち込んでいて最高です。

で、私は配信技術と音響を担当します。先日カメラの位置取りをしてきました。

今回は劇場を借りず、お借りした一軒家のお部屋の中を徘徊する一人芝居を制作しています。ウロウロする役者の姿を伝えるために、カメラを4〜5台くらい配置しようと思っています。

実は、まだ画面の表示方式の最終決定をしていません。やってみて決めようってなっています。

具体的には、①カメラ映像をマルチビューにする / ②カメラ映像をスイッチングする のどちらか…

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1月29日のメモ

本家のままごとさんの配信ではマルチビューだったんですよね…

さっき視点の自由度の話をしましたが、我々には「見えない部分が見れる」という特殊能力=想像力があります。リモート演劇とドラマ・映画は緩やかに接続していくのかもしれません。明日の通し練習を経て、演出さんと相談ののち、決定する予定になっています。

その他にも考えることはたくさんあります。音響処理はどうするのか、カメラのスイッチングをするならどのタイミングなのか、カメラの位置は極端に上から・下から(人間が行けないような位置)でもいいのか…
そもそも、一般のおうちなので、技術的にもかなり攻めています。カメラを置こうにも、十分な距離が取れない!視野が広いことで話題のGoProを買いました。GoPro足りてないので貸してください。

技術的な制約や意味を表現に取り込むのが大好物の私です。
どっちが採用されたのか、どんな舞台表現になったのか、それを見てあなたは何を思うのか…3/26-28全6ステージ(一人劇なので3ステージ×2人)、ぜひお楽しみください。

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稽古が進むたび、会議をして作業するたび、ぐんぐん面白くなっているこの配信演劇!なんと無料&予約無し配信!です!!
noteでのご支援、配信当日の投げ銭など、お待ちしております…

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これは現在の配信機材見積り金額だよ!!

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モハ
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