レクタブルについて

こんにちは、今回は新しい注腸であるレクタブルについて少しお話しようと思います。
というのも、私自身レクタブルに関するメーカーの勉強会は出てますし、内容的には面白い話は少ないと思っていました。

使うまでは。

いざ使ってみると、使用感がかなり違います。
さらに言うと、私は足が短いようでレクタブルに記載された方法では、足が上がりすぎます(IBD専門医らは勉強会等で聞いていると思います)。
そんな思いから、今回はレクタブルについて概説しつつ、使用に関する個人的な工夫点を書こうと思います。

1.レクタブルとは

 レクタブル(ブデソニド注腸フォーム)は、ブデソニドというステロイドの注腸であり、分類としてはプレドネマやステロネマと同じ注腸型のステロイド外用剤になります。
 プレドニゾロン等との大きな違いは、ブデソニドは外用に向いたステロイドであり、吸収されても肝臓によって大半が代謝されます。従って、全身性の副作用が出にくいという点が挙げられます。
 ただし、ステロイドですのである程度の副作用は出ます。率は低いですが不眠等の精神症状(1%未満)も確認されておりますので、何かあれば気軽に担当医等に相談するのが良いと思われます。

2.レクタブルの良い点

 レクタブルは注腸型としては初めてのフォーム(泡)です。従って、局所の残存性が高いと言えます。
 ここで注意しなければならないのは
【注腸剤は入れたあとに漏らしたり、出してしまったら効果がない】
 という誤解が広がっていることです。人間の腸管、特に直腸や大腸は入ってきた薬剤を根刮ぎ排泄するほどの機能は無いのです。
 つまり、保持が出来なかったとしても、腸管内に多少の薬液は残存しています。それによって少しずつ症状が改善すると、しぶり腹等の症状も少なくなり、保持時間も長くなる傾向が強いため根気強く使用することが意外と大切になります。
 その点、レクタブルは泡なので、さらに残りやすいです。

3.レクタブル使用の体験談

 ここからは、私のレクタブル使用体験談になります。あくまで個人の感想であり、製品の効果を保証するものではありません。
a. 使用初日
 私は再燃寛解型ではありますが、比較的慢性的に活動期が続く患者です。先日、病勢を落ち着かせるために当日夜よりレクタブルを開始しました(1日2回 14日処方)。
 初日は自宅のお風呂で試しましたが、保持時間は2分程度です。この時に問題となったのが
・挿入時の潤滑剤(配偶者より白色ワセリンを貰い、使用⇒今はローションなどを使用しています)
・挿入時の体勢(トイレ等は身長が低い方の場合、高すぎる。私の身長ではお風呂の椅子がちょうど良い)
 でした。
b. 使用2日目以降
 明らかな有形便を認め、腹痛減弱(VAS 6-7⇒3)。翌日朝の使用では、保持時間30分程度、夜は保持時間6時間以上。
 使用4日目から血餅の付着はあるが、有形便のみ。大蠕動、食後の腹痛はあるが、弱い。腹部の圧痛は少なく、左下腹部にのみ圧痛、防御認める。
 使用7日目から血餅の付着も朝のみ。明らかに臨床的寛解に近づき、治療継続に問題なし。

 ここで問題となるのが、レクタブルは
【垂直を保って、使用する】
 という点です。意外とこれが難しかったのですが
・壁に手を付きながら、かなり前傾姿勢を維持して使用する
 ことで、解決が測れるかと思います。【また、潤滑剤には白色ワセリンが良いかと思いますが、保険上の問題で処方が難しいと思います。薬局にも売っていますので、各位で購入するのが良いと思います。】
⇒2019/5/19 変更 使用するのはローションなど水で洗い流し易いものが良いです。この時、ある程度無菌的なものにしたほうが良いと思われます。
 
 ただ、それでも肛門部を傷つけることが考えられますので、場合に応じて強力ボステリザンが選択肢になるでしょう。肛門部を清潔に保つこと(粘膜のためゴシゴシ洗うというのはダメ)も非常に重要です。
 また、使用回数がギリギリになるとやや泡の勢いが衰えているように感じる部分もあり、今度メーカーに問い合わせます。
⇒2019/5/19 追記 メーカーより、勢いの違いは確かにあるが治療上必要な距離への到達には問題が無いとのこと。14回までは確実に有効であるよう14回以上の液量を入れている

 以上、レクタブルの使用感です。

 非常に奏効率の良いお薬で、私には合っているようです。元々ステロイド依存のため、治療効果は得易いだろうと思っていましたが、ステロネマやプレドネマに比べ保持しやすいという点も優れていると思います。

 ただし、レクタブルもステロイドです。長期漫然とした使用は推奨されないですし、ずっと使い続けるお薬でもありません。必要な時に、しっかり使って、しっかり症状が落ち着いたことを確認したら漸減するのがよろしいと思います。

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