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早渕仁美「場所を探すのは、たくさん歩くよ。(4日目)」
10/11(水)
一週間もあると思っていた滞在は、ここまで来ると一週間では回りきれないという感覚になってくる。それは町の方々が優しくて、私のような旅人を相手にしてくれるからだと思う。町の人に出会う度に立ち止まる時間は本当に尊い。
私は国内の旅に出ると和菓子屋さんを訪ねるようにしている。思わぬ名物に出会えるし、驚くほど地元に根付いたお菓子が作られているからだ。
ということでコインランドリーの待ち時間に念願のお買い物。黒初さん。
(実際に伺ったのは10/10)
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亭主の黒田さんは、暑いねーと気さくに奥から出てきてくれた。お菓子を選ぶ間、いや、それ以上の時間色々話してくれた。黒田さんが東京にいた時の話やお菓子屋さんを継ぐことになった話、餅の作りの違い、温泉地帯の関係性などなど。東京の歌舞伎町でビアガーデンのアルバイトをした時は、ビールジョッキ6杯を一気に持つから重いし、人がいて大変だったらしい。ほぅ、目の前のお菓子職人さんは、あの歌舞伎町の屋上でいたのか、っていう気持ちになる。
さて、私は今日も地図や観光情報には載っていない、稲取に関わった人が持っている「場所」を探したいと思う。海、湾、家、道。場所はいつもそこにある。その人の人生の中であるとき出会った「場所」を探しにいく。
黒田さんは昔、海によく「がにひき」をしに行ったという。いわゆるカニ獲りだ。竹の先に紐をつけて、先端にサバとか魚の切り身を付けてカニを引っ掛ける稲取独特の手法らしい。
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当時は親とか兄弟から知らぬうちに獲り方を教わるらしい。今では組合の規律が厳しくなり、簡単には獲れないそうだ。子供が遊ぶ場所がなくなったんだよーと寂しげに話す。
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がにひきの場所は、現在の池尻海岸のところだそうだ。
行ってみた。
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カニの大きさは両手くらい。今日はいなかったけど、この岩の下に絶対いるはず。当時も、今も、いるはずだ。カニを探しながら、思いを馳せた。
黒田さん、ありがとうございました。
さて、ところ変わって道に大きく出ていた「伊豆のパワースポット」の看板。ほぅ、行かねば。
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こちらのお寺「済広寺」別名「かやの寺」は、お寺でいうのもなんだけど、見所が満載。ご本尊の美しさはもちろんのこと、県指定の天然記念物になっている樹齢750年を超えるかやの大木があったり、地下の暗闇を進むとありがたい参拝ができたり、ビルマの佛鐘があったり、、。
そしてこちら。
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これがほんとに初めての経験。真ん中のオブジェを両手で回して占う。占いの結果、運気は上がり調子でした。ありがとうございます。お経も掌で読ませていただいたし、油断せずに精進します。
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さてさて、こちらはお寺の村松さんと長谷川さん。
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お二人に恒例の質問をしてみた。
やはりお二人の「場所」も海の近く。昔は近所の親と子が寄って、鍋と味噌を抱えて海に行くんだとか。そこで地元の呼び方でナンガラメ(正式名称:ダンベイキサゴ)っていう巻き貝を子供が採って味噌汁にしていたそう。貝の出汁で味噌汁なんて、、しかも海の側で、、もう、うまい。
場所は遊歩道の左の磯って仰っていた。行ってみる。
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今では採るのを禁止されているので、警察が後ろに立ってるかもしれないからってお二人の忠告を思い出し、すぐにもとの場所へ。
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当時とは様子が違っているかもしれないけど、今日はお味噌汁行くよ〜って言われた子供達はワクワクしただろうなーと想像した。歩いて海に行って、貝を採って、自分たちで調理してみんなで食べる。私もやりたい。このワクワクした気持ちを、この場所にもらった。
ワクワクした気持ちを自分に感じて、そこに思いを馳せる。
こちらは偶然会った旅人仲間のあまるさんが取材風景を撮ってくれた一枚。
あまるさんもお寺から感激して出てきてたな。
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お寺でお母さんの長谷川さんとしばらくお話した。長谷川さんは県外から嫁いできたので、この港町にやってきた時の戸惑いとか苦労のお話をしてくれた。さっきまで貝の話をする時の表情とは別の表情で真剣に語る様子は、長い歳月をかけて培われたものだと感じた。でも今ではとても住みやすい場所だとも伝えてくれた。明日も恒例の朝日を見ながらのウォーキングに行くそうだ。
明日、私たち旅人も朝日を見にいく。
個人的には、おばあちゃん食堂の森下さんの「場所」にまつわる。
長谷川さんには会えたらいいね!って言ってもらったので、会えたらいいな。今日はおそらく旅人みんな、早く寝ます。