山田洋平「通過していく場所」龍山町1日目
はじめまして。山田洋平と申します。今回MAWで天竜区龍山町に来ています。自分は舞踊家・企画者・舞台芸術家として活動しています。現在は石川県加賀市山代温泉に住んでいます。(Websiteはこちら)
今まで山間や人口が極小な場所を訪れてきました。
富山県の利賀村
石川県の大土町、滝ケ原、瀬越
兵庫県の神鍋高原
高知県のいの町、などなど・・・
どの土地も少子高齢化・人口減少・若手の不在・産業の衰退など同じような問題を抱えていて、消滅可能性都市などという呼ばれ方もします。
都市運営の効率化を考えるならば、人口の少ない土地の人間は引っ越ししてもらって大きな一つの町を作ればインフラも生活基盤も安定し効率的に都市運営を行う事ができます。しかしそれは人が都市を作るのではなく、都市に人が飼われる事だと考えます。
人が作ってきた都市はそれぞれ固有の色彩があります。上記にあげた土地も抱えている問題は同じでも、土地や人の魅力は異なります。その彩りが豊かさの証であり、美しさです。その集合体としての国や世界も彩りの豊かさが力や意味を人に与えると考えています。
多様性を口では唱えていても、繊細な色彩の変化を効率化という名の下にのっぺりと似たような色で塗りつぶす行為を自分は醜いと思います。一方で、その土地の魅力は何かというとどうも説明がしづらい。その説明のしづらさが効率化の標的になるのでしょう。
自分がこの土地を訪れたのはそんな説明しづらいけれど確実に存在する色彩と対面したいと思ったからです。
今日拾ったこと、もの
▶この土地は文化や芸術、その他諸々が留まるのじゃなくて通過していく場所。川の上の方と下の方にはあるけれど、ここは通過して何も残ってはいない。
▶湖の下に町があった。
▶伐採した木が通る道、木馬があった。
▶よく働いた。たくさん働いた。
▶天竜川の色彩
▶岩山の色
▶山の影
▶昔は砂利道だったアスファルト
▶畑の肥やしを作るためヤギ、牛、馬を飼って、乳をしぼっていた。
▶樵が一週間で稼ぐお金は銀行員の一か月分の給料だった。今は逆転してしまった。
▶伐採すると良い木だけ切ってもっていく。悪い木は残ってどうにもならなくなる。
▶山に霧がかかっていて涙がでるほどに美しかった。
▶森の深い闇
▶人がもう通らない多くの階段
▶子供がいないから新しく家を建てない。
▶旧校舎の外壁の色
▶石でできた校門
▶がけ崩れのあとにできた祠
▶病院の廃墟に蒸す苔
▶野花の種類。形。色。質感。大きさ
▶小川の滝。水流を図る機械。氾濫時の水の量
yohei
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