していいシティ安藤智博「他人を取り入れて反復する(6日目)」
取り入れた情報を咀嚼してまた伝える
DAY6。県外から友達が来た。“旅行がてら”という言い訳をしながら、わざわざ応援に来てくれたのだと思う、嬉しい。せっかくだし、リサーチを進めながら一緒に楽しみながら滞在しよう!…くらいに考えていたが、彼らの顔を見るやいなや、なぜか自分でも驚くほどホッとしてしまった。
嬉しくもあり、気が緩みもした。おそらく自分自身はじめましての連続と、新しい場所に来て地域を取り入れていく過程の情報量の多さに、気づかないうちにだいぶ疲れていたのかもしれない。
わざわざ休みを合わせて来てくれた友達にも、ぜひ富士吉原で素敵な時間を過ごしてほしいと思い、今までの滞在中の話や、まち歩きの中で習ったことなどをまとめて伝えることにした。
商店街の概観について、特殊な建築物のこと、裏の川と河童の歴史のこと、どんな人が活躍しているか、美味しいご飯屋さんについてなどなど…。
この一週間弱で取り入れてきた情報を、まるで自分自身が“知っていたこと”かのように、伝えていく。彼らは興味があるのか、ないのか、でも嫌な顔一つせず、うんうんと話を聞いてくれる。
この一週間は、滝のように新しい情報を浴び続けていたのだろう、そのおかげか他人に対してもほんの少しだけ、自分の言葉でこの周辺の説明をすることができるようになっている気がする。まちをぶらりと一通り歩いた後はいつもお世話になっているマルイチビルに向かった。
体も動かしてお腹が空いてきた頃だったので、美味しいピザを食べに行こうと提案する。このマルイチビルの2階には、今回受け入れホストをして頂くYCCCの運営事務局も務める田村さんがオーナーのとっても美味しいピザ屋さんがあるのだ。
わざわざ車を出して富士吉原まで来てくれたことに感謝しながら、運ばれてきた熱々のピザを頬張る。うまい。追加したディップソースを少しつけると、また味付けの雰囲気がグッと変わる、うますぎる。みんなピザを持つ手が止まらない。
ペロリ、と食べ切ったあとは、少しプロジェクトの紹介なんかもしてみたり、する。コンセプトや試みの意図が伝わるように丁寧に。これまでの背景と、富士でこれまでに行ったことや、実験について共有する。
しっかり理解してくれたようで、一安心。瓶をいくつか手渡して、お気に入りの場所を見つけたらぜひ瓶詰めしてほしいと伝えた。
他人事、そんな瞬間がいつしか自分の体験の一部になる。そして、次の他人に伝達して、新たな形で共犯をしていく。それは、まさに地域滞在を通して活動をする、このマイクロアートワーケーションの仕組みだからこそ成り立つのかもしれない。
実際に行ってみて何かを発見したり、気づいたりすることをどうやって自分の中で咀嚼し、解釈していくのか。そしてどうやって次に還元していくのか。実践あるのみ、滞在あるのみ。
最新情報
滞在中の支援を頂いている吉原中央カルチャーセンター / 富士AIRの情報や取り組みについてはこちらをご覧ください。
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