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西本春佳「それでも私は運が良い(2日目)」
南伊豆町滞在2日目。
今日はジオガイドさんと中木集落を歩く予定だった。ホストの人のご好意で集合場所の石廊崎ジオパークまで車で送ってもらう。
https://minamiizu.fun/detail_015.html
石廊崎に到着すると、お世話になるジオガイドのたまさんが早速出迎えてくれた。挨拶をして、そのままビジターセンターに入る。そこで少し石廊崎の地形の話を伺い、出発の準備をした。
少し驚いたのが、ビジターセンターにいた職員の人やフードコートの調理場で働いていた人たちが皆「いってらっしゃい」と言ってくれて、その暖かさに少し恐縮してしまった。
そんなビビりの私をよそに、ジオガイドは早速始まる。
ガイドの人と一緒じゃないと入ることが出来ない、トトロのような道を抜けて
溶岩でできた海岸へ
ゴツゴツしたむき出しの岩を少しづつ降りながら、海へと近付く。
堆積した層から歴史を読みとる
海運・航海祈願の神様でもある石室神社にも参拝。この神社はタフォニと呼ばれるくぼみの中に作られた神社だ。軽快なたまさんのガイドも楽しく、色々と会話をしながら石廊崎を歩いていく。
石廊崎の地形や溶岩の話も勿論だが、江戸や大阪を繋いだ港の話や植物の話も興味深かった。やはりこの周辺の植物は塩分から実を守るために葉っぱが少し分厚い。
ガイド中にたまさんは何度も「それにしても今日は穏やかな天気ね」と言った。確かに、行く前になんどの風が強いと言われていたが、何故か今日は風がそこまで強く吹いていない。風が穏やかだったからこそ、溶岩の上を歩いて海のギリギリまで行けたことを思うと、本当に運が良いのだと思う。
さらに、石廊崎に向かう道中ではしっかり降っていた雨も、ほとんど止んでいた。私はそこで調子に乗って「私の晴女パワーが発揮されたのかもしれません」とたまさんに行った。
ガイドの行程が終了し、オーシャンパークでたまさんとお話をする。道中に色々会話したこともあり、話は弾む。私はそこで思い切って質問したことがあった。それは南伊豆には歴史があるようでない、と感じていた点だった。すると、たまさんは「そうなのよ、残ってないのよ」と言った。
私は正直、驚いていた。あっさりと「残っていない」と言われるとは思っていなかったからだ。私は関西で育ったこともあり、その土地ごとに歴史があることは当然のような認識があった。だからこそ、歴史があるようで残っていないのではないか?と感じたことを言うことも躊躇っていた。
溶岩や伊豆半島の成り立ちからも考えるに、ここは土地(そもそもの概念)から違うような気がした。どこに行っても最終的には同じなんじゃないか?という仮説があるように、それぞれの土地にそれぞれの違いがあるという仮説もある。
せっかく1週間の滞在期間があるのだから、その辺りを早々に決着する前にゆっくりじんわりと考えていきたいと思う。
たまさんと分かれた後は、今日宿泊予定の宿に向かった。しかし、宿に到着し自分の予約を確認しようと日付けを確認すると、日程を誤っていたことが発覚した。
今までこんなミスを犯したことがないだけに、かなり困惑してしまった。慌てて宿泊先を探しながら、無事に宿泊先を見付けることが出来てホッとした。宿を探す中でも、通りすがりの住民らしき人に「大丈夫?困ってない?」と聞かれたりして、外の人を受け入れてきた歴史は建物や遺跡ではなく、人の中に残っていたのかもしれないと感じた。
無事に宿泊できる宿にも到着し、シャワーを浴びた。すると、シャワールームから戻ってきた時に宿の人から「湯冷めするといけないからね」と言われて暖かいお茶セットを頂く。急に宿泊することになっただけに、宿の人にはとても有難い気持ちでいっぱいだ。
さらに、私はたまさんと一緒にお昼ご飯を食べた際に、たまさんからおにぎりを2つ頂いていたこともあり、バタバタと晩御飯屋さんを探すことなく、宿で落ち着く時間を確保することが出来た。他にも、オーシャンパークの人に貰ったチョコも…と色々出てきて、しみじみと南伊豆の人達の暖かさを感じられる日となった。