見出し画像

西本春佳「植物を愛でたくなった1日(5日目)」

滞在している部屋には多くの本が並んでおり、どれも興味を引く本たちばかりである。昨晩も気付けば深夜過ぎまで色んな本を読み漁ってしまい、今朝の起床時間が遅くなってしまった。

近くのドラックストアに日用品を買いに出る。すると、ピザの移動販売が近くにでやっていた為、お昼ご飯として、ピザをテイクアウトする。

画像1

いつもの感覚ならピザ1人前ほど食べれるのだが、ここではハーフサイズが1人前らしい。そこでマルゲリータのハーフサイズとデザートとしてあんバターのピザを注文する。

画像3

画像4

部屋に戻り、ピザを開けると美味しそうな匂いに食欲がわく。本格的なピザとピザ生地を使用したあんバター。意外とペロッと食べれたな、と感じていたが次第に自分の胃が重くなっていくのが分かった。

元々、ランチは別の場所を予定していた為、どうリスケジュールするか悩んだが、ひとまず予定通り下賀茂熱帯植物園に向かう。

画像5

外観の看板から溢れる雰囲気。期待値はどんどん上昇しながら中へと入る。

画像6

温室の中はしっかりと暖かく、そのままの服装だと暑い。どこに行っても、熱帯植物がひしめき合っている。

館内にほとんど人がいないせいだろうか?植物園というより、人間がいなくなった後に植物が侵食していった世界のように思えて、世紀末のその先のようなものを見せられているように思えた。

画像7

ウツボカズラ

画像8

意外と地植えじゃない植物もいっぱいある

画像9

鉢は小さければ割ってしまう
そうだ!何も間違ってない!!!(笑)

画像10

どこに行ってもカオスな感じに圧倒されていたら、近くに蚊がやって来た。確かに、これだけ植物があって蒸し暑ければ、蚊ぐらいいるだろう。

画像10

この何とも言えない植物たちのパワーに圧倒されてばかりの場所だった。本来なら、もっと綺麗に剪定して、手入れをして…と考える所だが、たぶんそういう人間的考えを手放して、色々乗り越えた先に現在の姿があるのだろう。ここまで来ると、ずっとこのままでいてほしいし、なんなら少しずつ拡大していくぐらいが面白いのかもしれない。

画像11


下賀茂熱帯植物園を出た後はCafe531に向かう。実は昨日もこの場所をイッテツさんと訪れたのだが、何となくカフェのオーナーさんが好きで、営業日は通おうと思っていた。

画像12

おやつの時間らしくハニーラテを注文する。せっかくの過ごしやすい天気なので、テイクアウトしてボーっとベンチに座りながらコーヒーを飲む。

何となく、これまでの南伊豆の滞在のことや滋賀に帰ってからのことなど、色々考えていた。すると、前を通りがかった犬の散歩中のおばちゃんが私に声を掛けた。ごく自然に「こんにちはー」と挨拶をし、「丁度いい天気やから気持ちいね」なんて話をする。

滋賀でも琵琶湖を見ながらボーっとすることはあるが、このように通りすがりの人に話しかけられたことは一度もなかった。やっぱり、南伊豆の人は親しく接してくれる人が多い印象だ。

その後は、道の駅やコンビニにより、最後にスーパーで買い物をした。そこのスーパーで私は電子決済を選んだ。たまたまお会計を担当した人がその決済方法を知らなかったようで、よく知ってそうな店員を呼んで来て、半ばデモンストレーションのようなお会計になった。

会計後に「ちょっと時間が掛かっちゃって、すみませんね」とレジを担当した人が私に声を掛けてきた。しかし、こればかりは慣れの問題だと私は思っていたので「とんでもない!私でよければ何度でもやりますよ!」と言った。すると、店員さんは一呼吸おいて「やって」と私の腕をつかんできた。その状況が少し面白かったのか、店員さんと私で笑いあう。
地元の常連さんでもないのに、こうやって親しく店員さんと話したり笑い合えるのは、中々ない。これが南伊豆の魅力なのかもなぁ、なんて感じながら宿の帰り道を歩く。

夕方はイッテツさん&清水さんおすすめのポリネシヤ風呂に行く。同じく南伊豆に滞在している清水さんからも昨晩、そのお風呂の良さを聞いており、ワクワクしながらお風呂へと向かう。

温室の中に作られた熱帯植物を見ながらお湯に浸かることのできる場所で、中々見ない光景に感動する。さらに、夕方に入浴していた為、日が暮れていく中で暖色系の光に照らされる植物を堪能することが出来た。温かな光に包まれた植物は、実際の熱帯植物よりも熱帯らしく感じ、ここでしか見られないような光景に思えてゾクゾクした。もしかして、ここがユートピアなんじゃないか?そんな風に思えたほど、すごい温泉だった。

画像13

南伊豆を散歩していると、ワサワサと生えた(花も雑草も全部含めた)植物たちを見る。人が見れば鬱蒼としていると思うし、別の人が見れば植物が自由に生きていると思うかもしれない。私は正直どっちでもない感覚なのだが、少なくとも人間の手が入りすぎていない様子に好感を覚える。

トップダウン的ではない、下から湧き上がる形での行為が植物だけでなく、南伊豆のお店や人達から感じる事も多いよな、と思った夕暮れ。また昨日と同じパン屋さんを訪れてしまった。