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安里槙「御殿場ふりかえり(滞在まとめ)」


はっきり言ってしまいましょう。


今回、静岡県内各所で開催されているMAWのなかで、我々のMAW御殿場は抜群に充実していたのではないでしょうか。


二年連続で受け入れホストに選ばれた富士山文化ハウスの皆さんのもと、前回(MAW2021)御殿場に滞在したアーティストが、今回の歓迎会・送別会で全員集合し(全員ですよ)、MAW2021とMAW2022が合体してしまったのです。


何てことでしょう。現場では各所で懐かしの人びととの再会が繰り広げられており、ここにしかない感動的な風景が立ち上がっていました。この事実を紹介することからMAW御殿場のまとめを始めたいと思います。最初にオチを書いてしまったので、最後まで失速せずに書き切れるか、若干心配です。


MAW2021 + MAW2022 誕生
みなさん大集合 夢のような時間でした


旅人側から見た本プログラム(マイクロアートワーケーション)の特徴や、御殿場エリア・ホスト・宿泊先の特徴などについては、同じ旅人のさくらいさん美音子さんがすでにまとめに書いてくださっているので、どうぞそちらをご覧ください。自分のほうで付け足して書くことがないぐらい詳細に、その特徴や良さを説明してくださっています。


私からみた今回の旅の特徴を挙げるとすると、だいたい以下にまとめられるかと思います。

① ホストメンバー(富士山文化ハウス)の皆さんとそこから広がる人のつながり

② 滞在宿(マンテンゲストハウス)の緩やかな雰囲気

③ 旅人(異なる分野)の組み合わせの妙

④ 旅人になってみたい方へ、も余力があれば書いてみたいと思います。



気を引き締めて、がんばってまとめに入ります。






① ホストメンバーの皆さんとそこから広がる人のつながり

とにかくまずはここがすごかったです。ホストメンバーの方々はそれぞれオンラインメディア編集長 (森岡さん)、ゲストハウスオーナー(勝呂さん)、建築設計事務所の代表(森谷さん)、文化複合施設のオーナー(森谷さん)、写真家(鈴木さん)、アーティスト(ちばえんさん)、デザイナー(mayaさん)と多方面から集まって成り立っており、それぞれの専門性が異なるので、その各々の知人となるとさらに広がりがありました。これは他の地域のMAWにはない魅力の一つではないかと思います。スーパーヒーローの集まりのようで、映画のアベンジャーズを思い出しました。今後はエキスパートのみなさまに、個人的なお仕事のご相談などもさせていただけたらと思っています。


富士山文化ハウスのみなさま
左から順に勝呂さん、森岡さん、mayaさん、森谷さん夫妻、鈴木さん、ちばえんさん、パグのさんちゃん
右端奥の方にはジュンペイサンとリュウチャンの姿も






② マンテンゲストハウスの緩やかな雰囲気

滞在先ではホストメンバー、御殿場の方々、旅人同士で日々緩やかな交流があり、時には元映画館の宿の設備を活かし大スクリーンで映画を見たり、時には宿を飛び出し夜の空き地で焚き火を囲んだり、御殿場市の一大イベントのアートクラフトフェアにも訪れ、疲れたら温泉サウナで体を整えたりと、スケジュールを固め過ぎずにマイペースで自身の旅を満喫することができました。マイペースでいることは、知らない土地を訪れる際には結構重要な気がしています。つい頑張り過ぎてしまったり、力んでしまったりと、何かと肩に力が入りがちなこともありますが、滞在先の緩やかな雰囲気のおかげで、2日目ぐらいから肩の力が緩んでいったのを覚えています。そこから旅がしやすくなりました。富士山文化ハウスの皆さんは二度目のホスト参加だったということもあり、一度目の経験からその辺りもうまく調整してくださっていたようでした。気が緩み過ぎたせいで、中盤以降はnoteの内容も緩み切ってしまっていたのではないかということだけが気がかりです。お世話になった方々へ、失礼があったようでしたら、重ね重ねお詫び申し上げます。


美音子さん 朝ごはんにさんちゃんのカリカリを食す の図       奥にはアベンジャーズのお三方


われらのマンテンゲストハウス  部屋の中には  当時の映画館の名残もちらほら 


入口ではヨーダとアキラがお出迎え  旅人諸君よ フォースと共にあらんことを






③ 旅人(異なる分野)の組み合わせの妙

自分の旅と同時期に繰り広げられていた二人の旅から、御殿場への興味も広がっていきました。旅人滞在の美音子さんから建築が良かったと聞き訪れてみた旧岸邸の建築様式に圧倒されたり、同じく旅人滞在のさくらいさんから聞いた鶏卵店を訪れてみると、お店のおかあさんから独自の美意識に基づく素敵な話が聞けたりと、旅人同士の情報交換から旅の経験にも広がりが生まれていました。滞在中、前回のMAW(別の地域)に参加した知人作家が御殿場を訪問してくれた際に伺ったのですが、エリアによっては旅人が同じ場所に宿泊するとは限らないため、旅人同士の交流の機会もだいぶ異なるようでした。滞在先がゲストハウスかそうでないかの違いだけで、旅の経験の質にも大きな違いが出るようです。また、今回同時滞在した3名はそれぞれ専門分野も異なることから、同じ場所にいても興味の方向性が違うことも興味深かったです。旅人の美音子さんを通して、世の中には「マンホールカード集め」なるものがあることを知りました。これからは足元を見つめて歩く楽しさがまたひとつ増えそうです。さくらいさんは市役所を訪れ、各課をハシゴしていたそう。飲み屋やショッピングのハシゴは聞いたことありますが、旅先で市役所内を好んでハシゴする人には初めて出会いました。やはり特異な感性の持ち主です。

余談ですが、文章を生業にしていない私にとって、言葉を常日頃から専門的に扱う旅人お二人のnoteの存在は脅威でした。確実にお二人の書く文章に引っ張られてしまう自覚があったため、滞在中は他者のnoteは読まないというルールを課していました。旅が終わってからお二人の日記を読破したのですが、旅が二回楽しめた感覚になりました。やはり先に読まなくてよかった。言葉を専門とする美音子さんのnoteは圧巻の文章量で、私は一文字も書けなくなっていたことでしょう。


毎晩ここで戦っていました  日々のnote更新    あなどるなかれ






④ 旅人になってみたい方へ

日々のnote更新、あなどるなかれ。旅先ということもあり、私はだいたい毎晩誰かとお酒を飲み交わしました。交流を深め、いい気分になり、えんもたけなわ、普段ならさあ寝るか、となるところからが勝負の時間です。睡魔が勝つか、書き上げないといけない義務感が勝つか。私たちの滞在宿では毎晩午前0時を過ぎた頃から死闘が繰り広げられていました。万が一書けなかった場合の作家報酬の全額没収が頭をよぎります。トイレ休憩を挟んだりした所で、noteノルマと戦う同志のさくらいさんとばったり再会なんてことがあった時には、戦友に出会った気分になります。深夜のテンションは恐ろしいものです。思ってる以上に時間がかかりますので、覚悟して旅を楽しんでください。


※美音子さんは効率よくさくっと済ませてたそうなので、各々の処理能力の差によるのかもしれません、あしからず

酒は   飲んでも  飲まれるな


こんな素敵なパーティーの後にもnote


こんなcozyな酒場の後にもnote


こんな最高な夜にもnote     旅人希望者よ     覚悟はできているか









⑤ 最後に


だいぶ旅の内容もまとまりました。いい感じに整ってきた頃ではないでしょうか。


そろそろ日々の日記に書ききれていなかったこと、例えば温泉に行った日に、露天風呂で偶然「UFOを語る会」という集いと一緒になり、数名がUFOに出会うこつを聞けちゃった話など紹介したいところですが、まとめに取りかかります。コンプライアンスがちらつきます。



もしもし  お巡りさん  宇宙人  です   御殿場に  いました


飲んじゃったので   UFOに送ってもらおうかーなんて日が  いつの日か  くるのかもしれません
素敵です




今回の旅でお世話になった方々、勝呂さん、森岡さん、mayaさん、森谷さん夫妻、鈴木さん、リュウチャンとジュンペイサン、たくさんお話させていただいたfrolicのかつまたさん、激うまのスパイスカレーを作ってくださったかつまたさん、ゴテンバアパートメントで出会えた伊藤さん、アークラ大サーカスでお会いできた方々、初日の歓迎会で来てくださっていた方々、終盤の送別会で来てくださった方々、アーツカウンシルしずおかの若菜さん、清水区から遊びに来てくれた堀さん、MAW2021御殿場メンバーのAkiさん、澤田さん、鮫島さん、Eliさん、金物屋のおかあさん、鶏卵店のおかあさん、パグのさんちゃん、富士山、御殿場市内の街中で出会えたものごと全てにありがとうございました。



以前読んだ評で、どなたが書いたものか忘れてしまいましたが、今のミュージシャンは合わせようとして個性を殺し、一つの方向に向け音をだすが、素晴らしいバンドは無理に合わせようとはしない、例えばビートルズは、ばらばらな個性が違う方向に向かって音を鳴らすが、ビートルズにしかない個性が立ち上がる、というような記事を目にしたことがあります。今回のホストの富士山文化ハウスのメンバーのみなさんを思うとき、そのことを思い出しました。感謝してもしきれません。また遊びに行きますので、食べ飲み歩きしましょう。


静岡県内各所で、アーツカウンシルのこのプログラムをきっかけとして、旅人というかたちで様々な方々が土地を訪れ、その場を緩やかに解きほぐし、そこにしかない魅力や新しい可能性を発掘しているであろうことを想像すると、このプログラムの持つポテンシャルと影響力の大きささはまだまだ未知数だと感じます。アーツカウンシルしずおかの皆さま、今後も本プログラムを継続してくださることを願います。アーティストの立場からすると、今までに経験したことのない、自由で寛容で、アーティストに対する愛を感じる素晴らしいプログラムでした。今回は貴重な機会をいただきありがとうございました。(2022.11/17,  20:01)