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豊永純子「さよならカンバラヤン(7日目)」

3月7日、旅の最終日。
まだ薄暗い時刻に宿を飛び出しました。

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オレンジ色の東の空。

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お地蔵さんも朝日色に頬を染めます。

この7日間、ホストをはじめ蒲原の皆さまから本当に良くしていただき、濃密で上質な日々を過ごさせてもらいました。
ただ、一点だけ心のこりがありました。それは・・・

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富士山をちゃんと見ていない!!!

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最終日の早朝に、すっかり慣れたさくら吊り橋を駆け足で渡り・・

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朝日の木漏れ陽でまだら模様になった山々を横目に・・・

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御殿山をどんどん上に進み・・・
ついに!!

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ご対面いたしました!

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富士山!!

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紛れもなく本物の富士山です!朝日を受けて堂々とたたずむ巨大な富士山、圧巻ですね。

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しばらく狼煙場のベンチに腰かけて、水筒に入れてきたホットコーヒーを飲みながら富士山を眺めました。
ここまではっきりお姿を拝めると思っていなかったので、非常に興奮しました。

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飛行機雲はまっすぐ伸びて、どこへ向かうのでしょうか。

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↑こちらは2日前に訪れたときの、御殿山広場すべり台からの写真。遠くが霞んでぼんやりしています。

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↑こちらは本日。海岸線がはっきりと見えます。
富士山を拝み、蒲原のまちなみを見渡して、朝日の色の変化を堪能しました。

今日、富士山と同じくらい楽しみにしていたものがあります。

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「木」です!また会いにきたよ〜。

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先日この木にただならぬものを感じ、滞在中にもう一度でも触れに行きたいと考えていました。

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この入り組んだ独創的な根っこと、想像を絶する枝葉の広がりが見所です。
この御殿山をいわゆる観光地として打ち出すとしたら、「聖木・樹齢〇〇年の木」とか名前をつけて、看板を作り、インスタ映えするように周辺を整えることでしょう。
こんなに素晴らしい木が野放しになっているのも、のんびりした蒲原ならではなのかもしれません。

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しばらくこの木と触れ合い、撮影などをして遊びました。

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岩を包み込むように根っこが隆起しているため、椅子になるのでは?と思いつき・・

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座ってみたら、すっぽりと体がはまり良い感じ!風が出てきて寒くなってきたのですが、ここに座ると温かい。まるで木に包み込まれて守られているかのような安心感。

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その後はいろんなアングルで撮影会をしました(笑)
シャッターを切る人がいないので、10秒のタイマー機能を使って撮りました。なので根っこに足をかけている途中で連写がはじまってしまったり、スマホが傾いてレンズがあらぬ方向を向いてしまったり・・失敗の度にくすくす笑いながら撮影していました。

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気づけば木のところに来てから1時間経っていたので、おそらく木に包まれて目を閉じている間に眠っていたんだと思います・・・

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名残惜しいのですが、また来ることを告げて木の元を離れました。さくら吊り橋を渡った先にありますので、気になる方はぜひ御殿山へ行って、木のパワーを感じてみてください。

7日間みっちり面倒を見てくださった木下さんご夫妻、そして稲葉さんへ感謝の意を伝えに行きました。山本さんと合流して、えまるじょんの米倉さんにもご挨拶に行きました。

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真奈美さんが、チーズ入りの大きなパンを持たせてくれました!埼玉に帰宅後、すぐに焼いていただきましたが、チーズがたっぷり入っていてとても美味しかったです。

今回旅人としてご一緒させていただいた山本晶大さんは、普段インスタレーションや古民家の改修、ライターのお仕事など幅広く活躍されています。圧倒的な知識量に何度も驚かされましたが、実は同い年であることが途中で発覚し度肝を抜かれました。感覚派の豊永に対して、理論派の山本さん。物事に対するアプローチの仕方が、これでもかというくらい違います。初めましての状態で、7日間それぞれの視点で蒲原に触れてきました。蒲原在住の方へのインタビューが大半で、宿も別々だった為、いま思えば旅人同士がゆっくり会話したり意見交換をする時間が取れませんでした。しかし今後も継続して蒲原とご縁を繋がせていただき、この蒲原の地で再会できることを心待ちにしております。

旅は出会いと別れの連続。お世話になった方々とお別れをして、旅人は次なる目的地へ向かいます。大澤さんの「燕之宿」に込められた想いと同じく、再びこの蒲原へ舞い戻って来られるよう、終わらない旅を続けたいと思います!

さて、ここから先は少し番外編ですが、引き続き蒲原の魅力をお伝えできればと思います。燕之宿に、こんな気になるチラシが貼られていました。

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蒲原イオンハウス・・・酵素イオン温浴。はて?

ちょっとよく分かりませんが、お風呂であることは間違いない!調べてみると、土の中に埋まって顔だけ出すものだそうで、なんだか楽しそうだしレビューがそろいもそろって高評価なので、「酵素風呂」行ってみよう!

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こちらイオンハウスの外観。中に入ると、元気なお姉さんが迎えてくれました。料金は2,300円。初利用なのでバスタオルと入浴着が無料です。髪の毛と耳を覆うシャワーキャップのようなものも受け取ります。そして小さなショットグラスに入った黄色い液体が差し出されます。
何だろうこれ...という顔をしていたら、お姉さんが「酵素です。飲んでから入浴してください。」と優しく教えてくれました。言われた通りにクイっとやると、少し不思議な味。

違うお姉さんに連れられて脱衣所へ。どのような装備で浴室へ進めばよいか笑顔で解説してくれました。この時点でわたしは気づいていました!ここまでお姉さん3名が対応してくださったのですが、全員、お肌がキレイ!さらにノーメイクっぽくていつでも爽やかな笑顔!どんな秘密があるのでしょうか?先へ進みます。

脱衣室と浴室の間にシャワー室があります。いざ浴室へ!と勇んで歩いていくと、東南アジア系の初老のご婦人がシャワーを浴びようとしていてびっくり。と思いきや、全身に焦げ茶色の粉をまとったおばあちゃんでした。シャワーでその粉を流し落としています。私もああなるのか・・と覚悟を決めて、浴室の扉を開けました。

モヤに包まれた広い空間、独特な匂い、湿った暑さ。そしてスコップを持った女性や男性の姿。茶色の粉から顔や上半身を出している人が7・8人くらい並んでいます。
スコップ片手のおばちゃんが「いらっしゃいませ!」。その奥で、おじちゃんがせっせと掘りながら「こちらへどうぞー!」と元気に声をかけてくれました。
遺跡発掘現場のようであり、もののけ姫に登場するたたら場や炭鉱場のような雰囲気もある。おじちゃんが掘ってくれた長細い墓穴に身体を横たえると、ふわっとあたたかいものに包まれて、瞬時に「これは極楽だ!」と悟りました。

そこからはもう、安らぎ…。
おじちゃんがあたたかい茶色の粉を体の上にたっぷりかけたり、首の後ろに盛ってくれたりして、私はベットに横たわるよりラクな体勢に。あっという間に顔以外が粉に包まれ、適度な温もりで全身から汗が吹き出します。
ウトウトしていたら、途中でおばちゃんがよく冷えた濡れタオルを額や目もとに置いてくれました。それがまた気持ち良くて!蒲原をよく見て、よく歩いた7日間の疲労が、一気に染み出して溶けていくのが分りました。スコップを手にした方々からは汗が滝のように流れ出ていて、大変なお仕事だなぁと思いました。

30分ほど埋まった後にシャワー室で粉を洗い流し、服を着替えて髪を乾かすと・・マッサージに行った後のように全身が軽くなっていることに気付きました。汗は案外早く引いたのですが、体の中心から適度なあたたかさを感じ続けました。

最初の受付で、マイクロ・アート・ワーケーションという企画で蒲原に滞在していて、今日が最終日であることを伝えていました。その時「蒲原在住だけどそういうことが行われてるの全然知らなかったー!」と驚いてくれたお姉さんと、帰り際に少しお話させていただきました。

まずは、こちらをご覧ください↓

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お姉さんの両掌です!!!
茶色い粉の正体は、ヒノキのオガ屑と、酵素原液、米ヌカでした。毎日スコップでこれらの材料を混ぜたり、お客さんの体へかけるため、マメがたくさん出来ていました。特に、手の平の真ん中のマメは特大サイズ。触らせてもらいましたが、もはや皮膚じゃないというくらいに、カッチカチです。
しかし、掌以外の皮膚はおそろしいほど白くてキレイ。お顔は、3歳児の肌よりきめ細かく、透明感があって艶々と光っていました。みなさん化粧っ気がないのもうなずけます。あれだけ発汗したら3分で化粧も落ちますし、何よりそんなもの必要ないくらい美肌なのです。もちろん酵素の力。おがくずと米ぬかの茶色い床(とこ)の中で、酵素(微生物)が空気と水、そして人間の老廃物を食べながら生きています!受付でいただいた酵素ドリンクも腸内環境を正常化するために一役かってるそうで。客層は持病を抱えたご高齢の方が多いように思いました。(脱衣所でおばちゃんたちの会話が聞こえてきました。)

手を見せてくれたお姉さんは、3・4年前に蒲原へUターンされました。実はこちらの「蒲原酵素イオンハウス」は家族経営で、そこの娘さんなのでゆくゆくはお姉さんが継がれるそうです。蒲原に高校がないためそのタイミングでこの地から離れ、農大に進学され、東京暮らしをしていたお姉さん。蒲原が大好きだそうです。その理由は、
「おいしい水・空気・食べ物!」
しかし若者が働ける場所がなく、蒲原が好きでも高校へ行ったきり戻って来られない人が多いのだそうです。
イオンハウスのお姉さんは、蒲原愛にあふれ、蒲原のことを考えていこうとする蒲原になくてはならない若者です。そんな素晴らしい「蒲原人=カンバラヤン」同士が、世代や立場を越えてもっと繋がっていけたら蒲原無敵ですね!
「蒲原酵素イオンハウス」の最近リニューアルされたホームページはこちら
浴室で写真を撮れなかったので、サイトを見ていただけると店内の様子がよくわかると思います。お店の歴史も興味深い。
お忙しいのに、いろいろと教えてくださったお姉さん、ありがとうございます!

希望の光、若い「カンバラヤン」は他にもいらっしゃいます!
「燕之宿」のオーナー大澤康正さんの奥さまは、「駄菓子ツバメ」という昔懐かし駄菓子屋さんを営んでおられます。宿のチェックアウト後に、駄菓子屋さんを訪問させていただきました。3人の幼いお子様がいらっしゃる。昨日の報告会をzoomでご覧になられたとのことで、有難いご感想をいただきました。

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むぎちゃんが、可愛らしい声で「ばいばい」と言って、いつまでもいつまでも手を振って送り出してくれました。
眠い目をこすりながら、今夜はお父さんが帰ってくるまで起きて待つんだと教えてくれました。むぎちゃん、寝ずにお父さんの帰りを待っていられたかな?今度は一緒に遊ぼうね。
奥さまともまたゆっくりお話したいので、次回蒲原に来た時に大澤家のみなさま、また会ってください!!

ラストカンバラヤンは、まさかのインド&ネパール!
カレー屋さんの「ナマステ・カンバラ」でランチをいただきました。

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店主の方が気さくで、「どこから来たの?」「何しに来たの?」といろいろ質問してくれます。
酵素風呂で全身がほぐれ、スパイスの効いた美味しいカレーで満腹になったので駅の方面へ向かおうとしていたら、
「駅は新蒲原?送っていきましょうか?」
重い荷物を気遣い、車で駅まで送ってくれました!親切すぎる・・・!
車内で、なぜ蒲原でお店を開いたのか聞くと「なんででしょうね〜。蒲原はちょっとさみしいけど、小さな店だからね」という返答。
車で送ってくださった方がおそらく店長さんだと思うのですが、お店は全部で3店舗展開されているそうです。蒲原がもっと元気になって、「ナマステ・カンバラ」の店長さんも従業員の方々も、さらに自由に楽しく蒲原で過ごせるようになればいいなぁと思いました。
蒲原に来た時に立ち寄りたいお店が、また一つ増えました!

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最後の最後まで、「カンバラヤン」のひとの良さに触れることができました。しかも最終日は主に若い世代、これから蒲原を背負っていく方々のお話が聴けたので嬉しかったです。
後日また「まとめ」記事を書いて投稿いたします。蒲原ありがとう!!蒲原大好き!!!

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