内田涼「もくろみ」(4日目)
昨晩から今朝にかけての私はとても計画的だった。
ほぼ皆既月食みたいな部分月食が着々と進む中、EAST DOCKで本当の(!)ワーケーションをしていたMさん御一行の夕食会に誘って頂いたのだけど、どうしても明日の朝早起きをして日の出鑑賞をしたかったので「ちょっと今日のところは帰ります!」と言うことにした。薄情なやつと思われるかなと少々躊躇ったのだけど、ワーク&バケーションを本気でやっている彼らならきっとわかってくれるだろう、それにMさんはなんと偶然にも、わたしの友人のアーティストと”マブダチ”であるらしい。その共通の友人はめちゃくちゃイイやつなので、Mさんもめちゃくちゃイイやつということになり、この考え方でいくとわたしもめちゃくちゃイイやつという結論になると思うので、遠慮なくお先に失礼したのだった。
20時頃には宿に戻って、すぐにシャワーを浴びて、すぐに寝た。わたしは朝が苦手なのでこの選択肢しか思いつかなかった。念の為3時と4時と5時と6時にアラームをかけて、無事4時に起きることができた。それから昨日の分の旅人日誌をちょっと進めて、二度寝防止のためのみかんを食べ、時が来るのを待った。
5時40分頃には宿を出たのだけど、未だ土地勘が掴めておらず、すぐ近くにあるはずの海岸になかなか着かなくて焦った。ちょっとヒヤヒヤしたが、なんとか間に合って、お陰様で海からの日の出を見ることができました
海沿いの旅館の観光客もベランダから何人か朝日を眺めていて、なんだか同志に思えた。朝日を見ながらカップラーメンが食べられたら最高だなと思ったけど、きっと伊豆半島のどこかでは一人ぐらい今この瞬間に食べているだろうと想像する。なかなかロマンチックだ。朝方色の採取もできたのでほんとうに良かった。
今日から滞在先を「糀屋旅館」に移動する。1泊だけだが、女将さんが大変親切なのでとても楽しみ。荷物を旅館に預けて、稲取駅へ。
駅の隣のギフトショップ「ガイド」でお買い物をしてから(雑貨コーナーがすごくかわいい)大学時代の友人と合流した。
彼女もアーティストで、今は神奈川県に住んでいる。稲取に行ってみたいということで1時間半くらいかけて遊びに来てくれた。
「旅人」を開始してから、アーティストの友人からポツポツ連絡が入るようになった。ちょうどさっきも今週から御殿場のマンテンゲストハウスで旅人役をするAki Iwayaから、御殿場のおすすめ情報を催促するメッセージが届く。Akiさんは焚き火や上映会を企画しているらしい。自分のワーケーションが終わったら遊びに行くねと返信をした。
お昼はこの日行われている回遊企画「キンメナーレ2021」の会場の一つであるダイロクキッチンで、アーツカウンシルしずおかの立石さんを交えた昼食会をした。
ミセスこらってぃさん提供のカレーとドライフルーツのドリンク、とても美味しかった。私はなぜか毎日カレーを食べている。
町役場の方々にもご挨拶することができ、旅人日誌のnote読んでますと言っていただいてとても嬉しかった。一瞬でお友達になれそうなラフな方々で、とても驚いた。
立石さんには「日誌はプレッシャーになっていませんか...?」と心配されたが、今のところ私にとっては良いコミュニケーションツールになっているので大丈夫です。表現形式は自由なので本当はこんなにたくさん文章を書かなくても良いのだが、せっかくおもしろいことや変な人たちを日々紹介してもらっているし、書きのこそうと思っていると自然と能動的に動くことができるのでありがたい。周りの人たちが多少読んでくれているみたいだし、口下手な私にとっては便利なツールだ。
とは言え今日のキンメナーレは、お客さんのような気持ちで完全に受け身の体制で臨んでしまったので、あまり上手に書けそうにない。印象的だったのは、このイベントの運営を担っている静岡大学のYくん(ダイロクキッチンで受付をしていた)と、別会場である八幡神社の駄菓子屋さんで店番をしていた小学生たちが、同じくらいイキイキしていたことだ。自分に与えられた役割をとても楽しんでいる様子が伺えてちょっと涙腺が緩んだ。あんなに無邪気な充実感が滲み出てしまっている人にはそう簡単にお目にかかれるものではないが、この町にはそういう雰囲気で何かに取り組んだり企んでいる人が多く出入りしているかもしれない。
あっという間に日が暮れてしまい、全部回ることはできなかったが、友人にも少しは稲取の魅力が伝わったようなので良かった。友人は、なんだか海外に来たみたいだとか、町の人々の柔らかな雰囲気が朝ドラを彷彿させるというようなことを言っていた。わたしは朝ドラは一つもみたことがないのでわからないが、彼女の洞察力はとても鋭いので、きっとそうなんだと思う。
夜は糀屋旅館の熱めの温泉(3日ぶりの湯舟はとても嬉しい!)を堪能して、すぐに就寝した。