綿貫大介「私は、元気な顔で帰っていく人を見るのが好きだよ」(滞在まとめ)
国語の授業ではよく文章を要約することを求められる。人に何かを伝えるためには[思考の整理力]が大事で、その力を養わなくてはいけないから。
でも、僕はまとめが不得意だ。まだ言語化したくないものがたくさんあるのになぁ。言葉にしたら増える気持ちと、言葉にしたら減る気持ち、両方あるから困る。まだ決してまとまっていないのだけど、最後に「まとめ」を書かなくてはいけない。だから、まとめではなくただ伝えたいことを書きたい。
まず、1日目の日報に奥駿河エリアを選んだ理由を書いたのだけど、結果として奥駿河を選んで大正解だった。たぶんどこを選んでもそう思えていたと思うけど、実際に自分の意志で選んだのだからからこそ、正解はより正解に近づく。選んでよかった、とかではない。選んで正しかった。
こんなにも身に余る贅沢な日々を過ごしてしまっていいんだろうかということが山ほど起きたのに、そのすべてを書き留めておけないままに、そのすべてが通り過ぎて、そのすべてが手に届かない過去になった。時間はまったなしで残酷だ。だからこそいい。
そして、ホストとして受け入れてくれたOKUSURUGABOARDの齋さん、増田さん、旅人として同じタイミングで滞在できた鈴木雄大さん。このチームで1週間たくさんのことを共有できたことがなにより嬉しかった。この日々を振り返って誰かに伝えるべきことは、すべてはそれに尽きる。なんせ我々は運命共同体なのだから(滞在6日目、ファミレスの注釈を参照してください)。
思い出って一人で背負うには重すぎるでしょう。出会うことのなかった人たちがこうやって集まって、どんどん親しくなって、そしていつの間にか同じ記憶を持っている仲間になるなんて。なんてすごいことだろう。これで誰かが何か忘れても大丈夫。思い出させてあげられる。
これからそれぞれが住む地域でなにかニュースがあれば、まっさきに顔が浮かんでしまうだろうし、どうかそのニュースは明るいニュースであってほしい。これからも「心配」という言葉を使わずにコミュニケーションをとり合えたら、とても素敵なことだと思う。だって1週間、みんなの笑顔の記憶だけしかないんだから。
なにもなくてもみかんの季節には毎年、思い出すんだろう。みかんを買うときはできるかぎり西浦のみかんを選びたい。「みかんは水筒がわり」というパンチラインはしっかり胸に刻んだ。
最後に、僕は「何者」か、ということなんだけど。自己紹介もいっさいなく、毎日noteを更新していたな、そういえば。今回のマイクロアートワーケーションは、ホスト/旅人という間柄に分かれていたように、ここではやっぱり「旅人」ということだけでいいんじゃないかな、と思う。職業とか肩書を言ったところで、何者かという問いの答えになるとは思えないから。ただ奥駿河を選んでやってきて、奥駿河のことを好きになった人。それで十分だと思う。気になったら好きに検索してくれればいい時代なんだし。
東京に帰ってきて数日が過ぎた。喫茶店にて、うしろの席に目をやると『バズる動画・ライブ配信 確実に拡散するしくみ インフルエンサーマーケティングの基本がわかる本』という本(タイトルやばすぎ!要約の概念のない題名じゃん)を熱心に読んでる人がいる。
潮の香りとはほど遠いところに帰って来たもんだ。ただいま、東京。僕は元気です。
ー私的注釈ー
注釈なし。日が沈む伊豆での日々の注、お付き合いいただきありがとうございました。