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北野藍子  「 いち 」 (1日目)

到着初日、奈良から静岡の小山町へ
肌寒さを感じて違う場所にきたことを知る
空気を吸う
呼吸がちがう
空が違う
あの向こうに富士山が見えるんだよ、と
雲の奥を意識する
水を飲む
味がちがう
五感が、いつもとちがう刺激でチカチカしている
目まぐるしく、新しい刺激を取り込もうとしている

たくさんの人に会う
会話から伺えるあたたかな空気
子どもたちがとおくで、ちかくで楽しそうにしている
遠く草むらを駆けていっている
年上の子どもたちが遊びながら下の子をみている
大人たちは団らんして
目を離しているようで、誰かが子どもたちを見ていて
不思議な安心感と、お互いへの信頼感があるように見える

宿に行く
あたたかな土鍋の炊き立てごはんと
ポカポカのお風呂で出迎えてくれた

ものづくりの原点にかえる
純粋に、表現を楽しむってなんだっけ
それを探しにここに来た
なにか、初日にしてすでにこころと身体が気付きはじめているように思う
ことばには、まだのらない

春分という、春のはじめのはじめのようなタイミングの
小山町のひとときの
いちにちめ


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